ニュース
ANA、伊丹空港のラウンジを2月1日リニューアルオープン。ビジネスマンの多様なニーズに応え、開放感あるデザインに
座席数は1~2割増。ANA SUITE LOUNGEでは期間限定のご当地グルメ提供
2019年1月31日 16:57
- 2019年2月1日 リニューアルオープン
ANA(全日本空輸)は、2月1日に伊丹空港の国内線ラウンジ「ANA SUITE LOUNGE」と「ANA LOUNGE」をリニューアルオープンする。それに先立って1月30日に内覧会を実施し、新ラウンジの内部を関係者に公開した。
ANAマイレージクラブ会員のダイヤモンドメンバーなどが利用可能な「ANA SUITE LOUNGE」、プラチナメンバーやSFC(スーパーフライヤーズカード)会員などが利用可能な「ANA LOUNGE」ともにリニューアル。2階と3階に分かれている従来のラウンジとは異なり、エントランスを1か所に集約し、エントランスカウンターに向かって左側にANA SUITE LOUNGE、右側にANA LOUNGEを配置する。
ラウンジ内覧会にあたって、ANA 執行役員 大阪空港支店長 兼 ANA大阪空港 代表取締役社長 衛藤勇氏は、「伊丹空港はつい先だって開港80年、4回目の成人式イベントが行なわれた大きな節目の年になっている。そのなかで、ANAも新しいラウンジをオープンできること。また、2018年の春に中央エリアをオープンし、2020年のグランドオープンに向けて、いわば伊丹空港が進化をしている途上にあるなかで、同じようにラウンジが新しくなり、さらに魅力を増す伊丹空港の一端を担えることもうれしく思う」とあいさつ。
続いて新ラウンジのコンセプト「一期、一会」について触れ、「一期一会という言葉は、茶道、千利休のおもてなしの心を言葉にしたものとして広く親しまれている。ということは、関西・大阪地区から発信をしたおもてなしの心であり、ここで育んできた心が、この言葉には入っていると思う。大阪が作ってきたおもてなしの心をさらに体現するラウンジをオープンし、伊丹空港ならではのおもてなしができるのではないかと思っている。例えば、ラウンジが滑走路側に開けており、ここからは広く外の風景をご覧いただけ、日々刻々と、季節ごとに移り変わる情景をラウンジから感じていただける。まさにこのことは一期一会、一度きりの体験をしていただけることにつながるのではないか」と紹介した。
続いて、ラウンジリニューアルの責任者であるANA CS&プロダクト・サービス室 商品戦略部 部長の原雄三氏があいさつ。隈研吾氏とコンセプトを相談するなかで生まれた「一期、一会」のコンセプトについて、「ANAにとって一番大切なお客さまにとって大切なことはなにか、なにをお伝えしたいかを議論し、やはり日本の伝統美をお伝えしたい。そして、ANAはどちらかというと先進的な航空会社でありたいと昔から思っているので、その先進性。そのなかで一つのコンセプトとして出てきたのが『一期、一会』。間に入っている点は悠久の期間、ずっとANAの大切な会員でいていただきたいという思いと、一期一会のなかでのスパークリングなモーメントを楽しんでいただきたい」と説明した。
また、「基幹空港は一貫したデザインコンセプトにする」と、2017年の新千歳空港におけるラウンジリニューアルに続き、2019年2月に伊丹空港、福岡空港、那覇空港で順次リニューアルオープンを迎えることを紹介(日程等は関連記事「ANA、伊丹、福岡、那覇の国内線ラウンジを2月から順次リニューアルオープン」を参照されたい)。「皆さまにたくさんご利用いただき、『よいのを作ったじゃないか』と言っていただけるように。また、もっとよくするためのアドバイスをいただいて、皆さまと一緒に大きく、よいものにしていけるようなラウンジにしていきたい」との思いを述べた。
ラウンジデザインを担った隈研吾建築都市設計事務所の名城俊樹氏は、伊丹空港の新ラウンジについて設計、デザイン面でのポイントを紹介。
全体的なデザインのポイントとして、「伊丹空港は『時間』をテーマに考えた。伊丹空港はビジネス客が多く、長く過ごされる方もいらっしゃるし、非常に短時間で出て行かれる方もいらっしゃると思う。そのような、いろいろな過ごし方に対応できるようなラウンジにできればと全体をデザインしている。例えば、新千歳空港よりも多くの什器類を使用して、いろいろな方の過ごし方に対応できるように、と考えている」と紹介。
また、新千歳空港では北海道の丘陵をイメージした苔山をカウンター風テーブルに設置しているが、伊丹空港では大阪や京都、関西地区の工芸品などを展示。大きく4種類の工芸品を、ANA SUITE LOUNGEとANA LOUNGEそれぞれで展示している。名城氏は展示品について、「代表的な工芸品と思われるもの。伝統的ななかにも先進性を持った新しさを感じられるもの。ANAのイメージカラーの青に合わせたもの」といった基準で選定したことを説明。「薄い栓の板でシェル状の棚を作って展示している。各ラウンジに入ってすぐ目に留まるカウンター風テーブルに設置しているので、ラウンジの大きなイメージを作るものと考えている」と話した。
