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9月20日供用開始を決定したセントレア「第2ターミナル」。LCC向けでは国内初の自動手荷物預け入れ機など、機能性と利便性を追求

2019年3月28日 発表

セントレアが現ターミナルビルの南側に建設中のLCC向け新ターミナルの開業日を9月20日に決定した

 セントレア(中部国際空港)は3月28日、2019年度上期のオープンを目指して整備を進めている新ターミナルビルについて、供用開始日や名称、施設概要などを説明する記者会見を実施した。

 すでにお伝えしたとおり(関連記事「セントレア、LCC向けの新ターミナルを9月20日オープン。名称は『第2ターミナル』」)、供用開始日は2019年9月20日、名称は「第2ターミナル(T2)」となる。この供用開始に伴い、現在のターミナルビルは「第1ターミナル(T1)」と呼称されることになる。便宜上、本記事でも現ターミナルを第1ターミナルと表現する。

第2ターミナルの供用開始日と名称
第2ターミナルのイメージパース

 会見で説明にあたった中部国際空港 取締役 常務執行役員の尾頭嘉明氏は、第2ターミナルの施設概要を「『利便性と機能性の追求』『拡張性の確保』『新たなにぎわいの創出』をコンセプトに、最新機器の積極的な導入によってお客さまの負荷を軽減し、分かりやすく明るい空間でカジュアルに旅を楽しんでいただけるターミナルを目指している。『FLIGHT OF DREAMS』や、8月30日に開業する愛知県の国際展示場『Aichi Sky Expo』など、多様な過ごし方、楽しみ方をできる新たなゲートウェイがオープンする」と説明。

中部国際空港株式会社 取締役 常務執行役員 尾頭嘉明氏

 建屋は本館とサテライトの2棟から成り、2階建てで延床面積は約4万5000m 2 。第1ターミナルの南側に位置し、本館は2018年10月12日に開業したFLIGHT OF DREAMSの西側となる。FLIGHT OF DREAMSとは連絡通路で直結しており、鉄道や高速船、クルマでの来場者はFLIGHT OF DREAMSのなかを通って行き来することを想定。現在建設中のAichi Sky Expoも含めて連絡通路で接続する「空中回廊」を構成する。

 中部国際空港では、第2ターミナルやAichi Sky Expoの開業による、FLIGHT OF DREAMSの来場者増加も見込んでいる。現在、FLIGHT OF DREAMSの閉館時刻よりも早めに終業する飲食店などについても、尾頭氏は「通行者数が飛躍的に増えるので、遅くまで営業してもらえればうれしいし、そうなるだろうと思っている」との期待を示している。

第2ターミナルの整備事業概要
第2ターミナルのアクセス

 第2ターミナル内は、1階が到着フロア、2階が出発フロアとなっており、国内線と国際線の両方に1つの施設で対応。主に西寄り部分を国際線、東寄り部分を国内線で使用する。本館にはチェックインカウンターや入出国のCIQ、到着時の手荷物受け取り所などの機能を集約。サテライト棟は出発フロアの国際線エリアに免税店や飲食店を設ける。

 なお、連絡通路も1階が到着用、2階が出発用で、東西に仕切って国際線と国内線を分けている。各通路の有効幅員は概ね2.5mほどになるとのこと。サテライト棟の幅は全体で約20m、国際線と国内線でそれぞれ約10mほどの幅になるという。

フロアイメージ

 飛行機が駐機するスポットは、PBB(旅客搭乗橋)を利用せず、固定橋の搭乗口が10か所、バスゲートが4か所の構成。固定橋と飛行機の間は、パッセンジャーボーディングルーフやエプロンルーフなどと呼ばれる蛇腹で伸び縮みする屋根付き通路を用意。飛行機は階段(パッセンジャーステップ)を使って乗降機する。なお、車いす利用者向けに、リフト付きのパッセンジャーステップや、パッセンジャーボーディングリフト車も用意する。

 搭乗口の内訳は、バス搭乗口は国内線と国際線がそれぞれ2ゲート。固定橋による搭乗口は国際線専用が4ゲート、国内線専用が2ゲート、ピークに応じて国内線/国際線を切り替えるスイング運用が可能な4ゲートを備える。固定橋のスポットは多くが小型機(エアバス A320型機やボーイング 737型機など)に対応したものとなっているが、国際線側の3ゲートについては大型機にも対応できるようにしている。

