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ANA、エアバス A380就航に合わせて提供開始するbillsコラボのエコノミークラス機内食お披露目
bills Waikikiではスーツケースの一時預かりも準備中
2019年4月16日 16:59
- 2019年4月16日 発表
- 2019年5月24日 提供開始
ANA(全日本空輸)と、国内やホノルルのbills店舗を運営するサニーサイドアップは4月16日、ANAがエアバス A380型機を就航する5月24日から提供を開始する、ANAとbillsがコラボレーションしたエコノミークラス機内食のメニューを発表した。
ANAがエアバス A380型機就航に合わせてハワイ・ホノルル路線のサービスを刷新することについては、2018年11月に発表しており、そのなかで日本発便のエコノミークラス機内食は、シドニー発のオールデイダイニングで、ワイキキにも店舗を構える「bills」とコラボレーションすることを明らかしていた。ANA国際線のエコノミークラスで、レストランなどとのコラボレーションメニューを提供するのは初めてのこと。また、billsにとっても、オリジナル機内食の開発は初めてとなる。
発表会でエアバス A380型機や機内サービスについて説明した、ANA CEマネジメント室 商品企画部 アシスタントマネジャーの鳥巣奈美子氏は、「383席のエコノミークラスはANA(の国際線)史上最大の座席数で、多くのお客さまに喜んでいただける機内サービスについて社内で議論を重ねた。ホノルル路線は大部分のお客さまがプレジャー利用で、そのなかでも30代、40代の女性が多いのが特徴。この年代のお客さまに人気があり、幅広く知られており、かつさまざまな年代のお客さまに美味しいと思って召し上がっていただけるものを検討した結果、billsさまの名前が挙がった」と、billsをコラボレーションパートナーに選んだ理由を説明。
メニュー開発にあたっては、「『美味しいと評判になるようなメニュー』という高いハードルをbillsさまにもご理解いただき、メニュー開発ではレストランターのビル・グレンジャーさん自ら機内食工場にもお越しいただいた」と明かした。
また、12月31日に掲載した鳥巣氏へのインタビュー記事「ANAのエアバス A380向け機内食担当者にインタビュー。日本発便は『ハワイ到着後の過ごし方を一番に考えた“コンパクトなサービス”』に」でも話題にしているとおり、日本発~ホノルル行き便のエコノミークラスでは機内食の選択肢を設けず、原則としてbillsとのコラボレーションメニュー1食のみ提供する。
鳥巣氏は発表会でもその点に触れ、「日本発は夜出発で、ホノルルに日本時間の3時から4時ごろに到着するので、エコノミークラスのお客さまにも、ホノルル到着時から元気に活動いただけるように、食事サービスをコンパクトにして、早くお休みいただける環境を作ってまいりたい」と、その意図を語った。
2パターンのメニューを3か月ごとに変更して提供
今回発表されたANAとbillsのコラボレーションメニューは、5月24日から2020年5月31日に提供するもの。エコノミークラス機内においてメニューは選択できないが、コラボレーション機内食は2メニューが用意されており、3か月ごとに入れ替えて提供する。
具体的には下記のとおり、ポークシュニッツェルをメインに据えたメニューを2019年5月24日~8月31日、2019年12月1日~2020年2月29日に提供。グリルドチキンをメインに据えたメニューを2019年9月1日~11月30日、2020年3月1日~5月31日に提供する。
機内食メニュー(1)
提供期間: 2019年5月24日~8月31日、2019年12月1日~2020年2月29日
メイン:
「ポークシュニッツェル-マッシュポテト、ポーチドエッグ、パセリとケッパーバターを添えて」
サイドディッシュ:
「ジャスミンティースモークサーモン、胡瓜のピクルスと枝豆のサラダ」
「味噌でマリネした茄子のソテー、ケールとレタス、トマト、豆腐のサラダ」
機内食メニュー(2)
提供期間: 2019年9月1日~11月30日、2020年3月1日~5月31日
メイン:
「グリルドチキン、ココナッツカレーソース-青梗菜、ライスを添えて」
サイドディッシュ:
「ローストパンプキン&ヨーグルトクリーム、トーストしたミックスシード」
「海老のレモンマリネ、大根と人参のピクルス」
