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ついに披露されたANAのエアバス A380型機「FLYING HONU」を写真で紹介。エアバスにとっても「大きなチャレンジ」な機体
2018年12月14日 11:29
- 2018年12月13日(現地時間)ロールアウト
既報のとおり(関連記事「“空飛ぶウミガメ”誕生。エアバス、ANAのA380型機『FLYING HONU』初号機の塗装を終え、独ハンブルクでロールアウト」)、エアバスは12月13日(現地時間)、ドイツ・ハンブルクにある同社工場でANA(全日本空輸)に納入予定のエアバス A380型機の初号機をロールアウトした。本稿では披露された機体の写真を中心に、ロールアウト式典の模様をお伝えする。
ANAが2019年5月24日から成田~ハワイ・ホノルル線に投入予定のエアバス A380型機については、納入予定の3機すべてが異なるカラーリングの特別塗装機となる。“空飛ぶウミガメ”を意味する「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」と名付けられており、今回お披露目された初号機はハワイの海をイメージしたANAブルーの機体となる。
ロールアウト式典では、お披露目を前にAirbus Executive Vice President, Head of Programmes ディディエ・エブラール(Didier Evrard)氏と、ANA 取締役 常務執行役員 CS&プロダクト・サービス室・調達部・貨物事業室担当 伊東裕氏があいさつ。
エブラール氏は、ANAのエアバス A380型機を、同機のなかでも特別な存在であるとし、「青い空の色に溶け込み、海にもピッタリ。海の色に溶け込んだA380型機が空を飛ぶ」とデザインの美しさを評したほか、「過去最大の動物を描いた飛行機で、ギネスブックに載るのでは。申請するかは分からないが」と笑いを誘った。
また、ホノルル線で初めてファーストクラスを用意する点や、家族連れにフォーカスしたANAのハワイ路線サービスにも触れ、「こうしたユニークなキャビンや機体のデザインは、新しいスピリットを表わすものでもある」と話した。
そして、ANAのエアバス A380型機は、「私たちにとっても創造性を求められたデザインであり、今回は大きなチャレンジだった」とコメント。関連記事「“空飛ぶウミガメ”誕生。エアバス、ANAのA380型機『FLYING HONU』初号機の塗装を終え、独ハンブルクでロールアウト」でもお伝えしているが、本機の塗装については、通常は多くても150枚程度のステンシル(型紙)であるのに対し、930枚のステンシルを使用。
担当者は「作業は細かいステンシルを切り貼りする非常にディテールの細かい工程があった」と説明。プライマーとシーラーコートを塗布した上にメインカラーをペイント。そこからステンシルを施して塗っていくが、ここでステンシルとペイントの繰り返し作業が発生する。使われた塗料は16色、600kg。
作業には21日間を要したといい、特に「準備段階が非常に大変だった」と説明。塗装作業そのものに要する時間は全体の工程のなかの10%程度であるという。
ANAの伊東氏は、日本で初めてのエアバス A380型機導入に際し、エアバスの関係者に感謝の意を示し、「エアバス A380型機を購入するというプレスリリースを出してから、これまで2年間、両社は緊密に協力してきた。ANAと同様にエアバスもお客さまの高い満足を求めており、職業観を共有できていることがパートナーシップの成功となった。今後もコラボレーションがうまくいく、道筋を作ることができた」と両社の良好な関係について述べた。
A380型機導入については、「トップレベルのフライトのフィーチャー、新たなラグジュアリーのレベルを体現することになる。乗客には大きな感銘をもたらすと思う。航空機ならではのホスピタリティを体現した、ほかに類を見ないものになった」と評し、ハワイ線サービスの概要を紹介。
併せて、今回のロールアウト式典には、報道陣を含む多くの欧州在住者が出席していたことから、欧州でのANAのアピールも交え、「将来的に、我々はヨーロッパからのお客さまの皆さまにも、日本を経由してハワイに行っていただきたいと願っている。また、世界中の乗客にそのような旅を楽しんでもらいたい」との希望を明かした。
ANAはロールアウト式典に先立って行なわれたプレス向け説明会のなかで、「欧州から日本に来てもらい、日本を経由してハワイに行っていただく可能性を考えている」と説明。通常、欧州からは大西洋を渡り、アメリカ大陸を経由してハワイに行くのが一般的だというが、「あえて日本を経由してもらい、日本とハワイの両方を楽しんでもらいたい」という。ANAの日本国内路線の充実についても触れ、スキーや温泉を楽しめる場所、沖縄といった観光地へ「国内路線を活用して気軽に足を運べる」とアピールした。
ロールアウトは、両氏が壇上のスイッチを押して格納庫のドアオープンがスタート。それに併せて、エアバスとANAの旗を持った人たちが行進を始め、格納庫前に整列。ANAブルーのスモークが出たのに合わせて、格納庫内にあるA380型機の垂直尾翼に描かれた「ANA」が見え始めた。
その後、格納庫前に姿を現わしたパーカッションチームが演奏を開始。彼らの前進に合わせて、機体もプッシュバッシュが始まり、徐々にその姿を現わしてくる。プッシュバックが完全に終わるころには、先ほどのフラッグチームや、横断幕を持ったANAのCA(客室乗務員)とエアバスのスタッフも加わって整列。その背後に、空飛ぶウミガメとなったエアバス A380型機が駐機し、セレモニーを終えた。
実はこの日は朝から雲の多い空模様だったのだが、ロールアウト式典を迎えるころには青空が広がってきていた。エブラール氏は「素晴らしい空に恵まれた。これはロールアウト用に特別に用意した空だ」とジョークを飛ばすほど。しかしながら式典が終わってからは再び雲が広がり、ロールアウトの時間だけの特別な空だったことは現実となった。