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ANA、定例会見で2020年3月供用開始の「総合トレーニングセンター(仮称)」を紹介
「リアルファイヤーファイティングトレーナー」日本初導入
2017年5月17日 20:38
- 2017年5月17日 開催
ANA(全日本空輸)は5月17日、2017年度初回の定例会見を実施した。会見にはANAHD(ANAホールディングス)代表取締役社長 片野坂真哉氏、ANA 代表取締役社長 平子裕志氏が出席した。
ANAの2016年度の連結決算と中期経営戦略「ローリング版2017」については既報のとおりだが、片野坂氏から改めて概略の説明があり、2期連続で最高益を更新し、営業利益率は8.2%と過去最高水準であったことや、中期経営戦略で掲げた目標を達成するために経営の基盤固めが必要であるとして、「安全とサービス品質の総点検」「人への投資」「ピーチ(Peach Aviation)の連結子会社化」という3つの取り組みが挙げられた。
「ANAブランドとしては、フルサービスキャリアとして世界のトップティアエアラインを目指します。LCCブランドはANAとの棲み分けを考慮しながら、中距離路線への進出を検討しています。ノンエア事業においては、越境Eコマースなど将来の収益源を確保していきます」と述べた。
社長就任後、定例会見に初めて臨む平子氏は、就任以降羽田空港などの現場に何度も足を運び、その様子に触れて実感したのは「現場を支える人の大切さ」であったとして、人材育成の重要性を強調した。
安全・業務品質の向上と、人への投資を積極的に行なうため、2020年3月の供用開始を目指して「ANA総合トレーニングセンター(仮称)」を建設すると説明。会場には模型も用意された。
ここでは空港の設備を忠実に再現して整備・旅客・貨物の訓練が行なえるほか、パイロット向けには実機同様の「フルフライトシミュレータ」、CA(客室乗務員)向けに飛行中の揺れなどを再現できる可動式機体訓練機器「モーションモックアップ」、火災訓練用の「リアルファイヤーファイティングトレーナー」などが備わる。
これまで非公開だった訓練施設は、トレーニングセンターの新設にあたり一部が見学エリアとして開放される予定だという。
また、先週フランクフルトでスターアライアンス各社のCEO会議に出席したという平子氏は、2017年にスターアライアンスは20周年を迎えたが、発足当時と時代は大きく変わっており、これまではグローバル・最大規模を目標に成長してきたが、これからはどこにいても即座に最新情報をオンラインで入手できる“デジタルトラベラー”の要求をどう満たすか、という時代であると述べた。
このデジタルトラベラーについて、質疑応答で詳細を問われた平子氏は、「例えばモバイル機器を持っている方なら、機材やサービスなどANAのフライトの詳細をすぐに知ることができるわけですが、パートナー会社のフライトの詳細についても知ることができたり、預け入れた荷物がどこにどんな状態であるかが分かったり、といったアプリをスターアライアンスの本拠地があるフランクフルトで開発を進めており、まもなく公開される見込み」であると明かした。
また、ノンエア事業の詳細について問われた片野坂氏は、「航空事業が何らかの打撃を受けた際にグループを支えるのがノンエア事業であってほしい」として、例えば顧客資産を活用したマイル、医療、健康ビジネスなどを展開できると考えているという。さらに、中国からの観光客の爆買いに代表されるような消費は弱くなってきたものの、帰国してから日本の魅力ある商品を購入する「越境Eコマース」は非常に伸びており、我々もこうしたマーケットに進出してノンエア事業を育てたいと説明した。