ニュース

ウミガメに乗ってホノルルに行ってみた。ANAのエアバス A380型機初便で500名以上が一挙ハワイへ

ダニエル・K・イノウエ国際空港では到着も出発もウォーターキャノンで祝福

2019年5月24日 就航

ANAの空飛ぶウミガメ、エアバス A380型機がついに成田~ホノルル線に就航。初便に乗ってハワイに行ってみた

 ANA(全日本空輸)は5月24日、「空飛ぶウミガメ」こと総2階建てのエアバス A380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」をハワイ・ホノルル線に就航した。その初便に搭乗して、ハワイに行ってみた。

 同機の導入に際しては、導入計画が発表された2016年1月からこれまで、機体デザインを含めてさまざまな情報が順次明らかにされてきたが、この日、ついにホノルル線への就航となった。まずは火・金・日曜の週3便運航となるが、7月1日から週10便へと増便して利用を広げていく。

 就航日となる5月24日の成田発NH184便は、45番ゲートからの出発。その隣の43番、44番ゲートの前で就航記念セレモニーが行なわれ、ウクレレ演奏やフラパフォーマンスが行なわれたほか、ANA代表取締役社長の平子裕志氏や、千葉県副知事の滝川伸輔氏によるあいさつがあった。その内容は別記事のとおりだ(関連記事「祝・就航! ANAのエアバス A380『FLYING HONU』が成田を出発。「大きな飛行機がホノルルに。これをきっかけに環境保護を進めたい」と平子社長」)。

エアバス A380型機就航に合わせて行なわれた記念セレモニー会場。ANAスタッフもFLYING HONUシャツを着用。隣のゲートを使用したので、スクリーンでは機体をライブ中継した
就航記念セレモニー

 19時30分ごろより搭乗が始まり乗客が続々と機内へ。ゲートの入り口に飾られた記念のパネルや機体を映しだしたディスプレイ、見送りの平子社長らとの記念撮影などを楽しむ乗客も多く、520名乗りの飛行機という印象以上に搭乗ゲート付近の人の山は普段とは異なる印象だ。搭乗途中、記念品として折りたたみトートバッグとビフォー・アフターバッグも配布された。

 今回はエコノミークラスに搭乗。機内は青色照明を基調にしたウェルカムライティング。機内に入る前からその光が見え、異世界に誘われるような感覚があって気分も高まってくる。

 ちなみにエコノミークラスは搭乗ゲートでも前方、後方で列を分けたほか、PBB(旅客搭乗橋)も、同じく前方と後方で2本を渡している。520名乗りの飛行機だけに搭乗に通常以上の時間は要するものの、わりとスムーズに搭乗が進んだように見えた。出発もスポットを離れた定刻どおり20時10分。16R滑走路からの離陸のために地上走行がやや長めだったが、20時38分に離陸。離陸後には機内で拍手も起こった。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長の平子裕志氏や同執行役員 成田空港支店長の石田洋平氏も見送り(写真中央)。ゲートや機体、平子氏との記念撮影を行なう人が多かった
ANAの成田空港地上スタッフによる記念品の配布
記念品はハワイでの買い物に便利な折りたたみトートバッグと、ビーチなどのアクティビティのときに便利なビフォー・アフターバッグ
機内から漏れる青い光。さっそく違う世界へと向かう感覚
ウェルカムライティングは青色
出発前に通常の照明に戻る
ホノルル線限定で使用されるウミガメ3匹が主演を務める機内安全ビデオ
いよいよ離陸。シートモニターに機外カメラの映像を出して外の様子を楽しむ
離陸して太平洋上へ

 エコノミークラスは、内覧会のレポートでも紹介しているとおり、かなりゆったりした空間で、乗客がいる状態でもその印象は変わらなかった(関連記事「家族連れにうれしいカウチシート。広々とした1階に383席が並ぶANA A380型機のエコノミークラス」)。周囲からも「やっぱり広いね」という声が聞こえてきたが、実際シートの前後左右、つまりシートの座面と足下も広く感じられる。

 個人的に、この広さ以上に好印象を受けたのが画面の大きさとヘッドレスト。

 画面は13.3インチという仕様になるが、実際に目の前にいろいろなコンテンツを映し出すと仕様の数字から受ける印象以上に大きく感じる。エコノミークラスは画面と目の距離が近いからだろう。このおかげで没入感を得やすい。ちなみにコントローラは有線で、PCのタッチパッドのように指をスライドしてカーソルを動かすもの。リラックスした体勢になったあとに画面タッチのために体を起こしたくない人などは、こちらを利用すると便利だ。

