旅レポ
ベトナム南部・ホーチミンからメコンデルタへの旅(その3)
ホーチミンからワンデートリップのミトーと、メコンデルタ最大の町カントー編
2018年4月5日 00:00
ベトナム航空主催のプレスツアーその3。
今回はベトナム南部に広がるメコンデルタエリアの観光編をお伝えします。
蜂蜜工場や果樹園のあるトイソン島へ
ホーチミンの各旅行会社が催行するツアーでメジャーなのが、メコンデルタの玄関口の町ミトーへのワンデートリップです。朝ホーチミンを出発してバスに揺られること2時間ほどでミトーの船着き場に到着。そこからモーターボートに乗り換えてメコン川の支流を進み、観光スポットを行くか、まわって夕方ホーチミンに戻るというのが王道コースのようです。
船着き場を出発して、茶色く濁った川の写真をめずらしがって撮っているうちに、15分ほどで到着したのがトイソン島。私たちを待ち構えていたのはミツバチの巣枠を持った養蜂園の人で、いきなり「ほら、舐めてごらん」とハチが群がる巣蜜の中に指をつっこまれるというおもてなしを受けました。
その後、奥のテーブルに案内され、ハチミツを使ったお茶やお菓子でさらに手厚いおもてなしを受けます。ここのおばちゃんがしきりに勧めてくるのがローヤルゼリー。日本だと高額なローヤルゼリーがここではなんと1個1200円で買えるのだそう(日本で買ったことがないからいまいちピンと来ないのですが)。しかも5個買ったら1個サービス、6個で6000円。しかも今なら特別に蜂蜜まで付いて6000円! とまくし立てますの。
この養蜂園にはなぜか大きなヘビがいまして、記念撮影に引っ張りだこ。噛まないから大丈夫とは言われても何が大丈夫なのか分からないし、やっぱり気持ちわるい! でも私も勇気を出して首に巻いてみましたわ~。
養蜂園を出て土産物屋が並ぶ通りをぶらぶら歩くと、お次はフルーツ農園へ招かれます。マンゴーやパイナップル、ドラゴンフルーツなど旬の果物が盛られたテーブルに案内され、アオザイを着た長身のおねいさんたちによるベトナム歌謡曲? の披露が始まります。
日本人観光客だと分かると「さくら」や「支那の夜(←古っ)」を歌うなど、かなりインターナショナルな戦略のアオザイ美女集団。歌が終わるとペコリとお辞儀をして、ノンラーと呼ばれる「ベトナム笠」を持ってチップをもらいにテーブルを回ります。いつのまにか出てきて、しれ~っと2、3曲歌い、チップを受け取るとさっさとどこかに行ってしまう彼女たちは潔すぎて、かえって好感を持ってしまったほど。いつまでも心に残るトイソン島の楽しい思い出になることでしょう。
おばちゃんの手漕ぎボートで支流をぐんぐん行く! 上陸した先はココナッツキャンディ工場
このあと、ミトーのワンデートリップのハイライトが待っています。それは小さな手漕ぎボートでのジャングル・クルーズ! 漕ぐのはこの道何年か分かりませんが、オールさばきが惚れ惚れするおばちゃんたちで、高さ5mはありそうなニッパヤシが生い茂るジャングルの細い水路をぐんぐん進むのですが、正直想像していたクルーズと違いました。
想像していたのは……鳥の鳴き声がどこからともなく聞こえてきて、ぽちゃんぽちゃんと静かに奏でるオールの音。肥沃な大地メコンデルタの恩恵を水の流れとともに心に刻む……的なものだったのですが、幅5mほどの水路は大混雑! まるで手漕ぎボート選手権のような状態なのです。おばちゃん、頑張れ~! と応援したくなります。
ミトー観光はまだまだ続きます。手漕ぎボートを降りたところは、うまい具合にココナッツキャンディ工場になっていて、作りたてほやほやのキャンディの試食ができちゃいます。もちろんお土産で買って帰ってね作戦なのですが、安いのでついつい5個6個と買ってしまうのがベトナムマジック。
この日ツアーで昼食に立ち寄ったのがフーン島。ここはかつて“椰子の実しか食べない”「椰子の実集団」なるシュールな人たちが暮らしていた島だとかで、そのころのナゾな建物が残っているのですが、現在はこうして外国人観光客がツアーで訪れる、のどかな観光島になっています。ワニの餌やりができたり(餌となる肉片は当然買う)、アスレチックが作られたりして、子供たちにも大人気の島でした。
宿泊はカントー随一のリゾートホテル、ヴィクトリア・カントー・リゾート
前述したとおり、よくあるホーチミンからのメコンデルタワンデーツアーはこのままホーチミンに戻って終了ですが、私たちはさらにクルマで2時間ほどのメコンデルタ最大の街・カントーへ向かいました。
宿泊は「ヴィクトリア・カントー・リゾート」というラグジュアリーな4つ星ホテル。クリーム色のコロニアルスタイルの外観がリゾート感を盛り上げてくれて、バスを降りた瞬間からワクワク! 風通しのよいロビーに案内され、ウェルカムドリンクを飲みながら眺めたプールには、のんびりバカンスを楽しむ欧米人の姿が。ここは特にフランスからの観光客が多いのだそうです。
