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ANA、隈研吾氏監修の那覇空港「ANA SUITE LOUNGE」公開。2月28日にリニューアルオープン
隈研吾氏がANAの機内デザイン監修も。「ラウンジから機内まで共通の雰囲気を作りたい」
2019年2月27日 10:59
- 2019年2月28日 オープン
ANA(全日本空輸)は2月26日、2月28日にリニューアルオープンする那覇空港の新たな「ANA SUITE LOUNGE」の内覧会を実施した。
ANAでは新千歳空港(札幌)、伊丹空港(大阪)、福岡空港、那覇空港(沖縄)の国内線基幹4空港のラウンジリニューアルを順次進めており、2017年9月の新千歳空港におけるラウンジリニューアルを皮切りに、2019年2月から伊丹空港、福岡空港、那覇空港のラウンジリニューアルオープンをスタート。那覇空港では、ANAマイレージクラブのダイヤモンドメンバーなどが利用可能な「ANA SUITE LOUNGE」を2月28日6時5分にリニューアルオープンする。
すでに新千歳空港、伊丹空港、福岡空港で展開しているANA SUITE LOUNGE同様に、建築家の隈研吾氏が監修。伝統的な日本美と先進性を融合した「一期、一会」をコンセプトにしたものとなる。
内覧会にあたってあいさつした、ANA 取締役常務執行役員 伊東裕氏は、「一期、一会」をコンセプトに基幹空港のラウンジリニューアルを進めていることに触れたうえで、監修を務める隈研吾氏を、「ご承知のように、新国立競技場、あるいは品川の新駅である高輪ゲートウェイ駅の設計も担当され、木材を利用した和のデザインでご高名な世界的な建築家。ここ沖縄県においても、石垣市の新庁舎やフォーシーズンズリゾート アンド プライベートレジデンス 沖縄などの設計も手がけている」と紹介。「ラウンジという大切なお客さま、特別なお客さまをおもてなしし、お過ごしいただくラウンジはますます重要になっている。出発前にお過ごしいただくラウンジについては、日本の伝統美を追求、表現すると同時に、お客さまに快適な空間を提供したい」と、隈氏に監修を依頼した理由を述べた。
那覇空港のラウンジについては、「大テーブルに地域性を象徴・表現する工芸品を設置する。合わせて、沖縄県にちなむスイーツメニューを提供する。さらに、秋にはANA LOUNGEもリニューアルオープンし、両ラウンジ合わせて1.8倍の面積になる。いままで以上にゆったりおくつろぎいただける空間を提供できる」と、ラウンジリニューアルに伴う、面積拡張についても触れた。
さらに、「隈先生には、今後導入される機内プロダクトのデザイン・監修もお願いする予定」との計画も明らかにした。
続いて、ANA 沖縄空港支店長 兼 ANA沖縄空港 代表取締役社長の小林克巳氏があいさつ。「那覇空港は、ここ数年、利用者が増加の一途を辿っており、空港全体が常にたいへん混雑している状況。これまで拡張の余地がなかったが、このたび国際線ターミナルと国内線ターミナルを連結する新しいターミナルとして内際連結ターミナルが、来月(3月18日)全面オープンする。そういったなかでラウンジを拡張するスペースも生まれ、このたびANA SUITE LOUNGEの拡張、リニューアルを実施できた」と那覇空港の現状などを紹介。
2014年12月にオープンした現在のANA SUITE LOUNGEについては、「2014年12月にオープンし、40席を設けている。オープン当初は好評だったが、年々、利用者の数が増加し、現在は当時と比べて1.7倍ほどのお客さまにご利用いただき、こちらのラウンジも混雑をして、ご迷惑をおかけすることがしばしばあった」とし、「今回、70席へ拡張した新ANA SUITE LOUNGEで、混雑でご迷惑をおかけすることが今後はなくなっていくだろう」との期待を述べた。
また、2019年秋のリニューアルオープンを予定する「ANA LOUNGE」についても触れ、「ANA SUITE LOUNGEの隣で間もなく工事に入る。こちらは90席から180席まで席数が増えるので、いままでご迷惑をかけていたが、この2つのラウンジがお客さまに出発前のくつろぎの場を提供できるようになるのでは」と混雑緩和による利用者の快適性向上に期待した。
そして今回のリニューアルに対し、「素晴らしい空間を作っていただいた。私ども社員一同も、この空間に負けないような精いっぱいのおもてなしに努めたい」との意気込みを示した。
那覇空港のANA SUITE LOUNGE内覧会には、デザイン・監修を務めた建築家・東京大学教授の隈研吾氏も臨席。那覇空港のラウンジについては、「沖縄らしさをどう出すか。ANAのラウンジはそれぞれの地域性を大事にしながら、それぞれの場所の魅力を伝えるようなラウンジにしたいと考えている。今回の那覇空港のラウンジでは、全体に“沖縄らしい明るくて力強い色”をベースにデザイン。カウンターの材料、椅子の張り地、私が考える沖縄らしさを活かしたデザインになっている」と特徴を紹介。
壁材は明るい色合いは栓、ANA SUITE LOUNGE内の落ち着いた色合いはウォールナットを使うという、他空港のラウンジと同じ雰囲気となっている。この点について隈氏は、「いろいろな木のなかで、栓とウォールナットは、どの地域にも合う」と採用の理由を説明。
