今回の目的地は山梨県南都留郡道志村にある「RVパーク campsite fairy forest」 山梨県道志村は自然豊富な環境を活かしたアウトドアレジャースポットになっていて、村内を流れる道志川沿いには多くのキャンプ場がある。今回はそんな道志村にある「RVパーク campsite fairy forest(キャンプサイト・フェアリーフォレスト)」(山梨県南都留郡道志村椿4080-1)に行ってきた。
東京から行く場合は圏央道の相模原出口、もしくは中央道 相模湖東か相模湖出口で降りて、国道413号(道志みち)を約50分ほど走ると到着する。
筆者は相模湖東出口から行ったが、こちらからだと途中にスーパーマーケットがあるので先に買い物をすませておいた。ちなみに道志村に入るとスーパーなどはなく、ガソリンスタンドも近隣(といってもクルマで少し走る)に2軒しかない。しかも曜日によっては営業していないこともあるので、燃料の残量に不安がある場合は高速道路出口の近くで入れておいた方がいいだろう。
利用の予約はWebサイトから。定員4名までの料金は4000円~で、電源使用料金も含まれる。なお、RVパークスペースはペット同伴可。オートバイ、ロードバイクなどでの利用もOKだ。
右手の坂を上がるとコテージエリアがあり、中央に見える看板の奥、それに左手の整地されている部分の2か所がRVパーク ロケーションのイメージから「フェアリーフォレスト」というロマンチックな名前が付けられている。コテージ、RVパーク車室にはそれぞれ妖精をイメージした名前が付く 右側がオーナーの木子雅夫氏。介護福祉士の資格を持っていて障害のある方や車いす利用者でも利用できるアウトドア施設を作りあげた。左が管理人の佐々木敏彦氏 施設のメインはコテージエリア。前オーナーのコンセプトを引き継ぎ、障害のある方、車いすを利用する方がアウトドアレジャーを体験できる施設としている RVパークは雰囲気のいい沢沿いにある
フェアリーフォレストは道志川へと流れる沢沿いにあり、RVパークは山肌の地形を利用して段違いに2台分の車室が用意される。上段が「ナスビ」、下段が「ネギボ」という名称が付けられている。
それぞれの車室はもともとの地形の関係上、縦に長い形状で、公称値では縦寸法は15mと長いので、それこそバスベースの大型キャンピングカーでも入りそうだ。横幅は約4mとなっている。
横幅は特に広いというわけではないが、縦は余裕があるのでテーブルやイスを出すのはもちろん、テントやタープを張ることも可能(張れるのはクルマの前後のみ。サイドタープやサイドオーニングの展開はNG)。
地面はそこそこ締まった土なので長めのペグであればしっかりとロープやテントを保持できるはずだ。なお、焚き火台を使えば焚き火もOK。今回は初日に雨が降ったので焚き火はやらなかったが、天気がよければ木々の隙間から星空が見え、沢を流れる水の音が聞こえる環境での焚き火ができただろう。
中央の看板がある奥の車室がナスビ。左側の一段下がったところがネギボ 別の角度から2つのサイトの位置関係を見る。高低差は結構あるのでサイト同士が隣り合っていても気にならないはず ナスビサイト。一番奥にクルマを停めている。電柱支線の辺りより道路側は地面に若干勾配があると感じた 長さが15mあるがナスビサイトは道路から高い位置にあるのでサイトまでは急な上り坂。リアを沢側へ向ける場合はバックで進入することになる 電源は20Aのものがある。電源使用料金は施設利用料に含まれているが、使い過ぎないようにしたい ナスビサイトの奥から沢を見た風景。この沢は冬季は水が流れないので水自体はきれいだが魚はいないようだ 1泊2日のうち、初日が雨予報だったのでイスは持っていかず、テールゲートを開けてその下にテーブルを出しラゲッジに座る方法を取った。この方法ははじめてやったがわるくない。