 もう一つ印象に残ったヘッドレスト。こちらは新たに採用された、ヘッドレストの下側が上に起き上がる機構がかなり快適だ。この新しいヘッドレストは首を前に押し出すことで、頭を後ろに倒しやすくするものとなる。普通の枕と違って、寝ているうちにどこかに消えているという心配はない。リクライニングやネックピローの目的は、首を休ませつつ、頭を後ろに保持することにあるが、このヘッドレストの感覚は小さなネックピローを首の後ろだけに当てている感じに近い。

 ヘッドレストの下側がほんの少し手前に出てくるだけでこれだけ変わるのかと、ちょっと驚いたのだが、これによってリクライニングをしなくても、もしくは普段よりもリクライニング角を浅めにできるのもよいところ。

 ちなみにこのヘッドレスト下側の凸部分を首のどこに当てるかは結構重要なところだが、ヘッドレストの上下調節はフリーストップではなくて3段階調節なので、最適な位置にするには自分で体を動かす必要が生じる場合もある。ヘッドレストの下側に凸部があるとどうしても下向きのテンションは大きめになり、これをフリーストップにできないのは致し方ないと思う。願わくはもう少し多段階に調整できるとうれしかったが、自分の体を使ってベストの姿勢をうまく見つけたい。

13.3インチのシートモニター。目の前にこの大きさは迫力あり
コントローラ。PCのタッチパッドのように使う。コントローラの使い方、各クラスのシートの使い方などの情報も機内エンタテイメントシステムで見ることができる
この下側に飛び出す部分が、首の付け根を押し出して、よい感じに頭を後ろ向きに保ってくれる
シートポケットもチェック。安全のしおりはもちろん「A380用」。見出しはやや装飾しているがウミガメのキャラクターは出てこない
機内サービスの案内もほかの路線と共用のものだった
機内販売品にはエアバス A380型機の就航記念品。ラニのぬいぐるみはA380型機内限定販売で大人気(記者も買おうと思ったのだが買えなかった……)。初便はあっという間に売り切れたそうだ。機材限定品なのでプリオーダー(事前予約)にも対応しておらず、毎便、争奪戦になるかも?

 ところで、エアバス A380型機ではカウチシート「ANA COUCHii」の導入もトピックとして挙げられる。この日の搭乗者数は512名で、うち座席を利用しない幼児が13名。499名が座席利用“者”となっている。ただ、この“499”という数字は座席利用“数”ではなく、499名のなかにANA COUCHiiの複数座席を購入している利用者がおり、実際の空席は1席だけ、という状況だった。

 つまり、519席から499名を差し引いた20席分が、ANA COUCHiiのプラスアルファ席として販売された数ということになる。2名で3席、4席という購入などもあるが、3列席12セット、4列席6セットのANA COUCHiiの注目の高さを感じる数字ではある。

 そこで、同便にも搭乗していたANAで機内のシートなどを担当しているCEマネジメント室 商品企画部 マネジャーの三井所由佳子氏に、いくつかANA COUCHiiに関する疑問を尋ねてみた。

 まず、現時点ではホノルル線限定で運航するエアバス A380型機のみの導入となっている理由については、路線の特性というよりは、機材による大きな理由で、「特にプレジャーの方だけが使うとは限らないと考えている。A380は機体が大きく、座席数も多いので、お客さまに喜んでいただけることができないかと思って導入した」という。

 60席という席数の設定についてはゾーン(ドアとドアの間)によるもの。ファミリー層が落ち着ける場所ではないかということで、1階席最後列のゾーンに設定した結果、60席になったそうだ。

 さらに座席設定について、ANAのエアバス A380型機では1階席すべてをエコノミークラス、2階席に上位クラスをレイアウトしている。この点については「“2階席はちょっと贅沢な場所”という位置付けにしたのと、サービスのやりやすさを検討した結果。エコノミークラスは(グループ旅行などで)にぎやかに楽しまれる方もいらっしゃいますし、ホノルル線はご家族も多く、ANA COUCHiiにはお子さまも多いと思う」というのが理由とのこと。

 さらに、「特にママが一番気になるのはやはりお子さまが泣くことだと思うで、それを少しでも和らげられれば。それもあってANA COUCHiiの後ろに多目的ルームを導入した。今日も(多目的ルームを)ご利用いただいている方がいらっしゃって、よかったと思っている」といった狙いも。

