ニュース

「日本の真ん中から飛行機をうまく使って」。セントレアが「日帰りヒコーキ旅」訴求。1日分の駐車場代を無料に

「徳川家康と服部半蔵忍者隊」 の凛さんが日帰り鹿児島旅を報告

2019年1月18日 発表

2019年2月1日 開始

中部国際空港がセントレアから飛行機を使った日帰り旅行を訴求する「日帰りヒコーキプロジェクト」をスタート。2月1日から日帰り利用時の駐車場料金無料化キャンペーンを実施する

 セントレアを運営する中部国際空港は1月18日、飛行機を利用した日帰り旅行の魅力を訴求する「日帰りヒコーキプロジェクト」をスタートしたことを発表し、報道向け説明会を実施した。

 このプロジェクトは、その名のとおり、飛行機を利用して日帰りで旅行や出張をすることの価値をWebサイトやSNSを通じて発信するもので、主に中部地区在住者をターゲットに据えたものとなる。

「日帰りヒコーキ」のロゴマーク
北海道、福岡、鹿児島、沖縄とともに紹介する日帰りヒコーキの紹介ポスター

 プロジェクト概要を説明した中部国際空港 取締役 常務執行役員 営業推進本部長の尾頭嘉明氏は、このプロジェクトが生まれた背景として、「日帰りに適した路線の充実」「中部地域の特徴」「働き方改革などの世の中の動き」の3点を提示。

 路線については、2018年度にスカイマークやソラシドエア、エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンといったセントレアに夜間駐機する航空会社が増加し、「朝出発、夜到着」の便が充実したことを挙げる。

 これにより、セントレアから利用できる国内線19地点(1月18日時点)のうち、旭川、女満別、函館、石垣、宮古を除く14地点で日帰りの利用が可能な状況となっている。また、海外についてもソウル・仁川や台北は、現地での滞在時間は多少短めだが日帰りが可能だ。

中部国際空港株式会社 取締役 常務執行役員 営業推進本部長 尾頭嘉明氏

 2点目の中部地域の特徴として尾頭氏は、「関東や関西では日帰りでの飛行機利用が定着しているという情報を耳にするが、当社が2018年10月に愛知県、岐阜県、三重県在住の方を対象に実施したアンケート調査によると、中部地域では日帰りで東京、京都、大阪を訪れる旅行スタイルは定着している一方、飛行機を使った日帰り旅行は定着していない状況が明らかになった」と、現況を説明。

 一方で、国内線であれば本州、四国、九州の各地にセントレアから90分程度、北海道や沖縄も2時間程度で目的地に到着できることから、「日本の真ん中にあるセントレアだからこそ日帰りヒコーキがしやすいと考えている」とした。

 国際線については、仁川なら約120分、台北なら約210分のフライト時間となる。さらに尾頭氏は、「国際線を利用する場合は、免税店でのお買い物も可能であり、目的地に到着する前から楽しい時間を過ごしていただける。免税店の買い物は出発前の予約も可能なので、こうしたサービスを利用いただければ待ち時間がほとんどなく、効率的に目的の商品をご購入いただける」と、国際線での日帰りヒコーキ旅をアピールした。

 3点目の「世の中の動き」については、働き方改革の進展や2019年のゴールデンウィークが改元に伴って10連休となることを背景に、「今後一層、日本で旅行がフォーカスされると予想している」と説明した。

 尾頭氏は、日帰りヒコーキ旅の具体例として、名古屋市瑞穂区在住者が新幹線で東京に日帰りする場合と、飛行機を使って沖縄へ日帰り旅行する場合を比較したデータを紹介。セントレアへのアクセスはクルマを利用することが前提となるが、新幹線での東京日帰りと、飛行機での沖縄日帰りは、現地でほぼ同じだけの滞在時間を確保でき、Web検索などで算出した実際の費用感では東京日帰りと同等程度か安いぐらいの価格で沖縄日帰り旅行を楽しめるという。

日帰りヒコーキプロジェクトの概要と目的
「旅行」の定義にはレジャー用途だけでなく、日帰り出張などのビジネストリップも含める
日帰りヒコーキプロジェクトの背景
夜間駐機の航空会社が増加し、「朝出発・夜到着」の便が増加
国内線なら全国14地点へ日帰りできるダイヤが組まれている
中部地域では飛行機を使った遠方への日帰り旅行が定着していないとのアンケート結果
本州、四国、九州なら90分で行ける、日本の真ん中にある「地の利」も中部地域の特徴
日本で「旅行」がますますフォーカスされるとの予測
東京への日帰り旅行と同等の費用で、同程度の滞在時間を確保した日帰り沖縄旅行を楽しめるという具体例
日帰りヒコーキの魅力
日帰りヒコーキのターゲットや将来像

