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セントレア、国際線保安検査場にスマートレーン導入。より短時間で通過可能に

2019年8月31日 供用開始

2019年9月2日 公開

セントレアの国際線保安検査場がリニューアル。スマートレーンやCT型検査機などを導入した

 セントレア(中部国際空港)は9月2日、8月31日にリニューアルして供用を開始した国際線保安検査場を公開した。4月より改修作業を進めてきたもの。

 新たな保安検査場には、全方向からの確認が可能な画像を生成できるCT型X線手荷物検査装置や、従来のものから高度した複数方向からX線照射するAD型X線検査装置を導入。いずれもドイツのSmiths Detection製を採用しており、CT型検査機を1台、AD型検査機を4台設置している。

 また、国内外の他空港で導入が進んでいるものと同様にスマートレーン化も行なった。CT型検査装置を導入しているレーンは19m、AD型検査装置を導入しているレーンは16mまたは17mと長大化したレーンとなった。この導入にあたり、保安検査場全体の面積も約1.8倍に拡張した。

 旅客が手荷物から必要なものを取り出す準備台は4人が同時に作業でき、準備ができた旅客から順に、場合によっては前の人を追い越して先に進むことが可能。なお、一般的にCT型検査機ではノートPCを鞄の中に入れたままでも検査が可能とされているが、CT型とAD型が混在することからセントレアでは原則としてノートPCを取り出してもらう運用に統一するという。

 検査機を通過後は、開披確認など追加検査が必要なトレイは自動的に振り分けされ、リジェクトレーンへ。リジェクトレーンは4トレイが待機可能。開披場所は1~2トレイを置ける。問題のなかったトレイは6台まで待機でき、荷物が引き取られたトレイは自動的に準備台の場所へ戻る仕組みとなっており、スムーズな検査が可能となる。

 セントレアの試算では1時間あたり約1.5倍の処理能力向上が図られたとする。従来は8レーンを設置しており、今回は6レーンとなったので、検査場全体の処理能力としてはラッシュ時に対応できることを想定した従来の能力とほぼ同等というが、旅客1人あたり要する時間が減り、より快適に検査場を通過することが可能なのがメリットとなる。

 このスマートレーンは9月20日に供用を開始する第2ターミナルにも導入。国内線用に1レーン、国際線用に2レーン、国内線/国際線を切り替えて運用するレーンを1レーン設置。CT型を1台、AD型を3台導入する。また、現行の第1ターミナルの国内線保安検査場についても今後導入を検討したいとしている。

スマートレーンについて
CT型保安検査機について
導入済みのボディスキャナやETD(蒸散痕跡物等利用爆発物検査装置)
国際線保安検査場。面積拡張により入口の雰囲気が変わった

 セントレアの国際線保安検査場のリニューアルは、パリで連続テロ事件などが発生した際に、先進的な航空保安検査機の導入による航空保安の高度化を図るという2015年12月に示された政府方針に沿ったもので、新たな検査機やスマートレーンは国内主要空港で導入や実証実験が進められている。

 セントレア 空港運用本部 空港運用部長の奥野康生氏は、「航空保安の高度化には円滑化と厳格化の2つの視点がある。円滑化はスマートレーンによって処理能力が従来よりもアップしている。これによりお客さまが快適に検査を受けられる。厳格化は航空保安検査機器が高度になっており、爆発物の検知や機内持ち込み禁止品をスムーズに検知できる」と、リニューアル内容について説明し、「9月に開幕するラグビーワールドカップ2019、11月のG20(愛知・名古屋外務大臣会合)、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、テロに強い空港として新たな保安検査場を活用したい」との姿勢を示した。

中部国際空港株式会社 空港運用本部 空港運用部長 奥野康生氏
リニューアルで導入したスマートレーン。ここはCT型X線検査機を設置したレーン
4名が同時に手荷物検査の準備が可能。並び順に関わらず準備を終えた人から順次検査を進める
検査機通過後、追加の検査が必要なトレイは自動的にリジェクトレーンへと振り分けられ、開披検査などが行なわれる。検査終了後のトレイは所定の場所に積み上げておくことで自動的に準備台へと戻る