 ANA COUCHiiというエリアが存在することによって“家族連れが多そうなエリア”が明確になっているのは、子供が泣くことで気を遣うことが心配な両親にとってみると“周囲に同様の家族連れがいそうな席”が分かりやすいという点では心強いように思える。実は、ANA COUCHiiについて“ファミリーゾーン”といった名前を付けることなども検討があったという。しかしながら、逆にファミリー層以外が使いにくくなってしまうのではないかとファミリーを名前に入れるのを取りやめた経緯があるといい、実際、初便でも男性1名や夫婦での利用も見られた。

 このANA COUCHiiの販売については、カウチシート利用での提供を優先するが、通常のエコノミークラスシートの予約が多くカウチのニーズが低い便については、ANA COUCHiiエリアも1席ずつ販売することがあるという。その場合は当然ながらANA COUCHii専用の寝具などは提供されない。専用ベルトが提供されないので、たまたま3列、4列を独占できたとしても、横になってベルトをすることはできない。

 ちなみに、エアバス A380型機以外への導入については、「初めての導入なので、まずは結果を見ないと分からない。ただ、ほかの機体の座席数はエアバス A380の約半分で、そこにカウチシートを導入すると通常の席が少なくなってしまうこともあり、ほかの機材に導入する予定は現在はない。今後、評判がすごくよかったときは検討する可能性はあるが」との、現時点においての考えを示した。

大忙しのギャレー。新導入のコミュニケーションデバイスの使い道は?

 さて、離陸後、水平飛行に入ったあとのCA(客室乗務員)のアナウンスでは、「皆さまに本日ご搭乗いただきましたFLYING HONUについてご案内いたします。このFLYING HONUは機体デザインコンテストで、世界中の合計2197作品のご応募から、ハワイの青い海でゆったりとくつろぐホヌ、ウミガメの親子を描いた作品を大賞として選定しました。ハワイ語でホヌの愛称で親しまれるウミガメは、ハワイでは大変神聖な生き物とされています。ウミガメを見ることができると幸運や繁栄が訪れると言われており、広くハワイの人々に愛されています。この特別塗装機に乗ってハワイに旅をされるお客さまにも幸福が訪れるように願いを込めて、特別塗装機の愛称を空飛ぶウミガメの意味を持つFLYING HONUと名付けました。エアバス A380、FLYING HONUでのホノルルまでの6時間40分の空の旅、どうぞお楽しみください」と同機を紹介。

 また、多田機長からのあいさつでは、「さて、皆さまにご搭乗いただいているエアバス A380について簡単にご紹介させていただきます。長さは約73m、高さは24m、翼の幅は80mの大きさがあります。さらにジャンボジェットのおよそ1.5倍の560トンの重さがあります」と仕様を紹介。「皆さまご存じかと思いますが、ウミガメのことをハワイではホヌと呼んで、ハワイでもとても神聖な生き物とされ、神さまからの遣いを運んでくる海の守り神と呼ばれているそうです。そのホヌから空飛ぶウミガメ、FLYING HONUと名付けられました。皆さまご搭乗機のラニ(Lani)、また先日日本に到着したエメラルドグリーンのカイ(Kai)、3番目にはサンセットオレンジのラー(Lā)。これらが日本とハワイの架け橋になれるよう頑張ってまいります。この先の皆さまの旅の楽しいものとなりますよう、また、FLYING HONUで皆さまの幸運が運ばれますようお祈りしております」とFLYING HONUについて紹介があった。

 そして、すぐにCA(客室乗務員)によるサービスがはじまる。今回は初便ということで搭乗証明書の配付が行なわれたが、並行してギャレーでは慌ただしく機内食の準備がスタート。

 お伝えしているとおり、成田(羽田も含め)発のホノルル行き便では、エアバス A380型機の就航に合わせてエコノミークラスの機内食をシドニー発のオールデイダイニング「bills」とコラボレーションしたものとし、和食、洋食のチョイスをなくしている。エアバス A380型機であれば383席の機内食をスピーディに配膳し、早めに機内照明を暗くするためだ。

 ちなみに、ギャレーは機体前寄りと最後方の2か所にある。シート番号で表わすと最前方の30列目からと、ラバトリーのある58列目から配膳をスタートしていた。つまり、このあたりがもっとも早く機内食が配膳され、食べ終われるポジションということになる。

 最終的には出発から2時間ほどで配膳し、3時間後ぐらいに機内照明が落とされるという流れになった。何列目からサービスを始めるかなど含め、より早くサービスを行なうために、見直しが行なわれる可能性はあるという。