翌朝、朝食前にプールの脇を歩きながら敷地内をぶらぶらしてみました。緑の濃い南国の植物は手入れがしっかり行き届いていて散歩が気持ちがいいっ! 私、このホテルかなり気に入ってしまいました。ミトーまで来る日本人観光客はたくさんいても、ここカントーまで来る人は少ないのだそう。穴場なカントー、オススメですわよ。
朝食はビュッフェ形式。種類豊富でどれから攻めようか迷ってしまいます。と言いつつもやっぱりフォーを。ホーチミンで食べたフォーよりもスープの色が濃く、味付けがちょっと甘いような気がしました。
こちらはホテル内にあるスパエリア。緑あふれるガーデンのなかで極上マッサージを受けることができます。ちなみに各部屋にあったプライスリストによるとお値段は、ビクトリア ホットストーン マッサージ60分が105万6000ドン(約4963円、1万ドン=約47円換算)。ベトナミーズマッサージが45分で77万ドン(約3619円)と高級ホテルにしてはかなりリーズナブル。マニキュアやペディキュアなどもありました。
メコンの風物詩・カイラン水上マーケットで大河メコン川の恩恵を感じる
カントー周辺では水上マーケットがいくつか開かれていて、そのうち一番有名なのがカイラン水上マーケット。ホテルからボートで45分ほどで行くことができます。
かぼちゃやスイカ、キャベツにパイナップルなど農作物を積んだ大きな船に、手漕ぎの小さなボートが群がるようにして、生産者、卸売業者、仲買人による売買が行なわれています。手漕ぎのボートのほとんどが菅笠をかぶったおばちゃんたち。よくもまぁ転倒しないで漕ぐなぁ~と感心してしまいます。
それにしても魚介類ならともかく、陸地で生産される農作物をこうして川で売買するって面白いと思いませんか。ここで暮らす人々にとって、このメコン川は今も昔もなくてはならない存在なんだなぁ~ということを感じながら、はるか遠くチベット高原に源流を持ち、中国やミャンマー、ラオスなどを経てベトナムまでやってきているという大河メコン川を思わずGoogleマップでなぞった朝でした。
ライスペーパー工場を見学! ここでもやっぱり特産品をお買い上げ~
ここカントーは私の大好きな生春巻きに使われるライスペーパーの特産地なのだそうです。ということで、カイラン水上マーケットを見たあとはライスペーパー工場を見学。おじいちゃんの職人技的なライスペーパー作りに見入ってしまいました。
この工場では、日陰干ししたライスペーパーが乾くと裁断機で麺状態にしていました。それを大きな中華鍋で豪快に揚げるのがお母さんの役目。揚げたては香ばしい香りが充満して食欲をそそります。麺はそのほかにも袋詰めされた“半生”状態で売られていて、この米麺は「フーティウ」というベトナム南部でよく食べられる麺なのだそうです。
最後はベンチェーのカカオ農場に潜入! ベトナムチョコレートになるカカオ豆とご対面
カカオ豆からチョコレートになるまでの工程を一貫して行なう新しいムーブメント「BEAN TO BAR(ビーントゥバー)」をご存じでしょうか。ここ数年ベトナムでもこのビーントゥーバーチョコレートが話題です。そのなかでも「MAROU(マルゥ)」はベトナム初のBEAN TO BARチョコレート・メーカー。お土産に大人気となっていて、ホーチミンにはカフェもありますよ。
今回カントーからの帰りに立ち寄ったのがベンチェーという街にあるカカオ農園。工場の中はツーンと鼻をつくなんとも言えないにおい……。これはどうやらカカオ豆が発酵しているにおいのようです。
お母さんがぐるりと切り込みを入れてパカッと割ってくれたラグビーボールのような形のカカオの実は「カカオポット」と呼ばれ、そのなかにチョコレートの原料となるカカオ豆が入っています。チョコレートの原料のカカオ豆ってこうなっているんだ~!と興味津々で見てしまいました。
私は今回の旅でベトナムチョコを買い忘れたので、帰国後に通販で「MAROU」を買ってみました。もちろん日本で買う方が割高で、ベトナムで500円ほどで買えるバーが1300円ほど。ほのかな酸味と芳潤でフルーティな香りは普段食べているチョコレートとは別モノでした。フレーバーは何種類かあって、パッケージも違うので好みを探すとよいかも。いずれにしてもお値段からしてバリバリおやつ代わりに食べるものではなく、お酒を飲みながらつまむ大人のチョコレートという感じ。
全3回でお伝えしたベトナム南部の旅。私がベトナムを好きな理由は、フォーが美味しいこと! パンが美味しいこと! とにかくごはんが安くて美味しいと、ビールも進んでハッピーになれますものね。日本と同じく南北に長いベトナムは地域によって気候も食生活も文化も少しずつ違います。日本からは羽田、成田、中部、関西、福岡からベトナムの各都市を結ぶベトナム航空で、ぜひ次の旅の計画をしてみてはいかがでしょうか。