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エアバス・独ハンブルク工場でA380型機の構造組立ラインを見学してきた。ANA向け3号機の胴体も

2018年12月13日(現地時間)実施

エアバスのドイツ・ハンブルク工場にあるエアバス A380型機の構造組立ラインを見学

 エアバスは12月13日(現地時間)、ドイツのハンブルク工場で、塗装を終えたANA(全日本空輸)向けのエアバス A380型機のロールアウト式典を実施した。ロールアウトの様子については別記事「ついに披露されたANAのエアバス A380型機『FLYING HONU』を写真で紹介。エアバスにとっても「大きなチャレンジ」な機体」でお伝えしているとおりだが、この際に同工場の一部を見学したので、その様子もお伝えしておきたい。

 エアバスといえば、フランスのトゥールーズに拠点を持つことで知られるが、それに次ぐ規模の拠点となっているのがハンブルク工場となる。主に旅客機の開発や生産を行なっており、ナローボディ(単通路)機のエアバス A320ファミリーはハンブルクで最終組立までが行なわれる。

 今回ANA向けに製造が進められているエアバス A380型機については、ハンブルクで構造組立が行なわれており、主翼を挟んで前方部分と後方部分の胴体構造を組み立てている。

 エアバス A380型機は20%ほどがCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製となっているが、ハンブルク工場では腐食防止のために緑色に塗装された状態で胴体などを組み立て。メインデッキ(1階)とアッパーデッキ(2階)の床や、電装品に用いる内部のコード、油圧システムなど、コンポーネント単位で高いレベルまで完成に近い状態に仕上げられる。また、2020年の納入が予定されているANA向けの3号機の組み立ても進められていた。

 ここで組み立てを終えた胴体部はハンブルクを流れるエルベ川を経由し、海路でフランスへ運ばれ、フランスの港に到着後はトゥールーズの工場まで陸路で輸送して最終組立が行なわれる。ちなみに、圧力隔壁や垂直尾翼など一部のコンポーネントはフランスのスタードで組み立てられたうえでハンブルク工場へ海路で輸送されている。このうち垂直尾翼はここから専用貨物機である通称「ベルーガ」に載せられてトゥールーズへ運んでいる。

 そのほかにも各地で作られたコンポーネントがトゥールーズに集められ、ここで最終組立が行なわれる。そして組み立てられたエアバス A380型機は自ら飛行してハンブルクへ移動。ここで客室装備や塗装が行なわれる。今回、ANA向け「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」の初号機が披露されたのが、この段階である。

 塗装と客室装備を終えたエアバス A380型機は最終の地上試験や飛行試験が行なわれたのちに航空会社へ引き渡し(デリバリー)されることになる。引き渡しはハンブルクまたはトゥールーズで行なわれるが、ANAの初号機はトゥールーズで行なわれることになっている。

ANA向け3号機の胴体後部の組み立ても進められている
半円状態の部材へ床となる部材を取り付けている
これから胴体の上部となる部材
CFRP製の圧力隔壁
後部胴体
この構造組立の段階でコードなども設置されていることが分かる
工場の入り口にはナローボディ機の胴体も
ちょっと変わった車輪が付いた台車。この車輪によって前後だけでなく、旋回せずに左右にも動けるという