雨天のとき以外も場所が狭い、荷物を減らしたいときなどアリかも こちらの施設に限ったことではないが、水場があって木が生い茂る山には吸血するヤマビルがいることが多い。気温が上がる頃の利用ではヤマビルや虫への対策もしておいた方がいいと思う こちらはネギボサイト。正面道路と同じ高さなので入退場が容易。サイト内は地面が比較的平ら ネギボサイトも20Aの電源がある。沢の真横なので夏の時期は沢からの涼しい風が気持ちよさそう ネギボサイトとナスビサイトにはこれだけの高低差がある 下段のネギボサイトにクルマを停めてみた。N-VANは全高が約2mあるのでその高さでこんな感じとなる サイトから沢を見る。サイトから沢へも高低差があるので、沢に降りる際はコテージの奥にある通路を利用する 共用施設を見る
フェアリーフォレストには炊事場、トイレ、シャワー、お風呂(お風呂のみコテージ利用者が優先)があり、これらは利用可能。
また、テントやシュラフ、マット、アウトドアチェア、焚き火台などのレンタルもあるので、装備を持っていない人でも車中泊やテント泊を体験することが可能だ。
バリアフリーの作りにはなっていないが、ネギボやナスビサイトを障害のある方、車いす利用者が使うこともできる。トイレや炊事場はバリアフリーなので、サポートする人がいればコテージ泊よりアウトドア感が高い時間を過ごすこともできるのだ。ただ、利用については慎重になった方がいいのは間違いないので、予約を取る前に施設へ状況を伝えてアドバイスをもらうことを勧める。
こちらが管理小屋。施設から近いところに消防署があるので、ケガなどした際は比較的早く救急車が来てくれるそうだ 管理小屋の前は段差があるようで、バリアフリー化のためこのようなスロープが設けてある 数に限りがあるがアウトドア用品のレンタルもある。使いたい場合は予約時に確認しておきたい レンタル品はスノーピーク製など人気ブランドの道具で揃えている 薪の販売もある。焚き火をしたいときは、焚き火台のほかに火を囲んで座るためのイスも借りたい フェアリーフォレストの目玉はピザ窯があること。1グループ、4800円でピザ焼き体験ができる。こちらも事前予約が必要 ピザ窯にはダッジオーブンも入るのでさまざまな料理作りが楽しめる 炊事場。シンクは裏側にも1つあるので計3つ。手前の低いシンクは車いす利用者が使いやすいよう高さを設定している 湯沸かし器があるのでお湯が使える。洗剤やスポンジは常備 炊事場の横がトイレ棟。女性用1つ、男女兼用が1つ、男性用が1つの計3つ。入口には屋根と照明もある。トイレは個室内も建屋自体も清潔な印象 男女兼用の個室。車いすのまま入れるようになっていて幅も広い。両方の壁にはサポート用の手すりがある 男性用個室。こちらも車いすで入れる。どの個室も壁のスイッチで照明が点くが、車いす利用者や子供が使いやすいよう低い位置にある この建物にお風呂とシャワーブースがある。お風呂はコテージ利用者が優先なので、RVパーク利用の場合、使用できないこともある。シャワーは事前にお願いすれば朝の利用ができる。これからは寝汗もかくので朝にシャワーが使えるのはありがたい 脱衣所。簡素な作りではあるが脱衣や着替えのときに座れるイスがある。こういうところもこの施設のやさしさが出ている部分 湯船は岩を組んで作ったもので、デッキもある。デッキ部分は天井がないので半露天風呂といった感じ。天気のいい夜は星を見ながらの入浴ができそう 夜はお風呂に入ることができた。デッキ部分にはテーブルとイスが出される。この夜は気温が低かったのでデッキに出られなかったが、これからの季節ならお風呂でもゆっくりできそうだ 脱衣所の横にはシャワーブースがある。ブース内にも手すりがあり、写っていないが使用時はイスが用意される 出入り口は内側から施錠できる。ドライヤーが置いてあるが鏡はないので必要なら持参する 山あいなので夜になると周囲は暗いが、トイレなどがあるコテージエリアは照明が点いているので夜間の利用も不安はないだろう 夜の感じ。奥の林の色はお風呂棟にあったライトの明かりによるもの。RVパークからコテージエリアまでは暗いのでトイレに行くときはライトを持っていった方がいい 朝起きてテールゲートの窓越しに見えた風景。ドアを閉めると沢の音は聞こえなかったので、寝るときもなにも問題なかった シンプルで山小屋的な雰囲気のコテージ
