旅レポ

ベトナム航空のエアバス A350型機に乗って成田空港からハノイへ直行。ハノイと周辺地域の観光へ

ベトナム航空のエアバス A350-900型機に乗って一路ハノイへ

 ベトナム航空とハノイ観光局は、8月20日~25日の日程で旅行代理店やメディアを対象としたFAMツアー(視察・研修ツアー)を実施した。このツアーでは、ハノイ郊外の古い村や、ハロン湾で一夜を明かすクルーズツアーなど、日本人があまり訪問・体験していないという内容を中心とした行程が組まれた。

 南北に長いベトナムは、北部のハノイ、南部のホーチミン、そして近年急激に人気が高まっている中部のダナンやフエなど、全国に観光目的の訪問先が点在している国だ。実は初ベトナムの記者。“ベトナム旅行”のなかでのハノイの魅力は、別記事「ベトナム航空とハノイ観光局、歴史と文化が豊かなハノイをアピール。観光局Webサイトの日本語化など日本人向けサービス強化」でもハノイ観光局が紹介しているとおり。歴史や文化を今に伝えるスポットや、少し足を伸ばせばハロン湾のように自然の絶景を楽しめることにあるらしい。今回はそのような旅を満喫した。

 そうしたツアーで訪れたスポットなどを数回にわたって紹介する予定でいるが、今回はまず、日本からハノイへの渡航手段となった、ベトナム航空の成田~ハノイ線の搭乗レポートをお届けしたい。

 ベトナム航空では、成田、羽田、関空、セントレア(中部)、福岡の日本5空港とハノイの間で直行便を運航している。福岡は週4便で、それ以外はデイリー運航。羽田、成田、関空ではエアバス A350-900型機(305席)やボーイング 787-9型機(274席)といった最新鋭の大型機を使用している。

 特に成田~ハノイ路線では7月からボーイング 787-9型機に代わってエアバス A350-900型機を導入。今回のレポートでは余談となるが成田~ホーチミン線についても1日2便ともにエアバス A350-900型機で運航しており、その需要の高さを感じる。

ベトナム航空の日本~ハノイ路線(2018年9月1日~10月27日)

VN311便: 成田(10時00分)~ハノイ(13時20分)着、毎日運航
VN310便: ハノイ(00時35分)~成田(07時35分)着、毎日運航

VN385便: 羽田(16時35分)~ハノイ(19時45分)着、毎日運航
VN384便: ハノイ(08時10分)~羽田(15時05分)着、毎日運航

VN331便: 関空(10時30分)発~ハノイ(13時00分)着、毎日運航デイリー
VN330便: ハノイ(00時30分)発~関空(06時40分)発、毎日運航

VN347便: セントレア(10時15分)発~ハノイ(13時20分)着、毎日運航
VN346便: ハノイ(00時15分)発~セントレア(06時55分)着、毎日運航

VN357便: 福岡(10時30分)発~ハノイ(12時45分)発~月・火・金・土曜運航
VN356便: ハノイ(01時20分)発~福岡(07時20分)発~月・火・金・土曜運航

 そんなわけで、今回はベトナム航空のエアバス A350-900型機に乗っての旅となった。乗る前に分かるベトナム航空の特徴の一つとして、日本路線における受託手荷物の制限について挙げておきたい。

 多くの航空会社ではエコノミークラスで20~30kg前後まで預けられるのが一般的だが、今回のように日本~ベトナム間を往復する場合は最大40kgまで預けられる(ちなみにプレミアムエコノミーは最大50kg、ビジネスクラスは最大60kg)。1個あたりの最大重量も32kgと、ほかの航空会社のビジネスクラス並み。さらに3辺の合計203cmまでOKと、どの点を見ても優しい制限なのがありがたい。

 渡航に際しては、成田空港でチェックインをするわけだが、ここではちょっと注意が必要。というのは、ハノイ行きより約30分早く、ホーチミン行き便の出発があるためだ。エコノミークラスの列はホーチミン行きとハノイ行きで分けられるが、カウンターは先発のホーチミン行きに多めに割り当てられており、ハノイ行きの列の進みがどうしても遅くなるのだ。ホーチミン行き乗客のチェックインが一段落すればハノイ行きの列も流れが速くのだが、できるだけ自動チェックイン機を使用した方がよいだろう。

