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ボーイング 787初号機が道路を通って、2018年夏開業予定の展示施設「フライト・オブ・ドリームズ」へ移動

セントレアで開催された「ボーイング787機体移動イベント」

2017年12月17日 開催

2018年夏開業予定の展示施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」に搬入されるボーイング 787初号機

 セントレア(中部国際空港)は12月17日、ボーイング 787型機の飛行試験1号機「ZA001」(登録記号:N787BA)を現在建設中で2018年夏開業予定の展示施設「FLIGHT OF DREAMS(フライト・オブ・ドリームズ)」に搬入する「ボーイング787機体移動イベント」を一般公開した。

 2018年夏に開業予定の「FLIGHT OF DREAMS」は、ボーイング 787初号機を建物1階に展示するとともに、チームラボが手がける「見る」「読む」「動く」「触る」「聞く」というインタラクティブな体験ができるコンテンツを展開。2~3階にはボーイング発祥の地、米国・シアトル由来の飲食・物販店舗が用意される複合型商業施設になる。

「ボーイング787機体移動イベント」では、これまでセントレアの制限エリア内に駐機されていたボーイング 787初号機が、ANA中部空港社員によって運転するトーイングカーで、約900m離れた建設中の施設内まで移動した。主催者によるとボーイング 787クラスの大きさの航空機が空港の制限エリア外へ移動することや、昼間に一般公道を横断することは、日本初の事例という。この機体移動イベントは、先着3500名で募集された参加者へも一般公開され、移動途中で一時駐機したボーイング 787初号機の間近で見学や撮影を楽しむことができた。

ボーイング 787初号機(ZA001)とドリームリフター(747LCF)
2018年夏開業予定の複合型商業施設「FLIGHT OF DREAMS」

 イベント当日は、11時15分から始まった記念式典に、中部国際空港 代表取締役社長 友添雅直氏、ANA中部空港 代表取締役社長 菊池裕司氏、ボーイング ジャパン 社長 ブレット・ゲリー氏が登壇、それぞれ挨拶を行なった。

中部国際空港株式会社 代表取締役社長 友添雅直氏

 中部国際空港の友添社長は、「この787が(セントレアに)やってきたのは2015年6月でした。この中部地域で機体の35%の部品を作っているということで第2の故郷に戻ってきたと思っています。これまではスカイデッキからしか見ることができませんでしたが、この日を迎えるまでボーイング ジャパンのゲリー社長や本社の方にお世話になり、機体のメインテナンスから、将来に向けてFLIGHT OF DREAMSでの活動、皆さんに対する展示の仕方などをいろいろアドバイスいただきました。そして、900mを移動するこのイベントになりますが、ANA中部空港の菊池社長はじめ、多くのグランドスタッフの支援でこのイベントを実現できることになりました。技術的には難しく建物に入る最後の部分では、翼と建物のクリアランスが70cmしかないということで技術のある人がこれを引いてくれます。今後、来年の2月ごろにFLIGHT OF DREAMSの外壁が埋まってまいります。4月ごろには内装が完成して、そして夏には皆さまには中に入ってもらって、リアルな787を見ていただけるようになります。また、シアトルのテーマを持った飲食物販もありますので、きっと皆さまにお楽しみいただけると思います」と、FLIGHT OF DREAMSへの期待感を述べた。

ANA中部空港株式会社 代表取締役社長 菊池裕司氏

 ANA中部空港の菊池社長は「ANAは中部国際空港で一番多くの飛行機を就航させていただいております。このことへの自負と中部国際空港さまとの日ごろからの良好な関係、ローンチカスタマーとしてのボーイング 787型機への愛着、そしてFLIGHT OF DREAMSの夢とチャレンジを後押ししたいというコンセプトへの共感から、この度スポンサーとして参画をさせていただくことになりました。本日は、中部国際空港でのハンドリングを任されております。ANA中部空港がこの大イベントのサポートを全面的にさせていただきます。このような機会をいただけたことに感謝するとともに身の引き締まる思いです」などと挨拶。

ボーイング ジャパン株式会社 社長 ブレット・ゲリー氏

 ボーイング ジャパンのゲリー社長は「我々がZA001とよぶ787型機にとって記念すべき日。この機体が初めて空を飛んだのは今から8年前、雨が降る2009年12月15日でした。飛行機の設計と製造に携わる人の夢と希望を乗せて大空に飛び立ちました。ZA001が航空産業の歴史において特別な意味を持つのはそのためです。ZA001と全てのドリームライナーは日本の航空産業とボーイングとのユニークなパートナーシップの象徴、ドリームライナーの機体構造の35%は日本のパートナー企業によって作られています、そしてドリームライナーの成功は日本の航空会社に支えられています。現在99機の787が日本の空を飛んでいて、これは世界のどの国よりも多い数字です。その面でZA001は日本にある100機目の787型機となります。さらにここセントレアはドリームライナーの製造の中核を担っており、すべての787の翼と胴体は日本で作られセントレア空港でドリームリフターに積み込まれます。そしてアメリカの組み立て工場へと運ばれます。ドリームライナーの最初の翼もこのセントレアから出発しました、ですのでZA001にとって故郷と言ってふさわしい場所はありません。ボーイングの全社員が、この機体の里帰りとFLIGHT OF DREAMSの展示施設に注目してきました。ZA001が新しい住まいに入って、新たな歴史を刻むこの日を迎えられたのは、大変光栄に思います」と感想を述べた。

ボーイング 787 初号機(ZA001)とドリームリフター(747LCF)をバックに登壇者による記念撮影

 記念式典が終了した11時30分からZA001号機が移動開始。ZA001号機が駐機されている場所の近くには部品輸送機のドリームリフター(747LCF)も駐機されドリームリフターのまわりをぐるりと回って、ZA001号機が来場者の前にある臨時駐車場を3~4km/hといったゆっくりとした速度で移動した。

ドリームリフター(747LCF)のまわりを回ってボーイング 787初号機が登場
来場者の前をゆっくりと移動した

 移動の途中、一般来場者に機体を間近で見学できるようZA001号機は一旦駐機され、集まった来場者たちは記念撮影などを楽しんだ。

来場者は駐機した機体を前に写真撮影などを楽しんだ
建設中の「FLIGHT OF DREAMS」

 イベントの最後は、ZA001号機の機体が一般公道を横断して建物内への搬入が行なわれた。建物内への搬入では、機体の両翼と建物の間のスペースは約70cm。現場スタッフの確認のもと慎重に作業が進められZA001号機の搬入が完了した。

建物と両翼のクリアランスは70cmという

 同イベントで、トーイングカーの運転を担当したANA中部空港 グランドサービス部 ランプサービス課の松永悟氏は「誤差数センチ単位で収めなければならず、風が強かったので風の影響を考慮しながらコントロールするのが非常に難しかった」と、感想を話していた

「誤差数センチ単位で収めなければならず、風が強かったので風の影響を考慮しながらコントロールするのが非常に難しかった」と感想を話したトーイングカーを運転したANA中部空港株式会社 グランドサービス部 ランプサービス課 松永悟氏
関係者全員で記念撮影