旅レポ

ベトナム南部・ホーチミンからメコンデルタへの旅(その2)

マジェスティック・サイゴンに宿泊したホーチミン観光編

 ベトナム航空主催のプレスツアーその2。

 今回はベトナム最大の街・ホーチミンの観光編をお伝えします。

さすが5つ星の品格! 宿泊は憧れのホテル・マジェスティック・サイゴン

 蛇行するサイゴン川を見渡せる最高の立地に建つ「ホテル マジェスティック・サイゴン」。その昔、プライベートの貧乏旅行でホーチミンを訪れたときに通りかかって、そのたたずまいに「なんてエレガントで品格あるホテルなんですの~!?」と感動したのを今でも覚えています。そんな憧れのホテルが今回の宿泊先。ベトナムがフランスの植民地だった時代から続く歴史あるマジェスティック・サイゴンは、世界中のセレブリティが訪れるホーチミンを代表する5つ星ホテルです。

ベトナムの朝はフォーで始まります

 ホテルの開業はホーチミンがまだサイゴンと呼ばれていたころの1925年なので、90年以上も前。現在はスパやジム、プールも備えていて欧米人にも人気です。

ステンドグラスやシャンデリアが美しいロビー
この狭い廊下に歴史を感じませんか?
廊下の途中で突如現われる休憩ペースが立派すぎ

 今回泊まったのはリビングとベッドルームが分かれているコロニアルスイートのお部屋。インテリアがウッディな上にお部屋の照明が全体的に暗いので、気分的には落ち着くのですが、夜はデスクワークには向かないかも。

スイートタイプのお部屋。こちらはリビングルーム
ソファもベロア調のクッションも格式高い雰囲気

 リビングの壁には薄型テレビが控えめに。中央には4、5人は座れる大きなソファーセット。ノートPCや書類などを広げられるデスクもあって、レトロな電話はインテリアかと思いきや、ちゃんとフロントにつながる館内電話でびっくりでした。

テレビの下の引き戸の中は冷蔵庫
何がすごいってこの電話がすごいっ!

 続いてベッドルーム。バスローブやセーフティボックスが入った大きなクローゼットに、ドレッサー。ベトナム刺繍の施されたベッドシーツがいかにも高級そう! 奥は壁が大理石のバスルームでバスタブも。レトロなシャワーヘッドにまたまたびっくりしちゃいました。でもこれちょっと重いんですのよね。

お隣のベッドルーム
ベトナムらしく美しいカーテンの刺繍
電話の次にびっくりしたのがこのシャワーヘッド!

 さすがマジェスティック・サイゴン! と思ったのは、ハンドソープディスペンサーやバスタオルなどホテル名が書かれた専用アメニティを販売していること。例えばバスローブは75万ドンなので3600円ほど(1万ドン=約48円換算)。ちょっと欲しくなってしまいましたわ~。

屋上にある朝食会場から見えるサイゴン川

 朝食は見晴らしのよい屋上のレストランでビュッフェ形式です。種類豊富に山積みされているパンも気になるところですが、私はやっぱりフォーを。真剣な表情でライスヌードルの湯切りをするおじさんの前に毎朝並んでおりました。それにしてもここからの眺めは本当に素晴らしい。この景色を見ながら朝食を食べられるというだけでマジェスティック・サイゴンに泊まる価値があると思うのです。

朝食ビュッフェは南国フルーツ食べ放題
フォーを作ってくれるおじさん
フォーとバインセオ(ベトナム風お好み焼き)とフルーツいう大好物だらけの朝食
中庭にあるプール
夜はこんな雰囲気に

 マジェスティック・サイゴンといえば、作家の開高健さんが朝日新聞社の特派員としてベトナム戦争を取材中に滞在していたホテルというのをご存じの方も多いかもしれません。開高さんが使っていた旧館の103号室は“開高ルーム”と呼ばれ、ドア横に説明プレートがかかっています。実はこの103号室、空いていればフツーに誰でも泊まれるお部屋。今回はほかの参加者さんが泊まれることになったので、押しかけて写真を撮らせてもらいました。

こちらが“開高ルーム”の103号室
ダブルベッドルームでした
開高さんもこうやって壁を向いて原稿を書いていたのでしょうか
部屋の壁には開高さんの写真。「KAIKO TAKESHI Japanese Writer」と書かれています