初便の搭乗証明書を配布
普段以上に大忙し(に見えた)ギャレーでの作業
ベビーミールやチャイルドミールも準備。エジソンママのカトラリーが付く
機内サービスの様子
billsとコラボレーションしたエコノミークラスの機内食。以前に地上でも試食の機会があり、風味さっぱり、味は濃いめという印象を受けていたが、空で食べると風味と味の濃さがよい感じのバランスだった。こちらの機内食は5月24日~8月31日、12月1日~2020年2月29日に提供
「ポークシュニッツェル-マッシュポテト、ポーチドエッグ、パセリとケッパーバターを添えて」
「ジャスミンティースモークサーモン、胡瓜のピクルスと枝豆のサラダ」
「味噌でマリネした茄子のソテー、ケールとレタス、トマト、豆腐のサラダ」
bills Waikikiでのドリンクサービスカード
ANAブルーをイメージした「ブルーハワイカクテル」

 機内食サービス終了後、CAの曽我部さんに話を聞いたところ、「今日はナンバー3(58~69列目のエリア)で区切ってサービスを行なったが、普段は6名ぐらいでサービスするところ、10名もいるので、コミュニケーションが大変だった。CAはコミュニケーションがとても大切だが難しいと思った」との感想。

 サービスを見ていると、カートに乗せられないドリンクを取りにギャレーに戻るといったことが頻繁に行なわれているように見えたのだが、「(オーダーを受けたら)すぐに提供したいという思いがあるので、往復が多いと思う」とのこと。これは同機に限らず、他機のサービスでも同様で、「(詳しくはパーサーを交えて話をしないと分からないと前置きしつつ)今日はそれほど多くなかったように思う」とのことだった。

 ちなみに、ANAはエアバス A380型機の就航にあたって、ホノルルへの訓練飛行で100名強を乗せてのオペレーションチェックや、地上で全座席に旅客を乗せての検証などを行なってきた。CAはエアバス A380型機での乗務にあたって本機に対応したトレーニングを受けているものの、初便に搭乗したCA全員がそれらの機内サービスの検証に参加したわけではないという。

 もちろん、実際の乗客に対してのサービスは初めてで、曽我部さんも「昨日は緊張して寝られなかった(笑)。自分も飛行機が好きで、まさか初便に乗れると思っていなかったのでドキドキした」という。自身のチームがホノルル路線の担当になり、エアバス A380型機にも乗務することになることが決まったときには「“やった”って思った(笑)。ほかのクルーは分かりませんが、私はほんとに飛行機が大好きで、ジャンボ(ボーイング 747型機)に乗れなかったので、大型機、そしてホノルル線は私のなかでは大きな存在」と笑顔。

 エアバス A380型機のサービスについて、「まだまだ、どうあるべきか分からないので、乗務を重ねて日々勉強していけたら」とサービス向上に意欲を見せた。

初便の機内サービス後にCAの曽我部さんに話を聞いた

 ちなみに、ANAのエアバス A380型機に乗務するCAは、初便では22名(1階席、2階席で11名ずつ)だが、通常は20名体制(10名ずつ)になるという。感想のなかにコミュニケーションの難しさが挙げられたが、5月23日には、エアバス A380型機に乗務するCAがヒアラブル端末を使うことが発表されている(関連記事「ANA、2階建てのホノルル線エアバス A380機内でヒアラブル端末『BONX Grip』導入。CA間のコミュニケーションに」)。

 このデバイスの活用についても曽我部さんに話を聞いたところ、「リクエストお願いします、といったことを伝えている」とのこと。例えば、CAさんの間で、例えばドリンクをリクエストしたり、前後のギャレー間で物の有無を確認したりなど、想像するならば「○○さん、あれ持ってきて」「これってそっちにある?」というような内容の会話を行なっているそうだ。

 機内では、これまでと同じように、CAが着席するジャンプシートにある受話器を使った連絡も行なわれているが、業務連絡はこれまでどおりインターフォン、CA同士のコミュニケーションにはヒアラブル端末、といった使い分けになっている。

 曽我部さんは機内サービスに初めて利用してみて、「まだ使い方を試行錯誤中だが、結構(便利に)使えたかな、と思う」とのこと。ほかの機種や路線への応用については、「短距離の国際線で、単通路機(エアバス A320型機やボーイング 737型機など)にはあると便利だと思う」との印象を受けたそうだ。

エアバス A380型機のCAが利用するヒアラブル端末「BONX Grip」
自身が話すときは、こちらのデバイスのボタンを押す。腰や胸元など、CAそれぞれが使いやすい位置に身に付けていた
これまでどおり、業務連絡はインターフォンを利用

