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小山薫堂パビリオン「EARTH MART」に行ってきた。体験者は25年後にタイムカプセル梅干し「万博漬け」がもらえる!

10月には限定イベントも

2025年8月 時点
スーパーマーケットで買い物を楽しむように、食=いのちの循環を学べるのがポイント

 いよいよ来月フィナーレを迎える「大阪・関西万博(EXPO2025)」。今回は、老若男女問わずお勧めしたいシグネチャーパビリオン「EARTH MART」を紹介する。

 パビリオンのプロデューサーを務めるのは、放送作家で京都芸術大学 副学長の小山薫堂氏。「食を通じて、いのちを考える。」をコンセプトに、食のあたりまえを見つめ直す「いのちのフロア」、新しい食べ方と出会う「未来のフロア」のほか、プロローグ・ショップ・エピローグを含めて20の展示を用意している。

茅葺屋根の建物は、隈研吾事務所の若手らが提案したアイデアを原案として設計・施工しているとのこと。待機列は屋根の下(屋外)だが、8月下旬のお昼でも少し涼しかった
施設内に掲出されているQRコードから特設サイト「EARTH MART+」にアクセスすることで、音声ガイドや解説も楽しめる。各展示のデータまでかなり細かく掲載しているので、「混雑で一部の展示が見られなかった……」という人も安心

 プロローグでは、松本潤さんによる「一食入魂」の様子や「いのちと食の循環」をテーマにしたアニメーションを巨大スクリーンで上映。一連の映像は撮影禁止のためお見せできないが、最後は映像と連動してスクリーンがドアのように開く演出もあり、ぐっとEARTH MARTの世界へ引き込まれた。

のれんの入り口。最初のエリアのみ撮影禁止となっている(写真提供:EARTH MART)
松本潤さんによる「一食入魂」の瞬間はファン必見

 そんなドアの先に広がるのは、11の展示が並ぶ「いのちのフロア」。1人の日本人が一生で食べる卵の大きさを示した「一生分のたまご」や、同じく10年分の食べものと同じ体積の「いのちのカート」など写真映えするスポットが盛りだくさん。

いのちのフロア
1人の日本人が一生で食べる卵の数はなんと約2万8000個(年間339個×平均寿命)
ねぶたで作られた「いのちのカート」。総体積は約810L
日本人が食べる主要な食材300種の写真を瓶に閉じ込めた「いのちの色」

 一方で、1匹のマイワシが一生の間に産む約10万個の卵のうち、人間が食べるのはたった3匹だけになる様子を表わした「いちばん食べられる魚」や、各国で暮らす実際の家庭の1週間分の食料をまとめた「世界のレシート」など、地球環境や飢餓問題にしっかりと向き合う展示もある。

長崎県雲仙市の農家・岩﨑政利さんの畑から生まれた「野菜のいのち」
マイワシは海の生き物だけでなく、豚や養殖魚の餌にもなっていることから「地球でいちばん食べられる魚」とのこと
牛・豚・鶏が生まれる瞬間を上映する「家畜といういのち」
いのちのショーケース(写真提供:EARTH MART)
カンガルー、トナカイ、ピラルクなどごく一部の国・地域で食べられているものも
世界各国の家族と食卓のポートレートを並べた「世界の食卓」
1週間分の食事をレシート風に表現した「世界のレシート」
どの食材よりも味が気になる「ノパル」(食用サボテン)

 なかでも記者2人が夢中になったのは、牛乳・おにぎり・はちみつ・ミネラルウォーター・チョコレート・コーヒー豆といった6つの食品サンプルをはかりに乗せて、それらの背景にある物語からいのちの重さを知る「いのちのはかり」。クイズ形式なので、お互いに答えを予想しながら体験すると楽しい。

いのちの重さを感じるためのはかり。1匹のミツバチが集める花のみつは、はちみつにするとティースプーン1杯分ほどにしかならない

 モニターに映った自分が普段食べている肉(動物)や野菜に変身する「いのちのレジ」を抜けると、次に広がっているのは「未来のフロア」。

 どんな料理もパウダー化&再形成することで長期保存できる「再生米」、プロの料理人や大好きなおばあちゃんの家庭料理をレシピまるごと再現できるキッチンなど、6つの展示を用意している。

 いのちのフロアよりも展示の数は少ないものの、エリアの広さはほぼ同じで、1つ1つの内容が濃くなっている。順路はないので、空いている展示から楽しもう。

「海産・畜産」「野菜・果物」の2台が並ぶ「いのちのレジ」。画面に写るたび動物や野菜の種類が変わるので何度も試したくなる
最新のフードテクノロジーが集まる「未来のフロア」
未来を見つめる鮨屋では、普段は天然の魚のみを扱う「すきやばし次郎」の小野二郎氏が、養殖技術や品種改良技術を用いた未来の魚を握る
進化する冷凍食
さまざまな食材を凍結粉砕=パウダー状にすることで新しい価値を持つ食品に
例えば主食として楽しめる「再生米」や……
いくらの食感を楽しめる「ダチョウの卵」なども実現できるかも?
「味を記憶し、再現できるキッチン」には、俳優・速水もこみちさんも出演
みんなが幸せになる未来のお菓子コーナー
9~11歳の子供たちから集まったアイデアをプロのCGデザイナーがリメイク
世界に共有したい日本の食文化を集めたコーナー「EARTH FOODS 25」
各食材のパッケージデザインとコンセプト料理を提案している

 エリアの最後に設けられているのは「万博漬け」コーナー。樽のなかで実際に作っているのは梅干しで、来場者は25年後に完成した梅干しと引き換えられるカードが1人1枚もらえる。

 カードは自分で食べるために持っておくのもよし、大切な誰かに託すのもよし。完成イベントの詳細は、2050年の開催間近に「紀州梅の会」公式サイトで案内するとのこと。

6月からパビリオン内で作られている万博漬け。カードは2050年まで大事に保管しておこう

 最後は、1つの食卓でいのちを分け合うことの喜びを体験できる映像展示のエピローグ。約7分ごとの入れ替え制で、待ち時間にショップ「KIOSKU」を利用することができる。エピローグ終了後にショップの利用(再入場)はできないが、代わりにオンラインストアのQRコードが掲出されているので確認しておこう。

グッズショップ「KIOSKU」
米粒のピンブローチやTシャツなどをラインアップ
1つの食卓でいのちを分け合うことの喜びを体験できるエピローグ。展示を見て終わりではなく、映像を見ながらこれまでの内容を振り返ることで、さらに満足度が高めるはず
エピローグ鑑賞後には「お米のキャラメル」がもらえる。材料が米と砂糖のみなので、食感はしっかりキャラメル、味はだいたい甘酒

 入場方法は事前抽選・当日予約のみとなっているが、当日は朝イチ以外も予約枠開放を行なっているうえ、状況によって運営方法を変更する場合もあるとのこと。

 また10月5日には、東ゲートゾーンEXPOホール「シャインハット」にてシグネチャーイベント「EARTH MART DAY」の開催も予定している。詳細は大阪・関西万博公式サイトのお知らせページを確認いただきたい。