さらに、先の伊東氏の話で機内デザインにも携わることに言及があったが、隈氏は「機内デザインも基本はこの系統でデザインしている。ラウンジから機内まで共通の雰囲気を作りたい」と明かした。
那覇空港のラウンジについてはコンシェルジュカウンターや大テーブル、ソファ席のサイドテーブルなどに用いた人造大理石を特徴に挙げ、「この色は新しく出た素材で、あまり世の中で使われていない色。ウォールナットによく合うし、沖縄らしい海の感じがしたので、見た途端に『これは!』と、那覇空港のラウンジにだけ全面的に使っている」と紹介した。
また、2月にリニューアルオープンした伊丹空港や福岡空港と同様、大テーブルの上には地元の工芸品を展示。「沖縄は工芸においても非常にユニークで優れたものがある」とし、「ガラスや焼物に関してはANAのカラーであるブルーを基調にし、沖縄の海を感じていただくと同時に、ANAを感じていただける」と選択の理由を説明。
全体的なデザインについては、「和紙や木といった温かい素材をテーマにし、日本は2020年オリンピック・パラリンピックで日本の美や日本の自然を一つのテーマにしているので、それを連動するデザインになっている」とした。
このほか、ラウンジのデザインについて、「私自身、沖縄でいくつかプロジェクトをして、飛行機に乗って沖縄に何度も来ているので、私自身がくつろげ、皆さんにくつろいでいただける沖縄らしいラウンジにするにはどのようにすればよいかを考えた結果。それが、このANA SUITE LOUNGEのインテリア」とコメント。
加えて、隈氏が考える“理想のラウンジデザイン”について尋ねると、「これまでは、世界的にもそうだが、例えばANA SUITE LOUNGEのようなラウンジではゴージャスに大理石を使ったりしている。これからのクオリティは、豪華な石やピカピカした金属ではなく、柔らかい素材、温かい素材がよいなと、私は木を主役にして選んでいった。そのあたりが世界のラウンジのなかでの新しい流れになるのではないかと思っている。飛行機は特別なものではなくて、生活の一部になって、飛行機のなかでも家にいるようにくつろげるようになるのでは。ANAのラウンジはその代表格になるのではないかと思う」とコメントした。
専用保安検査場からANA SUITE LOUNGEに直結
新たなANA SUITE LOUNGEは、保安検査場C寄りの場所にあり、従来のANA SUITE LOUNGE/ANA LOUNGEから、さらに保安検査場Cの方へ進んだ位置に入り口がある。内覧会が行なわれた日には設置されていなかったが、入り口を入った場所にX線検査機が置かれ、ANA SUITE LOUNGEの利用可能な旅客のみの専用保安検査場となる。
ここを抜けると、すぐにエントランスエリアとなる。エントランスエリアは栓の壁に、カウンター奥が和紙の雰囲気を醸し出す白いバックボードがあしらわれた明るい雰囲気となっている。天井は他空港のリニューアル済みラウンジと同様、飛行機のフラップをイメージしたデザインになっている。
エントランスエリアから左手に向かうと搭乗口、右手に進むとANA SUITE LOUNGEとなる。
ANA SUITE LOUNGEに入ると、コンシェルジュカウンターがあり、その先はすぐにソファなどが並ぶシーティングエリアが広がる。
シーティングエリアは、入り口側から、大テーブルのスペース、個人エリア感の高いソファスペース、緑があしらわれた幅広ソファでくつろげるスペースと、大きく3エリアに分けられている。
大テーブルには沖縄県の工芸品として次のようなものが展示されているほか、入り口に一番近い場所が車いす優先エリアとなり、椅子を動かせるようになっている。
・沖縄のガラス (作:おおやぶみよ氏、読谷村)
・琉球漆器 (作:木漆工とけし 渡慶次弘幸氏/渡慶次愛氏、張り子作家 豊永盛人氏、名護市)
・沖縄の焼物 (作:陶器工房壹 壹岐幸二氏、読谷村)
背もたれが肘掛けにもなる個人エリア感の高いソファが用いられているシーティングエリアは、もっとも座席数が多い。このサイドテーブルにも独特なデザインの人造大理石が用いられている。
その奥のエリアは、ローテーブルに緑があしらわれた、もっとものんびりした雰囲気となっており、ソファも各座席の幅が広めにとられている。
沖縄グルメ&スイーツ、オリオンビールを楽しめるフードコーナー
フードコーナーも他空港との共通メニューのほか、沖縄らしいメニューを取りそろえている。
ドリンクでは、4銘柄を選べるビールサーバーの1つがオリオンビールになっているのが特徴。他空港と同様に、泡盛や日本酒、ウイスキー、ワインなども用意している。
食べ物はさらに沖縄らしいメニューが多く、「ジューシーおにぎり」「沖縄風いなり寿司」、そして「紅芋のスープ」といった沖縄グルメを用意。
さらに、沖縄ではおなじみのBLUE SEAL(ブルー・シール)のアイスクリーム5種類(バニラ、チョコレート、ストロベリー、マンゴー、シークワーサーソルベ)をそろえる。
また、3月31日までの期間限定で、国際通りに店舗を構える「ふくぎや」のバウムクーヘン「ガジュマル」を提供。外周部分に使われた黒糖アイシングの風味が印象的な一品だ。