約500名がホノルル ダニエル・K・イノウエ国際空港に。降機後は1時間とかからず入国

 さて、ホノルルが近づき、FLYING HONUはいよいよダニエル・K・イノウエ国際空港に。04R滑走路に8時22分に着陸し、地上走行後、C4スポットへ。定刻8時30分到着に対し、ほんのちょっと遅れたものの8時36分に到着した。その駐機直前には、消防車によるウォーターキャノンの出迎えがあり、通路席側でも垂直尾翼に取り付けられた機外カメラでその様子を楽しむことができた。

到着の約1時間前に軽い朝食としてバッグ入りのバナナマフィンなどを配布。これまでのANAのホノルル便と同様のサービス
そして、着陸。機内で拍手が起こった
C4スポットへ。駐機直前にウォーターキャノンでお出迎え

 エアバス A380型機の利用でちょっと心配だったのが入国。エコノミークラスの降機、入国審査場までの移動、入国審査場での待ち行列、預け入れ手荷物が出てくるまでの時間などなど、いくつかの“関門”を予想していた。

 まず、降機については2階席から先に降機を始めるものの、エコノミークラスも間もなく降機スタート。後ろの方に座った場合をイメージしてみようと、記者は8割ほどが降りるのを待ってから降機したが、駐機場に飛行機が到着してから20分ぐらい降りることができた。大型機からの降機としては特に時間がかかった印象は受けなかった。

 そして空港内の移動。ANA便でダニエル・K・イノウエ国際空港に到着した場合、これまではGコンコース(ダイヤモンドヘッド・コンコース)を利用し、降機後にそれほど長くない距離をシャトルバスで移動して、ターミナルの中央へ向かう動線となっており、このシャトルバスの待ち時間が読めず、降機が早かろうが遅かろうが関係ない……というイメージがあった。

 だが、エアバス A380型機はCコンコース(エバ・コンコース)に駐機し、歩いて入国審査場に向かうことができる。その距離も10分とかからず、歩く距離はバス移動よりも長くなるのは事実としてあるが、一部にムービングウォークもあるので負担は少ない。バス待ちで立っているよりはラクだと思う。

 続いて、最大の関門である入国審査だが、ここも初便は意外なほど短時間で済んだ。係員の誘導に若干の非効率さを感じたことは否めないが、並びはじめてから窓口を抜けるまでに30~40分ほど。

 そのままバゲッジ・クレームへ向かうと、すでに荷物はターンテーブルから降ろされ、持ち主を待っている状態。そのまま税関へ向かって、空港の外へ出た。

 正直なところ、もしかすると到着から2時間以上かかるのではないかと思っていたのだが、駐機してから1時間30分ほど、降機してからは1時間足らずで入国と、拍子抜けするほどスムーズだった。これは他社の到着機との重なり具合などでも変わることで、あくまで一例であるのだが、少なくとも、500名以上が同時に到着するからといって過度に身構える必要はなさそう、という印象は残った。

到着後はハワイの「6色の虹」を表現したライトアップに
さらに降機時にもプレゼントが
ラニデザインのバゲッジタグもプレゼントされた
ガラス越しだが、ANAの新ラウンジの前を通る動線だったことからラウンジスタッフらもお出迎え
C4スポットに駐機するANAのエアバス A380型機「FLYING HONU」

出発もウォーターキャノンで祝福

 さて、記者は乗らないが、折り返し便となるNH183便(ホノルル11時30分発~成田翌14時55分着)も、この日が初便。搭乗客にはホノルルのウォールアート・アーティストとして有名なJasper Wong氏がデザインしたANAオリジナルの3色クロス(ANAブルー、エメラルドグリーン、サンセットオレンジ)が記念品として配布された。

ホノルル発初便のNH183便搭乗客にプレゼントされたという3色のクロス。描かれているのはインスタ映えすると話題を集めているウォールアートを手がけたJasper Wong氏のANAオリジナルデザイン

 このホノルル発便には513名(幼児9名含む)が搭乗。出発は定刻から30分強の遅れとなる12時05分。プッシュバック後、滑走路へ向かう途中には、再びウォーターキャノンで祝福されていた。そして12時35分。08R滑走路から離陸し、日本へ向けてハワイの空へと飛び立った。

プッシュバックから地上走行へ
滑走路へ向かう途中でウォーターキャノンによる初便の祝福
ダニエル・K・イノウエ国際空港の08R滑走路から離陸するANAのエアバス A380型機「FLYING HONU」