 マジェスティック・サイゴンに泊まったら、夜はぜひ新館の屋上階にある「エム・バー」へ。ルーフトップとはいえ8階なので、それほど高層階の雰囲気はありませんが、下の道路を行き交うバイクの音やクラクションの音に、あぁホーチミンに来ているな~という旅気分が高まりますよ。

エレベータで8階のエム・バーへ。その名も“ミス・サイゴン”というカクテルでホーチミンの夜に乾杯。そのあとすぐに酔っ払って就寝

ホーチミンの王道観光スポットその1

 ここからはサイゴン大教会や中央郵便局、ヒンドゥー教寺院といったホーチミン市の中心部にある観光スポットをご紹介しましょう。開高健さんは「ベトナム戦記」の冒頭で、南ベトナムはどこの街にいっても“ニョク・マム”のにおいが染み込んでいる、と書いていますが今はそんなことはありません。その代わり(?)、現在のホーチミンで感じるのは異様なほどのバイクの数(と排気ガス)と言えるでしょう。

サイゴン大聖堂。ここではレンタルアオザイを着て記念写真を撮る日本人女子多し

 まずはサイゴン大聖堂から。ホテル マジェスティック・サイゴンからはドンコイ通りをまっすぐ歩くだけ。1kmくらいなのでゆっくり歩いても15分くらいでしょうか。ここはいつも観光客でにぎわっている撮影スポット。お隣のレモン色の建物は中央郵便局で、こちらも大聖堂とセットで訪れる観光名所です。この中央郵便局は切手やハガキが買えるのはもちろん、ザ・観光地といった超ベタなお土産が並んでいるので、それを見るのが私は好きです。ちなみに奥の壁に架かる肖像画はベトナム建国の父、ホー・チ・ミンさんです。

ヨーロッパにいるかのような建物
現役の郵便局。中は観光客だらけ
床のタイルに注目! かわいい♪

 次に向かったのは、高島屋ベトナムのすぐ近くにある「スリ・タンディ・ユッタパニ寺院」。気付かないで通り過ぎちゃいそうな地味な入り口ですが、一歩なかに入るとそのカラフルな色彩に圧倒されます。

 こちらはヒンドゥー教寺院なので、いろいろな神様が極彩色で描かれた額が飾られています。注目はかわいらしい模様が描かれた壁のタイル! 実はここ最近は“インスタ映えする寺院”ということで日本人女子に人気なんだとか。お寺もインスタ映えの時代とは、きっとガネーシャもびっくりでしょう。

地元の姉妹が長いお線香を持ってお祈りする姿も。ちなみにベトナム人は約8割が仏教徒と言われています
インスタ映えを狙ってみました

 お次は気分をガラッと変える場所へ。ベトナムという国の歴史を語るうえで欠かせないのがベトナム戦争ですが、その戦争の真実や悲惨さを今に伝える施設「ホーチミン戦争証跡博物館」です。

ホーチミン戦争証跡博物館にやってきました

 建物は3階建てで、上の展示室から順に見て回る造りになっています。写真パネルをはじめとする展示品は充実していて見応えがあり、誰もが一度は目にしたことがあるピューリッツァー賞を獲った1枚も。英文の説明のほかに日本語訳があればもっと理解できるのになぁとちょっと残念な気がしました。

欧米人の観光客の姿が目立ちました
外にはアメリカ軍の戦闘機や戦車なども展示されています

ランチは雑居ビルの屋上にあるレストラン「シークレットガーデン」へ

さすが人気店だけあってどれも美味しい

 ホーチミンでは昨今、雑居ビルや古アパートの一室を改装したレストランやカフェが急増中。今回ランチを食べたベトナム料理店「シークレットガーデン」もそのうちの1つで、名前のとおり、本当に場所はシークレット! というのも「えっ!? 本当にここで合っているんですの~!?」という汚い(失礼!)路地を入っていき、「本当にこのビルの上にあるですの~!?」という階段を上らないとたどり着けないからですの。

半信半疑で上っていく古びた階段……
するとあるのです、ステキなレストランが!
ベトナム人は“巻き巻き”して食べるのが大好き。ライスペーパーが出てきて、自分で具材を巻いて食べます。欲張ると破れるのでご注意

