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パスポート(2025年旅券)の新規申請をオンラインでやってみた。必要なものはスマホとマイナカードのみ
2025年3月24日 15:22
- 2025年3月24日 時点
外務省は3月24日、新しいパスポート(2025年旅券)の発行受付を開始した。
新パスポートでは、顔写真ページの仕様を変更するほか、すべての都道府県において、オンライン上での新規申請・切り替え申請(更新)に対応する。これまでオンラインでは更新のみ対応していたが、本日から初めてパスポートを発行する場合も、マイナンバーカードを使ってスマホから手続きできるようになった。
本稿では、東京都在住の記者が実際にオンライン(スマホ)で新規申請を行なった様子をレポートする。
新規申請(オンライン)で必要なもの
国内からのオンライン申請時に必要なものは、以下4点。窓口へ行くのはパスポートの受け取り時1回のみで済む。
1. マイナンバーカードと利用者証明用・券面事項入力補助用・署名用電子証明書用パスワード
2. マイナポータルアプリをインストールしたスマートフォン(PCから申請する場合も必要)
3. 顔写真データ(jpg形式、600キロバイト以内)
4. 自著画像(jpg形式、横788×縦284ピクセル、200キロバイト以内)
※15~17歳が申請する場合は「親権者同意書」が別途必要
窓口での新規申請には、追加で戸籍謄本の原本が必要。オンラインでは戸籍情報がシステム連携されるため、3月24日から紙での準備は不要となった。
なお、オンライン申請はスマホだけでなく、PCからも手続きを行なえる。ただし、マイナンバーカードの読み取りには「マイナポータル」アプリ(Android/iOS版)を利用できるスマホが必要とのこと。
顔写真・自著(サイン)画像は、その場で撮影したデータも利用できるが、スムーズに申請するためにもできるだけ事前に準備しておきたい。アップロードする場合のフォーマット(ファイル形式、縦横のサイズ、容量など)は、外務省のWebサイトでも確認できる。
記者の場合、顔写真はあらかじめ「カメラのキタムラ」で撮影したデータをスマホに保存し、自著はA4用紙に油性ペンで書いたものを用意した。
マイナポータルでの手続き
ここからは実際の画面や案内文をもとに、マイナポータル上の操作手順を説明する。操作の流れは、マイナポータル「パスポート申請」でも確認できる。
マイナポータルへのログイン
まずは、マイナポータルのアプリをスマホにインストールしよう。アプリを起動し、ログインに必要な利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)を入力すると、マイナンバーカードの読み取り画面が表示される。
ちなみに、マイナンバーカードに紐付く数字4桁のパスワードは、利用者証明用、券面事項入力補助用、個人番号カード用の3種類もある。
のちほど券面事項入力補助用、署名用電子証明書のパスワード(英数字6~16桁)の入力も求められるので、マイナポータルの操作に慣れていない人やそれぞれ異なる番号を設定している人は、あらかじめ正しいパスワードを確認しておきたい。
申請する手続きの選択、申請手順1~3の確認
カードの読み取りが完了したあとは「ホーム」から「パスポート」を選択。続いてパスポート申請のトップページで、申請する手続きを選択する。今回は初めての申請なので「パスポートを取得する(新規申請)」。
続いて「新規申請について」画面で、対象者と申請に必要なものを確認する。15~17歳が自分のマイナンバーカードで申請する場合は、親権者同意書が必要となる。
申請条件を満たしていることを確認できたら、申請の流れ(3つの手順)をチェックしよう。
手順1: 顔写真、サイン、申請情報の準備
手順2: 事前準備した情報を使った申請
手順3: 申請状況照会(手数料の支払い、パスポートの受け取り)
パスポート受取窓口の選択(居所申請の確認)
ここでは、パスポートの受取窓口を指定する。マイナンバーカードと同じ都道府県・市区町村を選択して「この条件で検索」ボタンを押すと、対応する窓口が表示される。
住民票が東京都の場合は、新宿・有楽町・池袋・立川パスポートセンターの4か所から選べる。今回は、職場に近い「有楽町パスポートセンター」(東京都千代田区有楽町2-10-1)で受け取ることにした。
なお、通勤・通学のために住んでいる場所がマイナンバーカードに書かれている住所と異なる場合は、手順2で「居所申請」を行なう必要がある。申請する場合は条件を確認して、住んでいる(受け取りたい)市区町村の窓口を選ぼう。
確認事項への同意、署名用電子証明書の確認
受取窓口を指定すると、申請前の同意画面が表示される。主な内容は、追加の証明書や手続きが必要な事例の案内など。「確認事項に同意する」にチェックを入れて「次へ」ボタンを押すと、さらに署名用電子証明書の確認画面が表示される。有効期限とパスワードについて、問題がなければ「次へ」ボタンで進もう(入力はのちほど行なう)。
顔写真の撮影・アップロード(手順1)
ここからは申請に必要な顔写真・サイン画像の作成、申請事前情報の入力(手順1)を行なう。3つの順番は決まっていないため、今回は上から順に説明する。なお、途中でこれまでの手続き内容を保存し、作業を中断することも可能。
まずは、マイナポータルアプリのカメラ機能を使って顔写真とサインを撮影、もしくは事前に準備したデータをアップロードしよう。
顔写真の撮影は、家族などにお願いするのはもちろん、自撮りや証明写真機のデータにも対応している。その場で撮影する場合は、注意事項を確認してカメラ機能を立ち上げよう。撮影用のガイドライン(顔の中心・頭の先・あごの先)が表示されるほか、右下のボタンでインカメラ・アウトカメラの切り替えも行なえる。
