荒木麻美のパリ生活

有名犯罪の実物資料も多数、パリ警視庁博物館のガイドツアーに参加

博物館の入っている警察署

 パリ警視庁博物館(Musée de la Préfecture de Police)は、パリ5区の警察署内にあります。博物館は1909年、当時の警視総監ルイ・レピーヌの発案でセーヌ河岸の警視庁本部に設立されました。1975年に現在の場所へ移転、所蔵品は約2000点で、主にパリ警察の歴史を幅広く紹介しています。

 入場料は無料ですが事前予約が必要。自由見学のほか、ガイド付きツアーやさまざまなテーマでの解説・体験会もあります。テーマの内容は科学捜査技術、口述似顔絵、法医学といったもので、子供向けのものとして「指紋の研究」というテーマなどもあり、どれもおもしろそうです。

 警察署の建物内にあるため、なかに入るためのセキュリティは厳重なのかと思いきや、ごく普通。身分証明書を見せることもなく、簡単な身体・荷物検査のみでした。建物内に入ると、職員が博物館のある階まで案内してくれます。ロッカー内に荷物を預け、案内の人が来るまで企画展を見ました。このときはパリ司法警察下にある、代表的な7つの中央部隊についての紹介でした。

 取り締まりにあったトランスジェンダーの男娼の身分証明書や、麻薬取り締まりの様子を写した写真などのほか、凶悪犯罪の現行犯逮捕や対テロ対策を任務とするBRIに関する展示が多かったです。BRIは例えば2015年のパリ同時多発テロ時に起きた、バタクラン劇場への突入作戦などをしています。

トランスジェンダーの男娼の身分証明書。現在では男娼の取り締まりをしていません
麻薬取り締まりの様子
BRIの紹介と、BRIの担当した、銀行強盗犯の使ったカツラや望遠レンズの展示

 企画展示を見終わったところでガイドさんが現われ、ツアーが始まりました。私が参加したのは「常設展ガイドツアー」です。ガイドさんの知識がそれは深く、ものすごい熱量でしゃべってくれることに若干圧倒されつつ、17世紀以降のパリ警察の歴史、パリを騒がせた有名な犯罪事件や陰謀、18世紀から現代までの警官の制服の変遷、指紋鑑定や写真捜査といった警察科学の発展など、1時間半の予定が2時間となった大充実のガイドツアーでした。

 当時の捜査資料、実際に使われた凶器、昔の牢獄の扉や、パリで実際に使われていたギロチンといった「リアルな事件資料」には、眉をしかめつつ見入ってしまったものが多々ありました。

これまでの警官の制服、拳銃、手錠、こん棒など
科学捜査の紹介
実際に使われた凶器
昔の牢獄の扉と、パリで実際に使われていたギロチン
20世紀初頭、下町ギャングたちがこの女性を取り合ったことで抗争に。肉体の冠という映画にもなっています
「フランスの青ひげ」と呼ばれた結婚詐欺連続殺人犯。1922年にギロチン刑に
1946年にギロチン刑となった連続殺人犯のマルセル・プショー。医師でした

 パリの犯罪捜査やパリの治安史に興味がある人にとっては、とても興味深いところだと思います。観光名所の集まるエリアなので、機会があれば行ってみてくださいね。

オリジナルグッズが売られていました
荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/