機内食について説明したANAケータリングサービスの総料理長 清水誠氏は、billsとのコラボレーションにあたってbillsのビル・グレンジャー氏がANA機内食を事前に試食し、「その際の機内食のクオリティをとても気に入っていただき、ANAの機内食の調理技術を活かしたメニューを開発したいとおっしゃっていただいた」との話を明かした。
清水氏は「極力シェフの思いを再現するのが我々の使命」と語り、そのレシピを機内食に再現していった。機内食として提供する料理に仕上げるうえでは、「作る食数が多いことによる作業工程の検討。また、注意しているのは衛生面で、温度や盛り付けの時間など、さまざまな衛生基準がある」といった機内食ならではの留意点や、「ジャスミンティーのスモークサーモンのレシピをいただいたが、本来はジャスミンティーの茶葉を一緒に燻製で蒸す話になっていた。我々が大きな機械で作るうえで茶葉を入れてしまうのは難しい。そこで別の方法を考案し、ジャスミンティーの葉をマリネの液に浸け、サーモンをマリネするように作り上げた」といった工夫を明かした。
上記の機内食(1)のメインについては、「billsで長年愛されているシュニッツェルをアレンジしたメニュー。パセリとケッパーバター、ローストしたレモンを添えることで、シンプルなシュニッツェルをより豊かなフレーバーでお楽しみいただける。ANAのノウハウを活かし、双方の得意な領域を引き出したメニュー」とコメント。
サイドディッシュについては、「メインとはテイストを変えて、billsの料理が日本の食文化にインスピレーションを受けているかを表わすメニューを考案した」と紹介。
さらに、「上空3万5000フィートでも食材の味を最大限に引き出すことができる燻製、マリネなどをANAの機内食の開発テクニックを十分に活かしたメニューに仕上がった」と自信を見せた。
今回、記者もこちらの機内食(1)を試食した。「世界一の朝食」と名高いbillsのメニューだが、機内食は夜に提供することもあって、完全なディナー。かなりボリュームもあって、おそらく飛行機に乗るときにはお腹を空かせていった方がよさそうに思えた。
また、機内食は、上空を飛ぶ飛行機内で舌の感覚が鈍ることから、味付けを濃くすることが一般的だ。今回は地上での試食で、味はしっかりしているものの、風味はさっぱりとしており、さらに、素材それぞれの主張が伝わるほど大きなサイズで使われているので、味の面でも、カトラリーによる持ち上げやすさの点でも、食べやすい機内食という印象を受けた。
機内食(2)のメインについては、「billsで人気でイエローフィッシュカレーがベース。日本風のカレースパイスと、東南アジアのフレーバーを組み合わせている」と紹介。
サイドディッシュの「ローストパンプキン&ヨーグルトクリーム、トーストしたミックスシード」については、「世界中を旅するbillsさんならではの観点で、中東料理のフレーバーを取り入れた最新の食トレンドを十分に楽しめる一品」。
「海老のレモンマリネ、大根と人参のピクルス」については、「billsの料理にもよく使われている野菜のピクルス、レモンで爽やかに味付けした海老を使ったとてもヘルシーな、優しい味の一品」と、それぞれを紹介した。
billsはウェルカムドリンクサービスや手荷物一時預かりサービスなどを準備
先述のとおり、今回のコラボレーションにあたってbillsではレストランターのビル・グレンジャー氏自らがレシピを考案、監修。国内やワイキキのbills店舗を運営するサニーサイドアップのbills広報 吉澤観希氏は、「billsがオープン当初から大切にしている素材の味を最大限に活かしたメニューで、上空でも美味しく召し上がっていただける機内食を提供し、上質な空を旅を提案していく」との意気込みを示した。
コラボレーション機内食を提供するトレイには、bills Waikikiに持参して1人1品以上を注文するとウェルカムドリンクをサービスしてもらえるカードが置かれている。このカードは2020年6月30日まで使える。
日本を夜に出発し、ハワイに早朝到着する便では、ホテルのチェックインが可能になる時刻までをいかに過ごすかは、ハワイ到着後の最初の悩みだ。このウェルカムドリンクサービスを受けられるカードは、朝食やブランチなどを楽しむためにbills Waikikiを訪れるきっかけになるだろう。
また、吉澤氏によると、現時点では詳細を明かせる段階にないそうだが「bills Waikikiで手荷物の一時預かりサービスを提供する準備をしている」とのことで、エアバス A380型機の多くの乗客を迎えるべく、サービス拡充を図っている。