このほか名城氏からは各ラウンジのポイントなどについても説明があった。その内容は、後述するそれぞれのラウンジの項で紹介する。
また、ANA SUITE LOUNGEで提供する食事メニューについて、ANA CS&プロダクト・サービス室 商品戦略部 マネジャーの安永慎司氏が説明。ANAからの発表にあったとおり、伊丹空港ラウンジでは「ANAオリジナル『明石焼き』」(期間限定)、マネケンの「チョコレートワッフル」を提供する。
ANAオリジナル「明石焼き」は、ANA向けに開発してもらったという兵庫県明石市の郷土料理。ふわふわの玉子焼きがカウンターに並び、その場で出汁をかけていただくことができる。
マネケンは、ベルギーの製法にこだわって焼かれているワッフルで、以前は伊丹空港内にも店舗を展開していたが、中央棟のリニューアルに伴って現在は出店していない状況となっている。伊丹空港のANA SUITE LOUNGEでは、現在もプレーンワッフルを提供しているが、「ラウンジリニューアルオープンとバレンタインデーにちなんで」(安永氏)と、3月31日までの期間限定でチョコレートワッフルを提供。4月1日以降は、現在と同じプレーンワッフルを提供する。
滑走路が背景のエントランスエリア
エントランスエリアはカウンターの奥が窓となっており、滑走路を望む開放的な空間になっている。この背景が窓というのは伊丹空港のラウンジの特徴になるという。シェードも半透過な越前手漉き和紙「光壁」で雲のイメージを醸し出す。
先述のとおり、カウンターは1か所で、ここから左側(下記の写真でいうと奥側)がANA SUITE LOUNGE、右側がANA LOUNGEとなる。ANA SUITE LOUNGE寄りには車いす利用者向けのローテーブルカウンターを備えている。
天井は「フラップ天井」と呼ばれている、飛行機のフラップを模したデザインになっている。
ゆったりくつろげるソファが多く並ぶANA SUITE LOUNGE
ANA SUITE LOUNGEは、従来の約110席から約130席へと2割弱の増席。壁にウォールナット素材を用いているのが特徴で、名城氏は「ゆっくりと過ごしていただくことを前提に濃い色を用いた」と説明する。
入ってすぐのところに、工芸品も展示している大きなカウンター風テーブル。フードカウンターと窓際がカウンタータイプのテーブルとなっているほかは、ソファタイプのシートが並んでいる。ソファタイプのシートはエリアごとに4種類が使われていた。
ちなみに、各座席にAC電源とUSB電源を備えているが、USB電源については座席によって仕様に違いがあり、カウンタータイプの座席は5V/1.5A、ソファタイプの座席は5V/2Aとなっているので、短時間利用でもスマホやタブレットをしっかり充電したい場合には、ソファタイプの座席を利用するのがお勧めだ。
入り口からすぐのところにある大きなカウンター風テーブルには、京焼・清水焼き、大阪のガラス、京団扇といった工芸品が並ぶ。
フードカウンターは、先述した明石焼きとワッフルのほか、パンやおにぎりも用意。アルコールも充実し、ヱビスビール、アサヒドライプレミアム豊穣、キリン一番搾りプレミアム、サントリー ザ・プレミアムモルツといった4種類のプレミアムビールや、ウイスキー、日本酒・焼酎、ワインが用意される。
短時間の利用者にも配慮。奥に行くほどくつろぎの空間になるANA LOUNGE
ANA LOUNGEは、エントランスや新千歳空港ラウンジと同様に、素材に栓の壁を用いて軽やかなイメージにしている。座席数は従来のANA LOUNGEの約300席から、約330席へと1割ほど増席している。
ANA LOUNGEは、名城氏が「ANAラウンジはどちらかというと早く出て行かれる方も多いのではないかと思い、気軽に座って、すぐに出て行けるようなソファのシーティングエリアを出入り口最寄りの場所に設けている」という点が一つの特徴になっている。
そのシーティングエリアは、電源を備えた幅広の手すりで長椅子を区切ったような雰囲気のシートとなっている。ソファのような見た目だが、やや堅めのクッションになっていた。
その奥に、工芸品も展示される大きなカウンター風テーブルと、ドリンクコーナーを設置。窓寄りはワーキングテーブルのような印象のエリアとなっているほか、窓に面したカウンター風テーブルも設置している。これらのカウンタータイプのテーブルは、先述のとおりUSB電源が5V/1.5Aとなっている。各座席にAC電源とUSB電源をそれぞれ備える点は同じだ。
さらに奥に進むと、ソファが並ぶシーティングエリアとなる。ここも3種類のソファがエリアごとに使い分けられ、最深部にもっと大きく、深いソファが置かれている。
工芸品が置かれた大きなカウンター風テーブルは、やはり入り口寄り部分のいすが動かせるようになっており、車いす利用者の優先エリアとなる。設置されている工芸品はANA SUITE LOUNGEとはやや異なるほか、一品多い。
フードメニューはほかの国内線ANA LOUNGE同様に提供しないが、アルコールを含めてドリンクを用意。ビールサーバーは4社のビールを提供するものになっている。