ホーチミンの王道観光スポットその2

 ランチのあとはホーチミン観光を再スタートです。向かったのはホーチミンの西側エリアにある「チョロン」地区。ここは華僑が多く住むいわゆる中華街になっていて、よく見ると漢字が書かれた看板が街のあちこちに。チョロンでは観光名所にもなっているベトナム最古の中国寺院、ティエンハウ寺院を参拝です。

チョロンにあるティエンハウ寺

 このお寺は天井から吊るされた渦巻き状のらせん線香が見モノ! これは「塔香」といって私たち観光客も1個3万ドン(約144円)で吊るすことができます。上からときどきぼたりと線香のカスが落ちてくるのはご愛敬?

なかなかフォトジェニックな渦巻き線香

 フリータイムのときに、一人でふらりと立ち寄ったお店で夜食用のバインミーを買ったのですが、あとで調べるとそこは「Nhu Lan(ニューラン)」という老舗惣菜店だったことが判明。マジェスティック・サイゴンのスイートルーム(←これ大事)で、夜な夜な食べたこのバインミーがびっくりするくらい美味しくて感動的でしたの。あぁ、近所に欲しいぞ、ニューラン!

このフランスパンに惹かれて立ち止まったのです
野菜のなますとかパクチーとかレバーパテとかハムとかいろいろ
2万5000ドンなので120円くらい

 ホーチミン市の中心部に戻って夜の街をウロウロしてみました。メインストリートのドンコイ通りと平行するグエンフエ通りは、夜になると歩行者天国になるので、夕涼みにやってきた地元の人でいっぱいに。輪ゴムの仕掛けでぴゅるる~~~っと光りながら飛ぶオモチャを売る人、スパイダーマンのコスプレをする人などお祭りっぽい雰囲気。夜になるといくらか暑さは和らぐのでお散歩も楽しかったです。

どこからともなく夕涼みの人であふれるグエンフエ通り
そしてよく分からないものを買わされる日本人観光客
人民委員会庁舎も夜のライトアップで浮かび上がって美しく

ディナーはまたまた雑居ビルのなかにあるレストランへ(エレベータ希望!)

 ディナーはこれまた雰囲気抜群のベトナム料理のお店「マウンテン・リトリート」へ。ランチを食べたお店同様にこちらも雑居ビルの屋上。しかも6階! らせん階段をヒーヒー言いながら上ると、提灯がぶら下がる小洒落たレストランが。西洋人の姿もかなり多く人気店のようです。

仏像がどど~んと置かれた店内
らせん階段を上がっていくと、ステキなレストランがありました
器がどれも素朴でステキ! ホッとするベトナム家庭料理といった感じ
バルコニー席から見える工事現場夜景。現在ホーチミンでは地下鉄工事が急ピッチで進められています

 ディナーのあとは、おのおのホテルに戻りましょうということでフリータイムに。私は街スパで1時間のフットマッサージ(約1400円)を受けたあと、昼間に外観を見て気になっていた「KATINAT Cafe」へ行ってみました。2階席は夜のドンコイ通りを見下ろせる絶好シート。フリーWi-Fiにアクセスしコーヒーを飲んでほっと一息付いた瞬間に、夜になっても静まらない街の喧騒が一切気にならなくなっていた自分に気が付きました。ベトナムに来るといつもこんな感じでふっと身も心も“ベトナム仕様”になる瞬間があるのです。

ドンコイ通りにある「KATINAT Cafe」の2階席へ。3万5000ドン(約168円)のコーヒーを飲みながら夜のバイクの波を眺めるの図
バイクのことを「ホンダ」と言うらしいベトナム
ニセモノで「ホングラ」というのもあります、とガイドさん
うっかりバイク熱が上がってしまった人のなかには、こんなお土産を買う人も。布マスク5個で500円ほど
都会派ホテルもよいですが、今回はホテル マジェスティック・サイゴンに泊まれたのが一番の思い出になったホーチミンでした
今晩の夜食はニューランのバインミー♪ おやすみなさい

 次回は、ホーチミンから南西へ約70km、メコンデルタ地帯の街ミトーで乗ったメコン川クルーズや、カントーの水上マーケットなどの様子をお伝えします。お楽しみに~♪

ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。