ニュース

セントレア、営業利益99億円の2019年3月期決算。友添社長最後の決算会見「最優良の空港にしたいと考えてきた4年間」

2019年5月16日 発表

中部国際空港株式会社 代表取締役社長 友添雅直氏

 セントレア(中部国際空港)は5月16日、2019年3月期(2018年度)の決算を発表した。登壇したのは中部国際空港 代表取締役社長の友添雅直氏と取締役 執行役員 財務担当の前田憲輝氏。

 売上高は前期比9.0%増(53億2000万円増)の642億9000万円。このうち、空港事業は国際線で韓国、台湾をはじめとする東南アジア方面の就航・増便が続き、国内線は鹿児島線新規就航、那覇の増便などもあり、開港直後の2005年度以来、過去最高の旅客数を記録。5.3%増(14億7000万円増)の290億円となった。

 また、訪日外国人の増加に伴って免税店の売り上げも過去最高を更新しており、商業事業は13.0%増(37億5000万円増)の325億7000万円。37億5000万円のうち、免税店売り上げが25億8000億円と大半を占めているが、これは「爆買いのあった2015年度を上回る数字」という。残りは11億6000万円で、具体的な内訳こそ示さなかったものの、2018年10月に開業したボーイング 787初号機の展示施設「FLIGHT OF DREAMS」の売り上げが「それなりに大きく占めている」と表現した。

中部国際空港株式会社 取締役 執行役員 財務担当 前田憲輝氏

 FLIGHT OF DREAMSは開業半年で来館者数が80万人を突破しており、初年度目標の150万人についてはこのままいけば「110%くらいの達成率になる見込み」で、今後8月に国際展示場「Aichi Sky Expo」、9月に第2ターミナルの開業を控えており、両者と第1ターミナル(現ターミナル)との中間に位置するFLIGHT OF DREAMSは秋以降にさらなる回遊効果が期待できるという。

 そのほか、駐車場など交通アクセス施設事業は4.0%増(1億円増)の27億1000万円。セントレアは現在、第2ターミナルなどの工事に伴い駐車スペースを縮小しているが、旅客増大などを背景に増収となっている。

 営業費用は8.7%増(43億3000万円増)の543億9000万円で、商業事業の仕入れが大半、このほかFLIGHT OF DREAMSの運営、代替の駐車場確保などで増加している。以上から、営業利益は11.1%増(9億8000万円増)の99億円。最終利益(当期純利益)は15.7%増(12億5000万円増)の増収増益の決算となった。

会見で示したスライド

 なお、来期(2020年3月期)の連結業績予想は、航空機発着回数が6%増(7000回増)の11万回、旅客数が9%増(114万人増)の1350万人を前提に、売上高を8%増(50億1000万円増)の693億円、営業利益を19%減(19億円減)の80億円に設定している。

 セントレアでは4月からはスマートレーンや高性能X線検査装置の導入など国際線保安検査場の改修が始まっており、8月の完了を目指している(関連記事「セントレア、9月1日から国際線出発客を対象に旅客保安サービス料(PSSC)徴収。保安検査場を4月8日からリニューアル工事」)。国内線では成田線の増便も予定されており、8月の国際展示場、9月の第2ターミナルと会わせて、「将来の成長につながるように取り組んでいきたい」とした。

友添社長最後の決算会見となった

 なお、中部国際空港は4月に新社長人事を発表しており、6月27日の株主総会などを経て新たに犬塚力氏が就任する予定になっている(関連記事「中部国際空港、新社長にトヨタ出身の犬塚力(いぬづかりき)氏」)。このため、2015年6月から社長を務めた友添氏は、これが最後の決算会見になった。

 質疑応答で4年間を振り返った友添氏は、「最優良の空港・会社にしたい、最優良の人材を作りたいと考えて行動してきた。英語で『24/7』という言葉があるが、いつも会社とスタッフのことを考えていた。振り返ると、自分自身で立てた目標に対して届かないこともあり、つらい思いをすることもあった」と述懐。

 一方で、「政官財学いろいろな業界の方、そしてお客さま、多くの方に会えたこと、笑顔を見ることができたのが喜びだった」と振り返り、「空港の発展のためにやらなければならないことがまだある。路線を充実させて、発展のための基盤ができてきたが、さらなる発展のためにはお客さまに乗っていただく必要がある。継続的な需要喚起、キャパシティの拡大、人材教育やシステムを含めて先手を打っていくことが大事」と今後のセントレアに期待を寄せた。

 そして、国土交通省 中部地方整備局がセントレア沖の埋め立て計画について環境影響評価準備書の説明会を行なうなど、第2滑走路の整備に向けて注目が集まっているが、この点について友添氏は「中部地域は国内でもGDPが高く、国際空港拠点では2本目の滑走路を持って地域の発展に貢献していくものであり、当然2本目の滑走路が必要だと声を上げていく」と表明。

 2018年には台風21号で被災した関西国際空港に代わり、10日間で200便弱の受け入れを実施した実績もあるが、「朝夕のラッシュ時はもういっぱいで、路線を拡張しようにもスロットが取れない状況。遅かれ早かれ滑走路の大規模な補修をしなければならないが、そのためにも第2滑走路が必要」という。セントレアは2005年の開港当時に1235万人の旅客数を記録し、リーマンショック後は1000万人を切り、発着回数も減少していたが、2015年度には1000万人台を回復。2018年度は1235万人で過去最高を更新したのは前述したとおり。こうした状況を背景に、第2滑走路の整備に向けて取り組んでいくことを説明した。