 余談にはなるが、搭乗口のアナウンスも不思議なもので、出発便が多い国内航空会社に乗るときは便名や行き先で自分が乗る便に関係するアナウンスなのかを判断するのに、海外航空会社に乗る今回のようなケースでは「ベトナム航空~」と流れてきただけで、自分の便のことではないかと注意深く聞いてしまう。大抵の場合、先発のホーチミン行きのアナウンスだったりして肩すかしをくらうのだが、次第にそのゴチャゴチャした状況が楽しくなってくる。

ベトナム航空が運航するエアバス A350-900型機のエコノミークラス。3-3-3の9アブレスト。同社のA350-900型機にはエコノミークラスの座席数が231席と240席という2種類の仕様があり、往路で搭乗した機体はエコノミークラス240席の機体だった
搭乗するとエコノミークラスのシートには枕と大きめのブランケットが用意されていた

 さて、今回は往路でVN311便、復路でVN310便に搭乗した。まずはシートまわりで目に留まった点を紹介しておきたい。

 往路はいわゆるバルクヘッド席と呼ばれる前方が壁の席がアサインされた。バルクヘッド席は壁までの距離によっては足が伸ばしきれない場合があるが、ベトナム航空のエアバス A350-900型機の座席は壁までの距離も長めで、余裕で足を伸ばせる。一方でシートベルトをしたままでもシートポケットに手が届くという絶妙の距離感で、とても居心地のよい席だった。非常口座席は前方にさらに余裕があるわけだが、シートポケットの有無を考えると、この機材に乗る際のバルクヘッド席はかなりお勧めできる。

 一方で復路は前方にも座席がある、いわゆる普通のシートだったが、仕様上はシートピッチが31~32インチ(約78.7~81.3cm)となっており、数字どおりの感覚。とはいえ、シートポケットの位置やシート形状のおかげか、前方席の下側へ足を伸ばしやすい印象を受けた。また、シート幅も広めなので、4~5時間のフライトならストレスはあまり感じない。

 各座席には3席あたり2個ずつのユニバーサルAC電源(110V/60Hz)を備えるほか、シートモニター脇にUSB電源ポートを装備している。バルクヘッド席は収納式のシートモニターが搭載されているが、モニターを収納した状態でもUSB電源を使えるようになっているのが便利だった。

 また、通常のシートでも座席の裏側にケーブルを通せる空間があり、例えばスマホなどをシートポケットに入れたまま充電しているような場合でも、ケーブルが邪魔になることなくテーブルを利用できる。通常シートにアサインされた復路は夜行便のため、まさにスマホを充電したまま寝るという状況だったことも、より便利な作りに感じられた。

エコノミークラスには3席に2個の割合でユニバーサルAC電源(110V/60Hz)を装備
エコノミークラスのシートモニター
シートモニターの下にUSB電源ポートを備える
シートモニター下のスペースは、持っているスマホのサイズによってはちょうどよいスマホ置きにもなりそう
テーブルの裏側に空間があり、そこにケーブルを通すとテーブルの出し入れ時に干渉することなく、シートポケットに入れたスマホを充電しておける
エコノミークラスのテーブル
こちらはエコノミークラスでもバルクヘッド席のシートモニター。脇にUSB電源ポートやヘッドフォン端子があり、シートモニターを収納した状態でもスマホの充電などが可能
バルクヘッド席はアームレスト部にコントローラを装備
バルクヘッド席のテーブル

 機内エンタテイメントはタッチパネルで操作するタイプ。読書灯やCA(客室乗務員)呼び出しのスイッチもパネルに付いており、(離着陸時にシートモニターを使えない)バルクヘッド席にはアームレスト部分にコントローラを装備していた。

 コンテンツは豊富で、海外映画なども一部は字幕または音声が日本語に対応。正確に数えたわけではなく、時期によっても異なると思うが、映画では4分の1~3分の1程度が日本語に対応している印象だ。

