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家族連れにうれしいカウチシート。広々とした1階に383席が並ぶANA A380型機のエコノミークラス
2019年4月30日 09:30
- 2019年5月24日 就航
ANA(全日本空輸)が5月24日に成田~ハワイ・ホノルル線に就航予定のエアバス A380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ、空飛ぶウミガメ)」。各クラスを紹介してきたが、最後に紹介するのは1階席を埋め尽くすエコノミークラスだ。
ANAのエコノミークラス最大のポイントはなんといってもカウチシート「ANA COUCHii」の採用にあるが、通常席も広々としている。
数字以上に広く感じるエコノミークラスの通常席。バルクヘッドも足元広々
ANAのエアバス A380型機の全520席中、半分以上の383席がエコノミークラス。1階席すべてを使用している。座席番号では35~43列目、44~57列目、58~69列目、70~71列目が1まとまりのセクションで、それぞれの間にギャレーやラバトリーなどがある。また、最後方の71~76列目がカウチシート「ANA COUCHii」となる。
座席レイアウトは3-4-3の10アブレスト。通常席のシートピッチは34インチ(約86.4cm)と国際線機材としてはやや広めといった数字だが、機体の大きさに伴う客室の広さからか、広々とした印象。34インチは無理のないシートピッチだが、その数字以上のゆとりを感じられる空間だ。前方が壁のいわゆるバルクヘッド席も席と壁の間が広く取られている。
ファブリック柄はANA COUCHiiのある最後方のゾーンを除いては中央4席がブルー、窓側席がグレーを基調としたものに分けられている。窓側席に明るめの色を配していることも機内空間が広く感じられることの一因かもしれない。
また、概要を紹介した記事でも触れたが、1階席にコクピットを設けるエアバス A380型機の特性もあり、ボーイング 747型機の1階席前方の横幅が狭くなることによる特殊な座席レイアウトはなく、湾曲もゆるやかなものとなっている。
シートは背もたれを薄型化した新設計のものを採用。ヘッドレストはプレミアムエコノミーと同様の仕組みで、中央の下部を手前に折り曲げられる「6-way」タイプを採用。上下、左右の調整は一般的なヘッドレストと同様だ。さらに、足元には前席側にフットレストを備える。
シートポケットは、シートの樹脂を少しくり抜いて少しでも奥行きを確保しようという工夫がなされている。また、ネット状の収納スペースは2つに仕切られ、1つはその幅とたるみを付けることでペットボトルに使いやすい形状になっている。
シートテーブルは、2つに折りたたんで収納するタイプで、エコノミークラスとしてスタンダードなものが使われている印象。
シートモニターは13.3インチと、エコノミークラスとしては大型。最前列席のみ10.1インチとなる。なお、最前列席のシートモニターサイズについては、2018年11月時点では11.6インチとされていたが、最終仕様では10.1インチとなった。機内エンタテイメントサービスのコントローラは、通常席はシートモニター直下、最前列席はアームレスト部に用意されている。
電源は各席にユニバーサルACコンセントとUSB充電ポートを装備。最前列席は上位クラスで使われているようなACコンセントとUSB充電ポートを一体化したユニットを自席側足元に用意。通常席は前方席足元側にユニバーサルACコンセント、シートモニターの中央下部にUSB充電ポートと分散して配置されているという違いがある。
このほか、エコノミークラスにもバーカウンターを設置。ラバトリーは全9か所。最前方に1か所、43列目と44列目の間に1か所、57列と58列目の間に4か所、最後尾に3か所となっている。
なお、プレミアムエコノミーの紹介時にも触れたとおり、1階席のラバトリーは温水洗浄便座ではないのが1つの違い。おむつ交換台付きラバトリーは5か所(後述の多目的ルームを含めると6か所)、車いす対応は1か所となる。
