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セントレア、ボーイング 787初号機を展示する複合施設「FLIGHT OF DREAMS」公開。体験エリア「FLIGHT PARK」を紹介
日本初のボーイングストアは約半数が日本限定商品
2018年10月5日 21:08
- 2018年10月5日 実施
- 2018年10月12日 開業
セントレア(中部国際空港)は10月5日、10月12日に開業する「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」を報道関係者に公開した。ボーイングから寄贈された、ボーイング 787型機の飛行試験1号機「ZA001」の展示を中心に、体験型コンテンツや飲食・物販エリアを設けた複合施設となる。本記事では、体験型コンテンツを提供する「FLIGHT PARK(フライト・パーク)」の内容を中心にお伝えする。飲食・物販エリアについては別記事で紹介する予定だ。
FLIGHT PARKは、FLIGHT OF DREAMSの1階と4階を用いて展開。ほとんどのコンテンツをチームラボがプロデュースし、航空機の製造から、飛行機を運航する仕事までを、インタラクティブコンテンツを用いて体験できる。
FLIGHT OF DREAMSへの入場自体は無料だが、FLIGHT PARKは別途料金が必要な有料エリアとなる。個人向けチケットは、大人(中学生以上)1200円、子供(3歳~小学6年生)800円。営業時間は10時~17時(最終入場は16時30分)。
1階の入場口を抜けると、すぐ目の前にボーイング 787飛行試験初号機「ZA001」が鎮座している。2月までに高さ1.7mの台座の上に設置を完了。飛行機の下などへも潜り込んで観賞できるようになっている。
Fly with 787 Dreamliner(フライ ウィズ 787 ドリームライナー)
チームラボ製作のコンテンツで、ボーイング 787型機の実機を館内の空間を使用した映像と音のショーが定期的に行なわれる。コンテンツは2種類あり、交互に上演される。
このショーはZA001を見られる場所なら、無料のエリアからでも観賞が可能だが、コンテンツを最も美しく見られるのが4階の観覧エリア。4階へは、FLIGHT PARK入場後に整理券をもらうことで、階段を使って上がることができる。
Boeing Factory(ボーイングファクトリー)
ボーイング 787型機の製造工程を、工場にいるような雰囲気で体感できるコンテンツ。およそ1分で1つのラインの映像が終わり、製造開始から終了まで約5分のコンテンツとなっている。リアリティを出すため、一部の映像は米ワシントン州のエバレット工場で実際に撮影したものを使っているという。
Paper Plane Music Field(奏でる!紙ヒコーキ場)
紙ヒコーキを折って、実際に飛ばす体験をできるコーナー。自分で折り、飛ばすことで、どうすれば紙ヒコーキが飛ぶかをトライ&エラーで試すことができる。
紙ヒコーキを飛ばす“光のゲート”では、紙ヒコーキを検知して音が奏でられるほか、光も紙ヒコーキの動きに合わせて変化するなど、見た目にも楽しめるコンテンツとなっている。
Sketch Airplane(お絵かきヒコーキ)
描いた飛行機をドームのなかで飛ばせるコンテンツ。具体的には、まず、飛行機が描かれた塗り絵用紙に好きなデザインでペイントする。それをドームの入り口でスキャンすると、貸し出されるスマートフォンに自分の飛行機が表示されるので、それをタッチ。
するとドームの入り口にある滑走路上に、その飛行機が現われ、ドームの中に向けてテイクオフ。ドームの中のどこかに自分が描いた飛行機が飛んでいる。さらに、貸し出されたスマホを傾けると、その動きに合わせて飛行機の動きも変化。自分が操縦しているような感覚で楽しめる。
Airline Studio(エアラインスタジオ)
航空会社の仕事を実際に体験できるコンテンツ。塗り絵でお客さんをデザインし、その人を空港から飛行機へ、そして飛行機の中でも案内できるものとなっている。
参加者は塗り絵で描いたキャラクターをスキャンしてもらい、自身は用意されたパイロットまたはCA(客室乗務員)の制服を着用。スタジオに立つと周囲の映像が変わり、空港や飛行機のなかにいるかのような雰囲気に。そのなかでさまざまな航空会社の仕事を体験できる。
目の前には自分が仕事をしている様子を映し出すテレビも置かれている。このテレビでは、CAの機内アナウンスの字幕ガイドなども表示される。ちなみに、制服は子供用はもちろん、160サイズまで用意されているので、大人も安心して参加できる。
ZA001 Flight Deck(ZA001 コックピット)
