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ANA、定例社長会見。A380はカウチシートの販売好調。第2ターミナルの国際線は「乗り継ぎ重視で選定中」

2019年2月26日 実施

ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 片野坂真哉氏

 ANAHD(ANAホールディングス)とANA(全日本空輸)は2月26日、都内の本社で定例会見を実施した。出席者はANAHD 代表取締役社長の片野坂真哉氏、ANA 代表取締役社長の平子裕志氏、ANAHD 広報・コーポレートブランド推進部長の髙柳直明氏。

 片野坂氏は1月に発表した第3四半期決算について改めて言及し、売上高は1兆5684億円で2年連続の過去最高を記録、営業利益1566億円と順調であったことを報告。現行の中期経営計画を遂行し、ビッグイベントが目白押しの2020年以降のビジネスチャンスを掴んでいきたいとした。また、フィリピン航空の親会社に出資、戦略的パートナー関係を強化しており、日本~フィリピン間のサービスと利便性向上を図ることで、アジアにおける旺盛な航空需要を取り込む狙いがあると説明する。

 新たな機材としては、小型機を2機種48機発注。現行のボーイング 737型機を置き換えるためにボーイング 737 MAX 8型機を30機、ピーチ(Peach Aviation)の主力機材としてエアバス A320neo型機を18機投入する。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏

 平子氏からは、2月19日の神戸発NH412便において、乗務前検査で副操縦士からアルコールが検出され、当該便が1時間39分遅延したことについて、「検査態勢の強化、運航乗務員の自己管理の支援と強化に努めてきたが、対策が不十分だった」「特に自己管理の支援と強化については道半ば」と説明があり、引き続き再発防止に取り組んでいく姿勢が示された。

 平子氏が成長のカギとして挙げたのは国際線の新しい機材と新規路線で、機材については4月にボーイング 787-10型機をシンガポール線、5月にはエアバス A380型機をホノルル線、7月には貨物用のボーイング 777F型機をシカゴ線と上海線に投入。9月にオーストラリア・パース、冬期スケジュールでインド・チェンナイといった新規路線開設も控えており、同社の空白エリアに進出していく。

 なお、5月に運航を開始するホノルル線のエアバス A380型機は先ごろエアバスから製造の終了が明らかにされたが、「エアバスからは誠意ある説明があった」(片野坂氏)そうで、部品の供給やバックアップ体制は変わらずに行なうとのコミットメントを得ているという。4発のエンジンを搭載する分、整備にかかる費用も多くなるが、「もともと低コストの整備を計画」していたそうで、長年の信頼関係もあって、製造終了に伴う不安はないとした。

 ホノルル線自体については、A380型機を3機投入することでマーケットシェアで優位に立ち、周囲の期待にしっかり応えていきたいという。平子氏の説明では、A380型機を投入すると上期のASK(有効座席キロ)は140%以上になるが、予約も同じくらい伸びており、テレビCMなどによる認知度の高まりで手応えを感じるとの認識を示した。また、A380型機で(日本の航空会社では)初めて導入するカウチシート「ANA COUCHii」の販売が特に好調であるという。

 A380型機就航直後は週3便でスタートするが、デイリー(週7便)にしなかったのは「まずはオペレーションを安定させることを第一」(平子氏)としたためであり、520席の大型機ということもあって、5月24日までに機内のサービス、現地の受け入れ体制、降機後の動線の確認や入国審査の混雑などのシミュレーション・訓練を進めておくとのこと。

 本誌でも報じたが、主にANAが使用している羽田空港 第2ターミナルは、2020年から国際線対応を開始する。これに伴い、2020年3月に羽田空港 国際線ターミナルは第3ターミナルへ改称される(関連記事「羽田空港、『国際線旅客ターミナルビル』を『第3旅客ターミナルビル』(第3ターミナル)へ2020年3月に名称変更」)。

 このことについては、「第2ターミナルが内際連結になることで、今後の国際線需要に対応し、乗り継ぎも容易になる」(平子氏)と述べたうえ、現在社内では「どの路線を第2ターミナルから発着させるか」が議論になっているという。従来どおり第3ターミナル(現 国際線ターミナル)も使うことになるが、「どの組み合わせが一番乗り継ぎが多いのか選定している。路線によって他社とコードシェアしていたりしていなかったりするので、その兼ね合いも考えている」という。

 このほか、新年度に入った4月には、羽田に新しい訓練施設を部分的に開業。オペレーションの訓練に加えて、新しい企業文化を創造できるような次世代の人材育成に取り組み、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン:多様性を認め合い個性を尊重すること)を推進していくという。