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ANA、4月26日に就航するボーイング 787最長胴モデル「ボーイング 787-10」型機を公開。プレエコとエコノミーは新シート採用

東南アジア路線に最多客席数の機材を導入

2019年4月5日 公開

ANAのボーイング 787-10型機が3月31日に日本到着。4月5日に機内を報道公開した。4月26日より定期便に就航する

 ANA(全日本空輸)は4月5日、4月26日から成田~シンガポール線で運航を開始するボーイング 787-10型機を報道関係者に公開した。ANAでは、2011年のボーイング 787-8型機を皮切りに、2014年にボーイング 787-9型機を導入。今回のボーイング 787-10型機の導入により、787ファミリーの全ラインアップを運航することになる。

 ボーイング 787-10型機は、ボーイング 787ファミリーの最長胴モデル。海外航空会社ではシンガポール航空が日本路線での運航実績を持つ。ANAのボーイング 787-10初号機となる「JA900A(登録記号)」は、ボーイングの米チャールストン工場で製造された機体で、3月31日の0時9分に羽田空港に到着した。

3月31日に到着したANAのボーイング 787-10型機の1号機目。登録記号は「JA900A」

 ANAではボーイング 787-10型機を3機発注しており、2号機目は2019年5月、3号機目は2020年に受領することを予定。3機ともに同じ客席仕様となり、主に東南アジア路線で使用する。

 このたび導入した1号機目については、2019年度の航空輸送事業計画に策定されているとおり、4月26日の成田~シンガポール線より運航を開始。7月1日からは成田~バンコク線にでも運航する(関連記事「ANA、ボーイング 787-10型機を4月26日に成田~シンガポール線に投入。2019年冬期には成田~インド・チェンナイ就航」)。

 なお、時刻表などの機種欄では「781」と表記し、ボーイング 787-9型機の「789」、787-8型機の「787」と区別する。

ANAのボーイング 787-10型機運航便(2019年4月26日~)

NH801便: 成田(18時05分)発~シンガポール(翌00時25分)着
NH802便: シンガポール(06時10分)発~成田(14時20分)着

ボーイング 787ファミリーの最長胴モデル。見分け方は主翼前方の窓枠の数

ボーイング 787-10型機(手前)、ボーイング 787-8型機(奥)が駐機する後方で離陸するボーイング 787-9型機

 先述のとおり、ボーイング 787-10型機はボーイング 787ファミリーの最長胴モデルであることが特徴で、全長は約68.3m。ボーイング 787-9型機の約62.8mに対して約5.5m、ボーイング 787-8型機の約56.7mに対して約11.6m長い。全幅や全高に変化はない。

 動体の長さに伴って窓枠の数が異なり、特に主翼前方にある窓枠の数が分かりやすい違いだ。前方から1番目のドアと2番目のドアの間の窓の数が、ボーイング 787-8型機の場合は9枚分の窓枠が1ブロックにまとまって配置され、ボーイング 787-9型機は前方から9枚分、少し間を空けて5枚分の窓枠が2ブロックに分かれて配置される。

 ボーイング 787-10型機の場合は、前方から9枚分、少し間を空けて10枚分の窓枠がある。1ブロックしかなかったら787-8、2ブロックに分かれていて後ろよりの窓枠の数が少なかったら787-9、多かったら787-10、とパッと見で区別することができる。

 エンジンはANAが導入しているボーイング 787-8/-9型機と同じくロールスロイス製の「Trent 1000」ファミリーを採用。最大離陸重量を強化した215席仕様のボーイング 787-9型機と同じモデルのエンジンを搭載している。

ANAが導入したボーイング 787-10型機の主な仕様

座席数: 294席
全長: 68.3m
全幅: 60.1m
全高: 17.0m
巡航速度: 910km/h
航続距離: 1万1600km
最大運用高度: 1万2500m
最大離陸重量: 242.7トン
エンジン型式名: Trent 1000
エンジン推力: 3万3480kg×2基
搭載燃料量: 126kL

ボーイング 787-8型機
ボーイング 787-9型機
ボーイング 787-10型機
ボーイング 787-10型機(手前)と787-8型機(奥)。同じ787型機だが、サイズの違いは歴然としている
右側面から見たANAのボーイング 787-10型機
右舷後方から
左舷後方から
前方から
真後ろから
垂直&水平尾翼
主翼と水平尾翼
右水平尾翼の翼端
左水平尾翼の翼端
搭乗に利用するL1ドア~L2ドア
「ANA Wi-Fi Service 2」のシールがドア脇に貼られている
機内インターネット用のアンテナドーム
ランディングギア
ノーズギア
メインギア。エアバス A350とは異なり長胴型でもタイヤの数は同じ
機体を上方から
左側面
左エンジン。ロールスロイスの「Trent 1000」
右側面
右エンジン

エコノミー多めの294席仕様。座席はエアバス A380型機と一部共通

 客席はビジネスクラスが38席、プレミアムエコノミーが21席、エコノミークラスが235席の計294席。ANAの国際線向け機材としては、ハワイ・ホノルル路線限定のエアバス A380型機を除いて最多の客席数となっており、日本経由の東南アジア~北米間の三国間流動の需要の高まりに応えるものとしている。

 ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスそれぞれ、既存のボーイング 787-9型機とは異なる座席を採用。シートのカラーや、プレミアムエコノミーの座席、AC&USB電源コンセントなど、一部はエアバス A380型機でも採用しているものと共通のコンポーネントを用いている。

ANA ボーイング 787-10型機(294席仕様)のシートマップ(同社ニュースリリースより)