こちらはZA001実機のコックピットを見学するコーナー。ZA001の寄贈時には、機内を公開しないことになっていたそうだが、協議を重ねて、コックピットのみの公開が可能となったそうだ。
コックピットの手前にはガラスが置かれているので実際に座ったり、触ったりすることはできないが、実際に空を飛んで米国からやってきた本物の飛行機、しかも最新鋭機のコックピットを間近で見ることができる。
787 Dreamliner Explorer(歩いて集める飛行機図鑑)
これは自身のスマホを使って体験するコンテンツ。FLIGHT PARKのエントランスを抜けると、アプリのダウンロード案内がある。そのアプリをダウンロードして、すぐ隣にある機械でチェックインするとコンテンツスタート。
アプリ上に示されたポイントへ行くと、そのポイントのパーツの説明などが表示されることで情報を収集。ZA001の周囲をくまなく歩くことで図鑑が完成する仕組みとなっている。
The Museum of Flight Learning Center(シアトル航空博物館ワークショップ)
米シアトルの航空博物館(Museum of Flight)のSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育プログラムを体験できるワークショップ。工作や実験を通じて、飛行機について理解を深めることができる。
報道公開日には来日したMuseum of Flightのスタッフによって指導方法を学ぶFLIGHT OF DREAMSスタッフの姿があり、パラシュートを作るプログラムを実践しているところだった。なお、参加にあたってはプログラムによって材料費(数百円程度)が必要となる。
787 Simulator(787 シミュレーター)
Luxury Flightが提供するフライトシミュレータの体験コーナー。事前予約のほか別途料金が必要で、撮影のみで1080円(5分)、15分プランで3240円から。各日一部の時間帯で、入場料のみで体験可能な抽選枠を設ける。
日本限定商品が約半数。米国外初の「ボーイングストア」
FLIGHT PARKの出口の先にはボーイングのオフィシャルグッズを販売する「ボーイングストア」がある。ボーイングストアはFLIGHT PARKに入場しない人も買い物が可能だ。ボーイングストアが米国外に出店するのは世界で初めてのこと。
米国のボーイングストアから取り寄せたものだけでなく、国内で独自に開発した商品も約200点用意。特に衣類などは米国サイズだと日本人の体にマッチしないこともあるが、日本人向けのサイズで開発しているとのこと。このほかに「FLIGHT OF DREAMS」のオリジナルグッズなども展開する。
このオープンを記念し釜揚げ製法でフライした「ボーイング ハードチップス シーソルト味」を数量限定で販売する(8袋入りで1080円)。
触れそうなほど間近で見学できるボーイング 787飛行試験初号機「ZA001」
冒頭でも触れたとおり、台座の上に設置されたZA001は間近で見学が可能。タイヤなどは触れそうなほどの位置にあり、飛行機好きでなくても貴重な体験となるだろう。
来場者目標は将来的に300万人。LCC向けの新ターミナルとも連携図る
報道公開に合わせて、中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏が報道陣の取材に応えた。
開業を迎えるFLIGHT OF DREAMSに対し、ここまでの社員の努力などをねぎらったうえで、「中部国際空港が将来どのような形にしたらよいかを考え、FLIGHT OF DREAMSに代表される、皆さんが来て楽しめる空港、地域の産業を代表できる空港に向けて取り組んだ」と、航空・宇宙産業が集める中部エリアの象徴的な存在としたいとの思いを語った。
また、来場者の目標は当初は年間150万人とするが、将来的には300万人を目標に掲げた。これは2019年供用開始予定のLCC向け新ターミナルや愛知県が建設中の国際展示場のオープンを見据えたもの。
特にFLIGHT OF DREAMSとは道路をはさんで隣に立地することになるLCCターミナルについては、「LCC向けターミナルということで飲食店なども多くは用意できない。中部国際空港セントレアホテルの新館もあり、そちらの利用者が(FLIGHT OF DREAMSの)飲食店を利用するようなこともあるのでは」と連携させていく考えを示した。
こうした施設によって飛行機に乗る人だけではなく、空港そのものを目的とした来訪者数増加に期待を寄せる一方、空港としては、リニア中央新幹線の開業後に中部と東京が約40分で結ばれることから、中部イン~東京アウト、東京イン~中部アウトといったオープンジョーの需要増にも期待を示した。