 また、観光地ガイドやベトナムの都市を紹介するビデオコンテンツがとても充実しており、実は初ベトナムだった記者はこれを流しているだけで、往路の時間が過ぎていった。

機内エンタテイメントはタッチパネルで操作
コンテンツのいくつかは音声または字幕が日本語に対応している
キッズメニューを選ぶとファンシーな画面に変わる
観光や都市情報の映像コンテンツが充実していた
マップは3Dのリッチな表示だが、インタラクティブではないので切り替わる表示を眺めるだけになる
コンテンツ選択画面などでも発着地それぞれの時刻や地図の簡易表示が可能

 機内食は、往路が離陸後の昼食、復路が着陸前の朝食の各1食。往路では離陸後に機内食のメニューが各席に配布されるのだが、このメニューは往復共有なので、復路の機内食もチェックすることができる。復路とセットでなにを選ぶか決めるのも楽しい。

 記者は往路では和食をチョイス。カツ丼がメインで、サイドに寿司という組み合わせだ。メニューには「豚カツ、御飯」と書かれており、卵でとじていないからか実はカツ丼とは表現されていない。甘めのタレが白いご飯によく合っており、おかわりがほしくなる味わいだった。

 そして特筆しておきたいのがスイーツ。胡麻をまぶした大福だったのだが、胡麻の風味と食感、柔らかい餅に、甘さ控えめのこしあんの組み合わせがとても美味しい。これまた、おかわりがほしくなる(正直、何個でもいけると思った)。

 ちなみに洋食のメインは「ビーフソテーアジアンスパイシーソース、御飯」となっており、実物を見られなかったのだが、こちらも丼っぽい料理のようだ。ただ、寿司は和食にしか用意されていないので、ここが大きな選択のポイントになった。あくまで個人的な嗜好の問題だが。

往路で提供されたスナック
往路で選択した和食の機内食
和食は甘辛なタレのカツ丼がメイン
サイドにお寿司があるのが魅了的だった
この胡麻大福はあと10個ぐらいほしかった

 復路は洋食をチョイス。オムレツにソーセージ、ジャガイモにグリーンピースと、いかにも洋食の朝食だ。ベーコンではなくソーセージだったのが個人的にはうれしい。

 ちなみに和食は鯖の味噌煮とご飯、酢の物、かまぼこや豆腐などの料理がメニューには記されており、こちらもいかにも日本らしい朝食を楽しめそうな内容だった。

復路の洋食メニュー。深夜運航便の到着前の食事なので朝食らしい食事だ

 今回のフライトは往路でやや揺れたものの、スケジュールに大きな乱れもなく予定どおりの運航。ハノイの発着空港はノイ・バイ国際空港で、国際線は日本の協力で2015年にできた新ターミナル(第2ターミナル)を利用している。

 また、空港とハノイ中心部とを結ぶ道路も、同じく日本の協力で作られており、ガイドさんの説明によれば、この道路の完成で30~40分で空港と市内とが結ばれるようになったとのこと。

 ハノイ中心を取り囲むように流れるホン川(ソンホン川とも。ホンは紅の意味で、漢字で表わすと紅河となる)を渡る橋も、この街の見どころの一つ。この新しい道路の橋の(通っただけで)写真は撮れなかったのだが、立派な斜張橋「ナチャン橋」がかけられている。これも日本企業によるものであることから、地元では「ニッポン橋」と呼ぶ人もいるそうだ。

 ちなみに、この“ニッポン橋”からは、新道路完成以前に空港~市内のアクセスを支えていた「タンロン橋」が見える。こちらは旧ソビエト連邦の協力で作られた橋とのことだが、空港~市内だけでなく周辺工場などの渡河も支えていたために交通渋滞が非常に激しかったそうだ。この場所は、ハノイのインフラ発展を感じられる場所といえるだろう。

ハノイのノイ・バイ国際空港
ノイ・バイ空港のベトナム航空チェックインカウンター
こちらはハノイの中心部にあるベトナム航空のオフィス
日本の支援により作られた空港と市内を結ぶ道路。この道の先に、ハン川に架かる通称“ニッポン橋”こと「ナチャン橋」がある
ナチャン橋を走るバスから見た「タンロン橋」。“ニッポン橋”ができるまでは空港と市内を結ぶメインの橋だった

 さて、次回はハノイ郊外を中心とした観光地、観光スポットを紹介していきたい。

編集部:多和田新也