ただし「できるだけビジュアルを盛りたい」人は、あらかじめ撮影を済ませておき、申請時はスマホに保存したデータをアップロードする方法がお勧め。記者は、申請とは別日に「カメラのキタムラ」を利用した。
来店日時は休日・夕方17時ごろだったが、ほぼ待ち時間もなく、受付から撮影、データの確認、受取まで30分もかからなかった。料金もプリント2枚1組+Web申請用データの合計で3400円と比較的お手ごろな印象。
帰宅後はスマホでキタムラネットの会員登録を行ない、専用サイトからデータを取得。オンライン申請時は、iPhoneのカメラロールに保存したデータをそのままアップロードするだけでスムーズに作業を進められた。
自著の撮影・アップロード(手順1)
続いてサインの撮影・アップロードを行なう。サインは、白地の用紙に黒または青のインクではっきりと書こう。外務省が案内している見本をみると、用紙はA4サイズ、太めのボールペンまたは細めのサインペンを使って、文字の大きさは中央3分の1に収まるくらいが目安となっている。
画像を作成する際は、机に置かず壁に貼って、少し離れたところから撮影するとスマホや自分の影が入りにくいという。今回はマイナポータルアプリのカメラ機能を使ってみた。
申請者情報の入力(手順1)
画面の案内にしたがって、申請者情報を入力しよう。まずはマイナンバーカードに記載されている氏名(カタカナ)、ヘボン式ローマ字の綴りに問題がないかチェック。続いて自動で入力される連絡先(電話番号)、メールアドレスも確認しよう。
確認が終わったら、日本国内の緊急連絡先(氏名、申請者との関係、住所、電話番号)を入力し、パスポートの種別(5年・10年)を選択。刑事罰等関係の確認(全6問)、外国籍の有無を回答しよう。これで手順1の作業がすべて完了する。
氏名・住所の入力(手順2)
手順1(事前準備)がすべて完了しているのを確認したら、手順2の「申請する」へと進もう。
手順1の入力内容(顔写真・サイン・申請者情報)をもう一度確認したあと、過去のパスポート情報について入力する。記者の場合は、初めての取得なので「ない」を選択して次の画面へ進んだ。
続いて、パスポートに記載される氏名・性別・生年月日・住所を入力するため、マイナンバーカードを読み取る。ここでは券面事項入力補助用のパスワード(数字4桁)を入力する。
読み取った内容を確認したら、追加で郵便番号を入力しよう。居所申請を行なう場合も、ここで必要な情報を入力する。
戸籍情報のオンライン取得・提出(手順2)
これまでの入力内容を確認したら、戸籍情報のオンライン取得・提出を行なう。申請の流れを確認したうえで「次へ」ボタンを押すと、取得した本籍・筆頭者氏名が表示される。内容に問題なければ「次へ」進もう。
マイナンバーカードを使った本人確認(手順2)
ここまで終われば、申請完了まであと少し! パスポートの顔写真が申請者本人であることを確認するため、マイナンバーカードを再び読み取って券面写真(モノクロ)を取得・提出する。生年(和暦・西暦)を選択し、有効期限(年)、セキュリティコード(数字4桁)を入力し、マイナンバーカードを読み取ろう。
交付予定の確認、署名用電子証明書の付与(手順2)
最後に、パスポートの交付予定と受取窓口をあらためて確認し、個人情報の取り扱いに「同意する」にチェックを入れて「申請する」ボタンを押そう。
もう一度マイナンバーカードを読み取り、署名用電子証明書を付与する(英数字6~16桁のパスワードが必要)と、申請が完了する。
申請状況の確認
申請の受付状況は照会画面(マイナポータルのやること)から確認できるが、申請完了から約2時間後の時点では、パスポートの新規申請、戸籍電子証明書の提供の請求が処理中になっていた。
ちなみに「要訂正」が表示されている場合は、再申請が必要。追加の手続きが必要な場合は、マイナポータル内に通知が届くという。
オンライン申請を終えて
ここまで実際に申請してみて、確定申告などでマイナポータルの操作に慣れている記者にとっては、それほど難易度は高くないと感じた。作業にかかった時間は、キャプチャやメモをとる時間も含めて約20分。
外務省やマイナポータルの公式サイトでは、申請に必要なものや操作手順を案内しているが、実際の申請画面にも分かりやすい説明があるので、作業の途中でつまづくことはなかった。
窓口での受け取り(手順3)
無事に申請データの審査が終了すると、パスポートの交付予定日がマイナポータルに通知される。交付予定日から6か月以内に窓口に行き、旅券手数料を支払うと、いよいよパスポートを受け取ることができる。
手数料は3月24日からオンラインと窓口で異なり、それぞれ以下のとおり。
10年旅券: オンライン申請1万5900円、窓口申請1万6300円
5年旅券: オンライン申請1万900円、窓口申請1万1300円
※2025年3月23日以前は10年旅券が1万6000円、5年旅券が1万1000円
手数料の支払い方法について、窓口申請では現金のみとなっているが、オンライン申請ではクレジットカードにも対応している。
新パスポートの変更点は?
新パスポートは、顔写真ページがプラスチック素材になり、個人情報はすべてレーザーで印字・印画している。見る角度によって一部の表示が切り替わる加工も施しているので、パスポートの偽造・変造がより難しくなり、安全性も高まっているとのこと。
また、これまでは都道府県旅券事務所や一部の在外公館でパスポートを作成していたが、新パスポートは国立印刷局で集中的に作成する。申請から交付まで、国内からは2週間(9営業日)程度、国外(大使館・総領事館)からは2週間~1か月程度かかるとのこと。外務省は、新規・切り替え申請ともに時間に余裕をもって手続きを行なうよう案内している。