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ANA、2019年度第1四半期決算会見。連結売上高は同期過去最高の5005億円。エアバス A380型機導入のハワイ路線は座席利用率約91%で「順調に推移」
2019年8月1日 11:38
- 2019年7月30日 発表
ANAHD(ANAホールディングス)は7月30日、2019年度(2020年3月期)第1四半期(4月1日~6月30日)の決算を発表した。
国土交通省で開いた会見にはANAホールディングス 取締役 執行役員 グループ経理・財務室長 兼 財務企画・IR部長の福澤一郎氏、財務企画・IR部 会計チーム リーダーの築舘宏治氏、広報・コーポレートブランド推進部長の髙柳直明氏が出席し、説明を行なった。
連結子会社に沖縄で航空機整備などMRO(Maintenance、Repair、Overhaul)事業を手がける「MRO Japan」と、ビジネスジェットを活用したチャーター手配事業を手がける「ANAビジネス ジェット」が加わり、連結対象会社は合計79社となっている。
連結経営成績は、10連休となったゴールデンウィーク時期を中心に国際線、国内線の需要を取り込み増収となった航空事業セグメントをはじめ、全セグメントにおいて増収を達成。連結売上高は前期比3.2%・156億円増で、第1四半期として過去最高の5005億円となった。
営業費用は生産年度費用が拡大したことに加え、中期経営戦略における安全と品質、サービスの総仕上げの年として、オペレーション部門の人材投資や、航空機整備・基本品質強化における施策を積極的に進めた結果、前期比4.2%・195億円増の4843億円となった。これらの結果営業利益は前期比19.4%・39億円減の161億円、経常利益は23億円減の170億円、親会社に帰属する当期純利益は46億円減の114億円となった。
国際線旅客事業は、5月から成田~ホノルル線にエアバス A380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」を導入。路線独自のサービス強化に取り組み、需要獲得を図った。また、4月から成田~シンガポール線にボーイング 787-10型機を導入。2月に就航した羽田~ウィーン線は中欧、東欧など欧州各都市への乗り継ぎの利便性が高く、引き続き高い利用率(第1四半期は約76%)を維持している。
アジアや欧州路線での総供給量増加に伴う競争激化や、一部業務渡航需要が鈍化した一方、ゴールデンウィーク時期の旺盛なプレジャー需要を獲得、イールドマネジメントを継続的に強化したことにより、国際線旅客収入は前期より5.1%・78億円増の1641億円となった。
ハワイ路線全体での同期の有償・無償合わせた座席利用率は約91%とのこと。第2四半期以降も「だいたい9割」で、「夏の数字はしっかりと取れて順調に推移している」と評価。供給座席数が増えたことによる無償航空券・マイル消化の旅客数増加も織り込んだうえで「戦略どおり推移している」とした。ちなみにすでに運航を開始しているA380型機2機と、2020年予定の3号機も含め「費用対効果など検討し、経営判断として自社保有が適切」とのこと。
また、第1四半期に限っていえば韓国路線に大きな増減は見られないそう。「7月以降、LCC運航の仁川、釜山で若干の影響が見られるが、全体ではスモールポーション」とのこと。
国内線旅客事業は、堅調に推移したビジネス需要と、訪日旅客需要、ゴールデンウィーク時期の旺盛な需要を取り込み、2018年度下期から導入した新たな運賃ラインアップ施策(「ANA FLEX」「ANA VALUE」「ANA SUPER VALUE」「ANA SUPER VALUE EARLY」)も奏功し、第1四半期を通じ好調に推移。国内線旅客収入は前期比6.0%・93億円増の1662億円となった。
貨物事業は、米中貿易摩擦を発端とした経済の減速を受け、マーケットの需要が各方面で低調に推移し、取り込みに苦戦。特に中国発路線では電子部品や半導体を中心に需要が減退、輸送重量が前期比で約2割減少。国際線貨物収入は前期比18.3%・58億円減収の261億円となった。
LCC事業は、ピーチ(Peach Aviation)が4月から新千歳~ソウル線を新規開設、那覇~香港線を再開するなど積極的に路線展開を進め需要を取り込んだことから、前期比15億円増の151億円に。バニラエアはピーチとの統合を見据え、国際線を中心に生産量を前期比約26%減少させたことにより、21億円減の55億円に。これらの結果、LCC事業は2.5%・5億円減の206億円となった。
これらの結果、航空事業セグメントは3.1%・132億円増の4397億円となった。
航空関連事業セグメントでは、空港地上支援業務や、ケータリング業務などの受託が増加して39億円増、739億円となった。旅行事業セグメントは引き続き弱い基調ではあるものの、ゴールデンウィーク時期の国内ダイナミックパッケージ商品を中心に盛り上がりを見せたことから、21億円増の382億円となった。商社事業セグメントは食品部門での取り扱いが減少した一方、航空電子部門の高額商材の取り扱いが増えたことから6億円増の375億円となった。
連結の財政状態は、2020年の首都圏空港発着枠拡大に向けた航空機投資、4月から羽田地区で運用を開始した総合トレーニングセンター「ANA Blue Base」への投資を進めたことにより、総資産は前期末と比べて312億円増加の2兆7183億円となった。負債は新規借り入れに加え、日本国内の一般事業会社では初となる社会貢献債・ソーシャルボンドによる調達を行なったことなどから、485億円増加し1兆6263億円。純資産は当期純利益の計上、配当金の支払いなどを行なったことなどから、172億円減少し1兆920億円となった。
通期の連結業績予想に変更はない。