日帰りヒコーキ旅で駐車料金を無料化

 この“日帰りヒコーキ旅”の促進を図るため、2月1日~6月28日(4月26日~5月6日除く)以降、平日にセントレア発着の航空機を日帰り利用した人を対象に、1日分の駐車料金(24時間最大1500円)を無料化する「日帰りヒコーキプロジェクト 平日・日帰り旅客を対象とした駐車場無料キャンペーン」を実施する。

 対象となる駐車場は中部国際空港が設置する一般駐車場P1とP2(計5800台収容)で、駐車券と平日に日帰りで飛行機を利用したことが分かるセントレア発着の搭乗券(同日の発着であることを証明するためのもので、国内線、国際線は問わない)を、アクセスプラザ案内所(案内所終了時刻の22時30分以降は駐車場管理事務所)で提示することで、1日分の駐車場料金を無料にする。

 なお、現在、セントレアはLCC向けの新ターミナルビル新築工事のために、駐車場を一部制限。繁忙期には自家用車の利用を控えるよう呼びかけている。そのような状況下での実施となるが、尾頭氏は曜日ごとのピーク駐車台数のイメージをグラフで示し、「土日については駐車場容量を超える場合があるが、平日は比較的余裕があるので、今回の施策によりお客さまにご迷惑をおかけする状況は起こらないと考えている」とした。

 ちなみに、セントレアへのアクセス手段として、現在は30~40%程度が乗用車の利用だという。平日の日帰り利用は1日あたりおよそ40台程度とのことで、このキャンペーンでこれを2倍にしたいとの目標を掲げている。

 また、乗用車を対象にした駐車場無料化キャンペーンとしていることについては、尾頭氏が「まずは我々ができること」と話すとおり、中部国際空港単独で実施できる施策であることが大きな理由となっており、「鉄道やバスなどの公共交通機関を使って日帰り旅ができる便もあるので、それで日帰りヒコーキを楽しんでいただきたいと思うが、まずは我々(中部国際空港)ができることとして駐車場でスタート。今後、人気が出るようであれば、鉄道などの交通事業者の方とも話をして、キャンペーンを広げていきたいとは考えている」と、将来的なキャンペーン拡大も狙っている。

日帰り旅行者の駐車場料金を無料にするキャンペーンを2月28日~6月28日に実施
新ターミナル工事のために駐車場に制約があるものの、平日は余裕があるという
キャンペーンの詳細

 日帰りヒコーキ旅のターゲット層としては、平日に日帰り出張する人や、平日休みの業界で働く人、比較的時間に余裕のある学生を中心に据える。また、深夜・早朝便の運航により、週末に休みが取れないことや、共稼ぎで夫婦の休みを合わせられないなどの理由で旅行を諦めていた30代の共働き夫婦などの旅行需要が活性化されたことから、この層もターゲットにする。

 訴求する日帰りヒコーキ旅の魅力としては、レジャーシーンにおいては、「1日で遠くの街やリゾート地で非日常感を堪能できること」「余暇に十分に楽しみワークライフバランスを実現できること」などを挙げ、「時間的余裕のある学生などが飛行機を利用した旅を身近に感じて、実際に旅行に出かけるような状態を実現したい」(尾頭氏)と話した。

 ビジネスシーンでは、「航空機を利用することで出張時の移動時間短縮」「より多くの商談を入れられる」「宿泊せざるを得ない出張がなくなる」といった状態の実現を目指す。

 尾頭氏はプロジェクトを俯瞰し、「日本の真ん中にあるという地の利を活かして飛行機をうまく使っていただきたい。飛行機に乗るのは特別という思いがあり、『どうせ飛行機に乗るなら日帰りはもったいない』と考えていたが、日帰りで十分遠くに行けて、いろいろなところに行けることを実体験しているので、ぜひ皆さんに知っていただきたい」とコメント。「今年はLCC向け新ターミナルビルや、それに接続するエプロンが供用開始するなど、この先の飛躍的成長に向けて邁進する年と考えている。引き続き、航空ネットワークの拡充、需要開拓、新しい価値の提案に取り組みつつ、ビジョン2027に掲げたとおり、これからもさまざまな空港の活用のカタチをとおし、国・地域の発展に貢献していきたい」と思いを語った。

「徳川家康と服部半蔵忍者隊」の凛さんが「日帰り鹿児島旅行」を体験

鹿児島への日帰りヒコーキ旅の体験談を語る「徳川家康と服部半蔵忍者隊」の凛さん
「徳川家康と服部半蔵忍者隊」の紹介
セントレアでも「サムライ×ニンジャ空港プロジェクト」を実施中

