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ANAのA380型機“空飛ぶウミガメ”日本上陸。フランスから搭乗した片野坂社長は「非常に機内が静かなこと」に感動
2019年3月22日 00:43
- 2019年3月21日 到着
ANA(全日本空輸)が5月24日に成田~ハワイ・ホノルル線に就航させる、エアバス A380型の特別塗装機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」をフランスのエアバスから受領し、3月21日成田国際空港に到着した。
ANAのエアバス A380型機は、ANAのハワイ路線で初めてファーストクラスを設定し、8席のファーストクラス、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席が2階(アッパーデッキ)に、エコノミークラス383席を1階(メインデッキ)に配置される520席仕様の大型機。公募から決定されたカラーリングデザインのFLYING HONUは、機体全体でウミガメをイメージしたもので、後部には「ANA Hawaii」サービスの特設Webサイトのチャットボットである「ラニ(Lani)」と名付けらたANAブルーの亀も描かれている。
12時間のフライトも快適だったと語るANA 片野坂社長とエアバス・ジャパン ジヌー社長
FLYING HONUが成田国際空港に着陸すると、朝から降り続いた雨が止み、セレモニー会場となった807スポット前ではウォーターキャノンが日本への到着を出迎えた。
ANAHD(ANAホールディングス)代表取締役社長 片野坂真哉氏はあいさつのなかで「私は昨日、ANAホールディングスが発注した世界最大の旅客機、エアバス A380型機を、エアバス本社工場があるフランスのトゥールーズで受領し、古川機長ら2名のパイロットと約1万km、12時間におよぶデリバリーフライトのもと、ANAグループ約40名のスタッフとともに、本日成田空港に無事到着いたしました。
トゥールーズにおきましては、エアバスのトム・エンダース社長をはじめ、多くのエアバスの皆さまが、このウミガメのデザインをあしらったFLYING HONUを、盛大なセレモニーとともに送り出してくれました」と3月20日13時(現地時刻)から行なわれたデリバリーセレモニーについて触れ、「すでにご案内のとおり、私たちANAが購入したA380 3機をすべて、東京~ホノルル線に就航させる予定です。ハワイで神聖な生き物として尊厳を集めておりますウミガメ、ホヌの名前をいただいてFLYING HONUと名付けました。
機体のデザインは、この1号機はハワイの空“ANAブルー”、2号機はハワイの海“エメラルドグリーン”、3号機はハワイの夕陽“サンセットオレンジ”であります。圧倒的な存在感で皆さまの前にはじめて姿を現わすことができました」と、FLYING HONUの2号機と3号機のカラーバリエーションについても話した。
また片野坂氏は「エコノミークラスには、フットレストを上げるとベッドのように利用できるカウチシート(ANA COUCHii)を備え、私も寝転がってみましたが真に快適です。A380に乗って感じたさまざまな感動のなかで一つを挙げるとすれば、非常に機内が静かなことです」とANA COUCHiiと静粛性についても、機内設備の説明のなかで語った。
そして、「航空機は安全がすべてでございます。安全、快適、高性能の航空機の製造にご尽力いただいたエアバスに心から敬意を表します。私どもANAグループも、このA380の性能を活かし、運航に携わるスタッフはもとより、日本そしてハワイの全役職員が総力を挙げて、安全で快適なFLYING HONUのハワイ便の就航に向けて、これから準備に入ってまいります」とあいさつを結んだ。
エアバス・ジャパン 代表取締役社長 ステファン・ジヌー氏は「約12時間のフライトだったにもかかわらず、もっと乗っていたいと感じるほどに快適でした。ANAのA380は座席も非常にゆったりとしています。無事引き渡しが終わり、5月24日からこの機体が一般の方にもご覧いただけることを、私どもも非常に楽しみにしています。予約状況もたいへん好調とお聞きしていますし、ハワイは日本人にとって、とても人気の高いデスティネーションです。A380を導入することでANAの座席供給量は2倍に拡大し、ビジネスのさらなる成功に貢献できることを願っています。今後ともANAへのサポートをしっかり行なっていき、さらなる成功と前進にお供できれば幸いです」と話した。
デリバリーフライトで機長を務めたANA フライトオペレーションセンター 品質企画部 古川理氏は、「初めてのヨーロッパから日本への長旅でしたが、クルーズ中は非常に安定していて快適なフライトができました。今日の強風により、成田空港への進入には多少の困難さを感じていたのですが、われわれも十分にシミュレーターで訓練しておりますので、無事に到着でき安心しております。
ANAのエアバス A320型機に乗っているパイロットがA380型機を操縦する場合には、約7回のシミュレータと座学を含めて45日間の訓練期間を設定しています。エアバス機の特徴でもありますが、A320の(操縦)技術がA380でも通用するように飛行機が設計されています。これだけ大きな機体ですが、操縦に対する機体の反応や操縦性はA320同様に機敏で繊細なものになっています。操縦席の高さに関しては多少慣れる必要がありますが、それ以外は小型機のA320からA380に移っても違和感なく操縦できると思います。成田~ホノルルに就航する前に、シミュレータでいろいろな経験もできますので、実機を使ってお客さまに乗っていただくときにはなにも不安はないと思います。
地上走行しているときに、目の高さが高いので速度がつかみにくいことや、翼幅が長いので地上の走行車両などに留意する必要はあります。またエンジンの出力が大きいので、後方の飛行機にA380のブラスト(エンジンの排気)をかけないようにするなど、地上に関しては非常に気を遣います」と、フライトの感想と、A380を操縦するための訓練や、実際の留意点について語った。
また、FLYING HONUで成田に降り立った際の感想を尋ねられると、「自分でも感激するのかなと思っていたんですが、今日のようなあいにくの天気で、特に成田空港の滑走路に対しての南風は気流がわるいという特性を持っていますので、感激に至る暇もなく駐機しました」とコメント。
FLYING HONUが導入されることで楽しみにしていることとして、「我々の技術系の期待はもちろんですが、A380は輪切りにすると卵型をしていますので、特にエコノミークラスのお客さまが乗られるメインデッキでは、横の窓が斜めではなく真っ直ぐ立ち上がっていますので、客室の空間が広く感じられます。またエンジンが非常に静かな飛行機ですので、お客さまにご期待いただけるフライトができると思います」と答えた。