旅レポ

エチオピア・南部民族に教えてもらった笑顔の意味

満面の笑みで歓迎

 世界一過酷なダナキル砂漠の旅を終え、エチオピア南部に暮らす少数民族に会いに行きました。

 国内線でメケレ(Makale)→アディスアベバ(AddisAbaba)→ジンカ(Jinka)に移動。

 私の旅の目的の一つには、日本ではまず出会えないような人たちとコミュニケーションを取る、ということがあります。エチオピアには80以上の個性的な少数民族が暮らしていて、下唇にお皿をハメたムルシ族は日本では出会えない人たちの究極のような気がしていたので、出発前からとても楽しみでした。

 ダナキル砂漠ツアーで一緒だった友達とジンカの空港から町へ向かい宿を探して歩いていると、思いがけない出会いが!

 台湾の方が話しかけてくれて、旅人同士で情報交換したのですが、彼はフォトグラファーで明日、クルマをチャーターし、少数民族の撮影にいく予定だったんです! こんなラッキーなことあるんだ!と興奮しつつ、私たちも一緒に行きたいとお願いしました。

 台湾の方のほかに、ガイド兼ドライバー、ソルジャー、イランのフォトグラファー、イギリスのカップルが一緒で席が足りないから、荷台に乗るならOKということで少数民族の村に行けることになりました。翌朝、まずは町から近いアリ族の村からスタート。

 まずはエチオピアの国民食である「インジェラ」作りを見学。インジェラとはテフという穀物の粉を水に溶き、薄く伸ばしてクレープ状に焼き上げた食べ物です。

独特の発酵感と舌に残る酸味は忘れられない味……
素足で駆け出す子供たち
アリ族の少年

 次は、1番楽しみにしていたムルシ族の村に!!

ムルシ族の村

 わぁー!!! 本当に口にお皿がハマってるー!!! あまりのインパクトに大興奮!!

ムルシ族のファミリー
一緒に写真を撮ってもらいましたが、少し硬い雰囲気……
そんなときは写っている画面を見せながら自撮りがおススメ
どんなふうに写っているか分かると、こんなハジけた表情に

 ムルシ族の女性の特徴である下唇のお皿。なぜこのような風習ができたのか。その昔、奴隷貿易があった時代に、ムルシ族の女性は他国に奴隷として略奪されないように、わざと自分の容姿を醜い姿にすることで身を守ろうとしたそうです。

大きいお皿をはめた女性は結婚時に交わす牛の数も多くなる

 いつからか、このお皿が大きければ大きいほど美しいと変わったそうです。ただ現在では、エチオピア政府から衛生的によくないとされ、普段はお皿をはめていない人もいました。

 ところで、少数民族の写真を撮るにはチップを渡すのが慣習になっているようで、あらかじめ銀行で両替して少額のお金を用意しておきます。数枚、カシャカシャと撮るたびに1人につき5ブルを支払い、長めに撮ると10ブル、3人を撮れば3×5ブル=15ブル、村に入るための入村料や国立公園の入場料も必要です。

 写真を撮られることは民族の方にとって貴重な収入源のようで、ものすごい勢いで「わたしを撮って!」「僕を撮って!」と老若男女から声をかけられます。「フォト! フォト!」とたくさんのムルシ族に取り囲まれ、写真を撮る→支払い→写真を撮る→支払いを繰り返しているうちに、なんだか少し疲れました。

 クルマに戻り、“写真を撮らせてもらい代金を払う”ことについて考えてみました。

「フォトジェニックな民族が撮れてよかった」「あまりにもチップの要求がシビアで疲れた」など、ムルシ族を撮影した旅人から聞いていたとおり、私もいろんなことを感じました。

 いつからお金を払って写真を撮るシステムになったのだろう。時代とともに訪れる観光客が増え、少数民族の生活のなかに新たに観光業が追加されたわけで、写真撮影や取材させてもらうのに代金を払うのはおかしなことではないはず。

 私は、文明とかけ離れた素朴な民族の姿を期待していたのかな……。ただそれは私の勝手なイメージであって、逆の立場であれば、ジャパンに「サムライ」を撮りに行こうとしていたようなものだったのかも。

 民族の方たちも、現代のなかで暮らしていて、そのなかで自分たちの写真を撮りに外国から観光客が来るのであれば、それがビジネスのようになったのは自然な流れなのかもしれない。その国の伝統文化やアイデンティを残すには、こういった観光的な面も必要なのかなと思いました。

 私が旅していた2018年1月7日はエチオピアのクリスマスでした。エチオピアではクリスマスは特別にロウミート(生肉)を食べる伝統があります。

インジェラとロウミート(生肉)
インジェラと焼いた牛肉

 少数民族の村を案内してくれたドライバーさんのご自宅で家庭料理を食べさせてもらうことに。

ドライバーさんは、奥さまが3人いて養うのが大変なんだとか(笑)
インジェラとドロワット(鶏肉のスパイス煮込み)
ドライバーさんの子供たち

 今回、南部民族を撮影しにジンカに来て、アリ族、ムルシ族、バンナ族などに会えたこともそうだけど、いろいろな国の旅人と一緒に過ごしたり、クルマが動かなくなって炎天下のなかひたすら救助を待ったり、自称ガイドとツアーの値段交渉で揉めたり、日々、旅してるなぁ~って感じがして、たまらなく楽しかった!!

救助のクルマ
友達になった台湾、イランのフォトグラファーと毎日通った地元の食堂で
ダナキル砂漠ツアーから一緒に旅してくれたユウコちゃんと
赤土を髪に練り込むバンナ族の女性

 道端で私から声をかけた3人組の男性。よくよく考えたら、カマとロープを持った異国の男性に声をかけるのは少し勇気がいるけど、左側の男性の頭に付いたピンク色のヘアピンが気になって写真を撮らせてもらいました。

この辺りの最先端ファッションはこんな感じ!?
ずっと楽しそうに笑う仲よし3人組
この女性の笑顔が撮れたとき、とっても晴れ晴れした気分に(^^)

 着飾ったユニークな民族の写真を撮りに来たけど、私はそれ以上にそこで暮らす人々の日常を撮りたかったんだな~。そして、やっぱり笑顔って最高だなって思いました。

 次回、世界遺産「ラリベラの岩窟教会群」へ。

いのうえのぞみ

1983年3月19日生まれ。大塚製薬「カロリーメイト」広告でデビュー。テレビ東京系「やりすぎコージー」などレギュラー出演も多数。2015年度バリ島観光大使に就任。ANA夏の旅割CM、auビデオパスなどCM、広告のほか、月刊カメラマン、フォトテクニックデジタル、デジカメ Watchでモデルとして活躍中。タレント活動の傍ら、世界一周を目指し61か国を旅して現在も進行中(2018年9月時点)。
カメラマン、ライターとして湘南モノレールWebサイト“ソラdeブラーン”「湘南フォトレール」を連載。
Twitter:@nononononozomin
Instagram:@inouenozomin@inoue.nozomin(モデル用)
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