 ビジネスクラスは38席で、1列ごとに座席とサイドテーブルを交互に配置し、全席が直接通路にアクセスできる「ANA BUSINESS STAGGERED」を採用。18インチのタッチ対応シートモニターや、テーブル、サイドテーブルなどはボーイング 787-9型機に採用されているものとほぼ同じ。もちろんフルフラット化できる。

 大きく変化したのはカラーリングで、青みを押さえてグレーに近い色合いに変更し、より落ち着いた雰囲気に様変わりした。

 また、サイドテーブルの上に搭載しているAC電源コンセントのユニットが、AC電源とUSB電源を一体化したコンポーネントへ変更された。これにより、ボーイング 787-9型機などにも搭載しているUSB電源と合わせて、2個のUSB電源を備えることになった。

ビジネスクラス
ビジネスクラス前方から。2席ずつ、シートとサイドテーブルを交互に配置する「ANA BUSINESS STAGGERED」を採用
ビジネスクラス後方から
横から。前後にもやや位置をずらして配置
ビジネスクラスのシート。青色を抑えて落ち着いた雰囲気に
フルフラットの状態
シート前方
シートモニターは18インチ
フットレスト(上段)とシューケース(下段)。フットレストはフルフラット時にシートと水平につながる
サイドテーブルに機内エンタテイメント用コントローラ、ノイズキャンセリングヘッドフォン端子、電源類。USB電源を2つ備えるのも特徴の一つ
「DO NOT DISTURB」ランプ。CA(客室乗務員)による声がけを遠慮してもらえる
シートのコントローラ。背もたれの角度だけでなく、背中のせり出し部分の調整や、シートの前後移動なども可能
サイドテーブルの下に収納されているシートテーブル
12.5型ノートPCを置いた状態のイメージ

 プレミアムエコノミーは、2-3-2の7アブレストで21席を用意。15~17列目が同クラスに該当する。エアバス A380型機で採用されたものと同じ座席を使用しており、ヘッドレスト中央が手前に引き出せる“6-Way”と呼ばれる新しいタイプのヘッドレストや、レッグレスト、フットレストを備えるリラックスした姿勢をとりやすいシートになっている。

 シートピッチは38インチ(約97cm)、座席幅は19.3インチ(約49cm)で、シートモニターはタッチ対応の15.6インチ。フレキシブルアームの読書灯や、AC電源、USB電源も各席に備える。

プレミアムエコノミー
レッグレストの装備が大きな特徴。2列目以降はフットレストも装備。ファブリックも座席ごとに柄が異なる
プレミアムエコノミーのエリアを後方から
アームレストの下に収納ポケット。側面に機内エンタメのコントローラや、背もたれ&レッグレストのロックを解除するためのボタンを備える
電源はアームレストの下に。AC電源とUSB電源を利用可能
シートモニターは15.6インチ。アームレストの下と合わせて、収納ポケットの多さが一つの特徴
フレキシブルアームの読書灯
シートテーブルはアームレストに収納されている。このまま90度回転することもできる
12.5型ノートPCを置いた状態のイメージ

 エコノミークラスは、最後方座席などを除き3-3-3の9アブレスト。もっとも青色が強調されたANAらしいファブリックで、座席ごとにデザインが異なっているのが特徴。3席単位で少し前後にずらして配置するデザインは、同社のほかの機種と同じコンセプトを踏襲している。

 背もたれをスリム化したシートで、プレミアムエコノミーと同じく“6-Way”と呼ばれる中央を手前に引き出せる新しいヘッドレストを装備。各席に13.3インチのタッチ対応シートモニターも備える。

 AC電源とUSB電源を一体化したコンポーネントであるのはビジネスクラスやプレミアムエコノミーと同じ。従来の機種との大きな違いは、前方座席の背もたれ部分に搭載している点。足下にないのでより利用しやすい配置となっている。

エコノミークラス
エコノミークラスの前方エリア(20~31列目)
エコノミークラスの後方エリア(32~47列目)
エコノミークラス後方から
横から見ると前後に少しずらして配置していることが分かる
最前方席。この席のみシートモニターが11.6インチとなり、機内エンタメのコントローラやAC&USB電源を足下に備える
最後方の47列目のみ、両サイドが2席のシート(2-3-2)配置となる
隣接したシートの柄が異なるようにデザイン
新たに“6-Way”タイプを採用したヘッドレスト
前方席の背もたれに13.3インチのシートモニターや機内エンタメのコントローラ
下方にはシートポケットとフットレストを装備
機内エンタメのコントローラ
前方シートの背もたれにAC電源とUSB電源を装備する
シートテーブル。写真右下は12.5型ノートPCを置いた状態のイメージ
バルクヘッド席
上部のサイン
オーバーヘッドコンパートメント

 このほか、機内に9か所あるラバトリーは、いずれも温水洗浄便座付きトイレを採用。おむつ台を6か所のラバトリーに備えるほか、エコノミークラスの途中にあるラバトリー1か所は車いすに対応する。

 サービス面では、インターネット接続を利用できる機内Wi-Fiサービスも提供。利用できるのは、フルフライト定額利用が可能な「ANA Wi-Fi Service 2」となる。

 シートモニターを利用した機内エンタテイメントサービスもデザインと機能をリニューアルし、スワイプ式の新しい操作体系などに変更。地図機能はANA Flight Pathの新たな3Dマップを採用し、「フォートラベル」の観光情報、クチコミ情報などを提供するという。

ギャレーは機内4か所
ラバトリーは機内9か所で、1か所のみ車いす対応。全ラバトリーが温水洗浄便座を備える
機内誌や安全のしおり
コックピット