フェアリーフォレストのコテージはスウェーデン製のキットを使ったもので、別荘的なコテージではなく「テントの代わりの小屋」といった作りがシンプルなもの。扉を開けると家具や間仕切りが一切ないシンプルな作りで、寝るときはテント泊と同様に簡易的なマットレスやシュラフ(夏はタオルケットだろう)という具合。
そんなコテージは全部で4棟あり、それぞれに特徴がある。まずは炊事場の横の「ミモザ」という名前が付いたコテージ。部屋の大きさは6畳相当で4名まで利用できるが、ある程度ゆったりしたい場合は3名での利用がいいかも。
室内には照明はもちろん電源、エアコンも付いているので夏でも快適に過ごすことができる。そして出入り口の横には手すりが付いている。これは足腰の弱い人に向けたバリアフリーの一環だが、手すりがあることで誰にとっても床から立ち上がるとき、靴を脱いだり履いたりするときにも便利なものだ。
ミモザと同じ作りなのが「エルフ」でこちらのみペット同伴可。そして「フルール」というコテージ。ここは約4.5畳で敷地内の一番奥にあり、さらに最も高い位置のためプライベート感は高い。ただ、コテージの作り上、長めの階段を利用するので車いすでの利用は難しい。
最後は管理棟の横にあるツリーハウスのようなこじんまりした「フロスティ」。室内のサイズ的にソロでの利用限定だが、あえてのこの狭さや独特の雰囲気から意外と人気があるコテージだという。
コテージの1泊利用料金はエルフとミモザが9000円~。フルールは4500円~、フロスティが4000円~となっている。
炊事場やトイレに近い「ミモザ」デッキから降りるスロープは車いすでの利用を考えて炊事場やトイレ方面に向けてつけてある ミモザの室内。備え付けのマットを敷いてみた。定員は4名だが3名での利用ならあまり窮屈にならずに済みそう。クッション性のいいマットやシュラフはレンタル品がある すべてのコテージにはアコン付き。窓にはカーテンもあり、一部の窓は開閉できるので外の風を入れることも可能 玄関には手すりが付いている。ここも車いす利用者が使いやすいよう照明スイッチの位置が低めになっている 電源コンセントと延長タップを意している。このような装備もすべてのコテージで共通 こちらのコテージは「エルフ」。エルフのみペット同伴がOKで、建物横に専用の屋根付きスペースがあるので、雨天のときも外で食事できる 「フルール」は約4.5畳で最大3名までだが、2名かソロでの利用がよさそう マットを敷いてみた。荷物などある場合は2名でちょうどよさそう フルールのデッキから沢の上流を見る。コテージ、RVパーク含めてここが一番眺めがいい 最後におもしろいコテージを。「フロスティ」は大人一人分のスペースで「狭さ」を味わえる空間。これはきらいじゃない人はいるはずで、実際リピーターもいるという フロスティの室内。幅は2人用テントくらいで、長さは身長が180cmだときついかもという感じ。万人向けとは言えないが、ほかに類を見ないサイズ感 デッキとその前の土のエリアが占有スペース。食事や焚き火はそこでやる人が多いと言う バリアフリーの作りといっても山のなかなのである程度は利用者ががんばる部分はあるが、いつもと違う場所でワクワクして過ごす時間はきっといい思い出になるだろう。こうした施設を応援する意味でも興味が涌いたのなら一度利用してみては