 説明会では、発表を待たずに日帰りヒコーキの魅力を体験してきたという、愛知県の観光PR隊「徳川家康と服部半蔵忍者隊」の凛さんによる実体験の紹介があった。

 凛さんは、頭領である服部半蔵からの「空飛ぶ鉄籠、現世でいう飛行機の日帰り旅の素晴らしさを皆に伝える」との目的で、「その1:楽しい観光地を発見せよ」「その2:美味しい名物を堪能せよ」「その3:有名な土産を持ち帰ってみせよ」という3つの条件が付けられた任務を与えられた。

 この任務に対し「拙者のぅ、現世のからくり機なども用いていろいろ調べたのじゃよ。して、ある一つの国が浮かび申した。それが、薩摩、鹿児島だったのじゃな。題して『鹿児島日帰り飛行機の旅』を、此度はお送りいたしまする」と紹介。1月17日にセントレアから日帰りで鹿児島を訪れた内容を紹介した。

 今回の日帰りヒコーキ旅は、スカイマークの7時20分発鹿児島行き便を使ったもので、6時30分にセントレアに到着してチェックインし、8時50分には鹿児島空港に到着。ここで、「空港の近くには地を走る鉄籠を借りるところがある」と話し、鹿児島ではレンタカーを使って観光を楽しむことを紹介した。

 ここからランチタイムまで、「まずは西郷殿にごあいさつをいたそうと」ということで「霧島市西郷公園」。「まこときれいなところじゃった」という鹿児島市の「仙巌園」。「拙者、食いしん坊なのじゃよ」ということで「鹿児島ラーメン豚とろ 天文館本店」「白熊 天文館むじゃき 本店」と訪問。

6時30分:セントレアでチェックイン。ちなみに写真は凛さん。「拙者、普段は忍ぶために頭巾をしておるのですが、飛行機はなにやら規則がいろいろ厳しいとのことにござりまして、いわゆる頭巾、口当てを外して旅をしてまいり申した」とのこと
7時20分:鹿児島へ向けて出発
8時30分:鹿児島空港に到着
9時25分:「霧島市西郷公園」へ
11時25分:鹿児島市の「仙巌園」。「薩摩の武士(もののふ)たちの流派があって、独特の、木の棒を持って叩くという鍛錬」などをしたという
12時20分:「鹿児島ラーメン豚とろ 天文館本店」。「豚トロがまっこと、とろっとろでのぅ。一度ぜひ食べてほしいなぁと思い申した」と感想
13時00分:「白熊 天文館むじゃき 本店」。鹿児島の「氷菓子」シロクマを堪能

 午後は、海の見える海岸で砂風呂を楽しめる指宿市の「砂むし会館 砂楽」へ。現在セントレアと指宿市では、セントレアから鹿児島に行った人を対象に、砂むし温泉が無料になる「Fly鹿児島!いぶスキ湯ったりキャンペーン」を2月28日まで実施していることもアピールした。

 そして夕方には、「鹿児島中央駅 吾愛人中央駅店」で黒豚。2人前を平らげたあとは鹿児島空港に戻って、お土産にさつま揚げを購入。

 20時30分発の便に乗って、「寝とったらあっという間に着くな。まこと近こうて、拙者、驚き桃の木山椒の木じゃよ」と、21時45分にセントレアに帰着して日帰りの鹿児島旅行を終えた。

15時00分:指宿市の「砂むし会館 砂楽」。海の見える海岸で、砂に埋もれて、砂が熱くなってぽかぽかと体を癒やせるという。
セントレアから鹿児島空港へ行った人は砂むし温泉が無料になるキャンペーンを実施中
17時20分:「鹿児島中央駅 吾愛人中央駅店」で黒豚のしゃぶしゃぶ2人前をペロリ
19時00分:お土産は鹿児島空港で「さつま揚げ」。「いろいろな種類の味がござって、なかでも拙者、ヨモギ天なるものがまこと気になった」
20時30分:鹿児島空港からセントレアへ
21時45分:セントレア到着
服部半蔵からの指示どおり、3つの条件を満たした日帰りヒコーキ旅の“忍”務を果たした

 今回はレンタカーを利用したことで、「地を走る鉄籠を使うのがよいのではないかと拙者思いまする。いっぱい巡ることができ申した」とコメントしつつ、公共交通機関で旅を楽しめることにも触れた。

 費用はレンタカー料金を4名で割っているものの、2万円を切る価格で、飛行機の往復運賃は1万円を切っていることを紹介。「我ら忍びは実は石高が高くござらんくて、なかなか生活が苦しき身なのじゃが、これじゃったら任務の合間を縫って1日空けば薩摩に日帰りで、鉄籠を使い、旅ができるということにござり申して、拙者、まっことこちらお勧めいたします!」と太鼓判を押した。

鹿児島現地ではレンタカーを使って効率的に観光
飛行機往復1万円以下など平日ということもあって費用も安価
結論