「ANA COUCHii」は家族連れならプラス1万円前後でベッドスタイルに
1階席最後方の71~76列目にはカウチシート「ANA COUCHii」を設置している。3列席が12組、4列席が6組となる。カウチ対応シートはヘッドレストカバーがグリーンに分けられており一目で分かる。このゾーンはシートピッチが32インチ(約81.2cm)と、エコノミークラスの通常席より狭くなっている。
ちなみに、機体最前部の湾曲については先述したが、後方も最後尾に向かうに連れて細くなっていき、座席と窓に隙間が生まれてくる。ただ、このエリアにカウチシートを設置したのがおもしろいところで、カウチスタイルに合わせて後方の窓側席は座面が窓側まで伸ばされているのだ(アームレスト位置は変わらないのでシート幅が広がったとは表現しにくいが)。窓と座席の隙間による違和感も弱まっているように思う。
ANA COUCHiiの仕組みを改めて説明すると、レッグレストが水平にまで起き上がるようになっており、座面が前後に広くフラットになり、ここに敷くシーツマット(ファーストクラスで使われているのと同じもの)が用意され、ベッドのように横になって過ごせるというもの。このシーツマットの提供のほか、横になった状態でも体を保持できるシートベルトがあるのが、乗客が少なくてたまたま3列、4列を独占できた場合とは異なる点だ。シーツマットのほかに、ビジネスクラスで使われる枕2つと、エコノミークラスのブランケットも利用できる。
ANA COUCHiiの利用料金は何名で利用するか(=何名分の座席を購入しているか)と、シーズンによって異なる。座席数未満の人数で利用する場合は、“座席利用料”という意味合いもあってか特にハイシーズンで高めの料金となる。ローシーズンなら、例えば2人旅の3列席独占でプラス19000円なので、カップルや夫婦の旅なら1つの選択肢になり得る。
3列席を3名、4列席を4名で利用する場合は、全座席を購入したうえでの利用となることもあってシーズン別の料金は適用されず、それぞれ9000円、1万2000円と1万円前後でシーツマットなどが提供される格好となる。日本~ホノルル間は往路で7時間ほど、復路で8時間以上と、子供に座った姿勢でじっとしていることを強いるには長い。横になれれば就寝しやすくなるのはもちろんだが、それでも寝ない子供でも姿勢の自由度が高まることでリラックスできるように思う。
ファミリー利用が多くなるであろうANA COUCHiiシートが並ぶエリアには、「多目的ルーム」も用意されている。ここはラバトリーと同じスペースに、ソファシートや化粧台、おむつ交換台が置かれ、便座を置いていない個室で、特に子供連れにうれしい場所となるだろう。
機内食は日本発便でbillsとコラボ。お子さま向けサービスも充実
機内食については、日本発便が特徴あるものとなっており、シドニー発祥でワイキキにも店舗を構えるオールデイダイニング「bills」とのコラボレーションメニューとなる。そのメニューについては関連記事「ANA、エアバス A380就航に合わせて提供開始するbillsコラボのエコノミークラス機内食お披露目」で紹介しているとおりで、就航後から8月30日までは、ポークシュニッツェルをメインとしたものを提供する。
日本発ホノルル行きのエコノミークラス機内食(2019年5月24日~8月31日)
メイン: ポークシュニッツェル-マッシュポテト、ポーチドエッグ、パセリとケッパーバターを添えて
サイドディッシュ: ジャスミンティースモークサーモン、胡瓜のピクルスと枝豆のサラダ、味噌でマリネした茄子のソテー、ケールとレタス、トマト、豆腐のサラダ
日本発便においては、383席の乗客に早く機内食を提供し、早くトレイを回収して、乗客がより多くの休息時間を確保できるよう、エコノミークラスの機内食は選択肢を設けない。
ただし、スペシャルミールは事前にリクエストでき、チャイルドミール、ベビーミールを頼んだ子供には、柄の先に飛行機が乗っているエジソンママのANAオリジナルフォーク&スプーンを。さらに子供連れにはエコバッグなどのグッズもプレゼントする。