 また、国際線で到着して国内線へ乗り継ぐ場合の専用保安検査場も用意する。

パッセンジャーボーディングルーフ(エプロンルーフ)を用いた搭乗スタイル
4ゲートはピークに合わせて国内線と国際線を切り替えて運用できる

 第2ターミナル施設内の特徴については、「カジュアルな旅」「気軽な旅」「楽しい旅」「お手頃な旅」の4つの視点で詳細の説明があった。

「カジュアルな旅」の視点では、「ターミナル全体が明るい空間となっている。例えば(本館の)出発ロビーはチェックインから一番奥の保安検査場まで一直線でつながる広い通路を設けており、視覚的に動線が分かりやすい工夫をしている。通路は滑走路イメージして、天井は空のイメージで青色にした。滑走路から飛行機が離陸するかのように、旅に出るワクワクを感じていただければ」と話した。

 到着ロビーには木目調の壁や提灯をイメージした照明など、和のテイストを織り交ぜる。尾頭氏は「日本に到着した安堵感や、外国人訪問客には日本到着時のおもてなし感を感じていただければ」との狙いを語った。

 また、出発、到着ともに本館~サテライト棟内においては階層の移動がなく、フラットで分かりやすい動線としていることも特徴となっている。

「カジュアルな旅」
チェックインロビー
到着ロビー

「気軽な旅」の視点では、搭乗手続きや待ち時間を短縮して、旅客の負荷を軽減できるような機能を盛り込む。預け入れ手荷物については預け入れたあとにセキュリティチェックを行なうインライン・スクリーニングとし、LCC向けターミナルとしては国内初導入となる自動手荷物預け入れ機を6台導入するほか、自動チェックイン機も設置。さらに保安検査場では、「スマートレーン」を導入することで待ち時間の短縮を図る。

「気軽な旅」
自動手荷物預け入れ機などを導入するチェックインカウンター

「楽しい旅」の視点では、免税店エリアや飲食エリアの設置を紹介。尾頭氏は、「国際線の出国審査後の免税店エリアでは、お酒、タバコ、お菓子、医薬品など幅広く商品をそろえ、楽しい旅の始まりをサポートする」と説明。第1ターミナルの免税店でしか取り扱いがない一部商品についても、第2ターミナルでの予約対象商品であれば事前予約をして第2ターミナルで受け取れるようにする。

 また、外国人に好評だという生鮮品の販売も予定している。

「楽しい旅」
免税店エリア
サテライト棟内の搭乗待ち合いロビー

「お手頃な旅」の視点では、旅客施設使用料(PSFC)を紹介。国際線のPSFCは出発時のみ、1名あたり大人1280円、小児用運賃利用者640円に設定。第1ターミナルの国際線出発時のPSFCはそれぞれ2570円、1290円なので、半額程度に抑えることになる。

 なお、国内線のPSFCや、消費税率10%化以降の金額については別途案内するとしている。

「お手頃な旅」。国際線の旅客施設使用料は第1ターミナルの約半額

 ちなみに、PSFCは旅客に対するメリットとなるが、航空会社にとっても、例えばPBBの運用コストが不要であったり、国際線/国内線が1か所にまとまっているので人や設備を運用しやすかったりするなどのメリットがある。金額は公開していないが、航空会社に対する利用料金も第1ターミナルより引き下げているという。

 第2ターミナルを利用する航空会社は、現時点ではエアアジア・ジャパンとチェジュ航空が利用意向を表明しているほか、ジェットスター・ジャパンが移転の方向で検討を進めているという。尾頭氏は「現在セントレアには11社のLCCが就航しているが、非常に高い関心をいただいている」とし、供用開始までにさらに利用航空会社が増えるとの見込みを示している。

建設が進む第2ターミナル。将来的な拡張の余地も

 9月20日の供用開始に向けて進められる建設工事は、建物の鉄骨が組まれ、形状をイメージできるところまで進んでいる。

建設中の第2ターミナル
搭乗口のレイアウト
国内線側のスポット
国際線側のスポット
サテライト棟の付け根付近にバスゲートが設けられる
連絡通路
本館。右端に見えるX状の建物がFLIGHT OF DREAMS

 中部国際空港では、9月20日に供用を開始する本館ならびにサテライト棟で、年間最大450万人(国際線300万人、国内線150万人)の旅客取り扱いを想定。さらに、サテライト棟の東側には拡張用地も取得してある。

 尾頭氏は「具体的な拡張時期はコメントを控えたい」としているが、利用者数が増加した場合には拡張用地に新たなサテライトを建設し、年間750万~800万人程度に対応できる規模の旅客ターミナル施設とすることを見込んでいる。

 また、第2ターミナルの建設工事に伴って発生している駐車場不足の課題については、Aichi Sky Expoに隣接する2棟の立体駐車場の整備が進められており、「第2ターミナルよりも早い時期に供用できると思っている」としている。また、駐車場に関する今後の計画については、10連休となるゴールデンウィークの対応とともに、4月にアナウンスする予定であるとした。

第2ターミナルの東側に広がる拡張用地
新たな立体駐車場の整備も進む。奥に見える建物が愛知県の国際展示場「Aichi Sky Expo」で8月30日に開業予定