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無料になったANA国内線の機内Wi-Fiインターネットや、A321neoのシートモニターを試してみた(前編)

ANAアプリさえ入れておけば簡単に使い始められる無料インターネット

無料化されたANA Wi-Fi Serviceのインターネット接続サービスと、個人用シートモニターを体験するためにエアバス A321neo型機に乗ってみた

 ANA(全日本空輸)は4月1日から国内線の機内Wi-Fiインターネットサービスを無料化した。また、機内コンテンツの拡充や、2017年9月に就航したエアバス A321neo型機の全席にシートモニターを備えるなど、国内線の機内エンタテイメントサービスを強化している。

 ANAでは「FEEL THE NEW SKY」のキャッチコピーでプロモーションを展開しており、綾瀬はるかさんと吉沢亮さんが出演するテレビCMを見たことがある人も多いだろう。そこで、Wi-Fi対応機かつシートモニターを搭載するエアバス A321neo型機に搭乗し、新サービスを試してみたレポートを2回に分けてお届けしたい。

4月から無料化された機内Wi-Fiインターネットサービス、対応機材も拡充中

 まずは、機内Wi-Fiサービス「ANA Wi-Fi Service」の体験だ。このサービスは、2016年1月に提供を開始した。機内のWi-Fiを経由し、衛星を利用したインターネットに接続できるほか、機内のストレージにある動画、音楽、電子書籍といったコンテンツを手元のスマートフォンやタブレットで楽しむことができる。また、インターネット通信を利用してライブ放送を楽しむ「SKY LIVE TV」と呼ばれるサービスも提供している。システムはパナソニック・アビオニクスのものを使用している。

 このうち、インターネット接続サービスは当初、40分プラン550円、フルフライトプラン1050円で提供してきたが、この料金が4月から無料化された。

 競合のJAL(日本航空)は、2017年2月にキャンペーンとして機内インターネット接続サービスを無料化し、その後、「ずっとWi-Fi無料!」を打ち出して現在に至る。両社とも有料のときは1回の搭乗または一定時間で料金が発生する仕組みだったため、多く利用する人ほどコスト負担が増えるという事情があった。個人的な興味の範囲では“年間固定額で何回でも使い放題”という料金システムがあったらどのぐらいの利用者が申し込んだのだろうかと思っていたのだが、一気に無料化の流れとなったことは利用者の立場としては、ただただありがたい。

 ANAのWi-Fiサービスに話を戻すと、同社の国内線機材のうち、ボーイング 787-8型機/787-9型機/777-300型機、エアバス A321ceo/neo型機が全機材で対応。ボーイング 777-200型機/767-300型機/737-800型機は一部機材が対応、ボーイング 737-500型機/737-700型機、エアバス A320(ceo)型機はすべて非対応。ボンバルディア DHC-8-Q400型機はANA Wi-Fi Serviceによるコンテンツ視聴には対応するが、インターネット接続やSKY LIVE TVには非対応となっている。現在、8割ほどが改修を終えているとのことで、非対応機種に搭乗する確率は徐々に低くなっているといえるだろう。

ANA Wi-Fi Service(国内線)対象機材について(原稿執筆時点)

全機材が対応:ボーイング 787-8型機、ボーイング 787-9型機、ボーイング 777-300型機、エアバス A321ceo型機、エアバス A321neo型機
一部機材が対応:ボーイング 777-200型機、ボーイング 767-300型機、ボーイング 737-800型機
非対応:ボーイング 737-500型機、ボーイング 737-700型機、エアバス A320(ceo)型機
機内Wi-Fiコンテンツのみ対応:ボンバルディア DHC-8-Q400型機

 Wi-Fi対応機材かどうかは、予約時点で分かる場合もあり、空席照会結果の画面にある機種名表示脇の「WiFi」の文字が青くなっていれば、それは対応機材であることを示している。もっとも、予約時点ではグレーになっていることが多く、機材が確定した当日であれば、予約詳細画面で確実な情報を得ることができる。ここも対応機材であれば、同様に青い「WiFi」の文字になる。

スマホでの搭乗当日の予約確認画面。青い「WiFi」の文字がある。本稿ではこのANA653便に搭乗して体験
PC版の画面。画面左は対応機、画面右は非対応機の画面

 ちなみに、朝夕の便やイレギュラーな対応として、国際線用の機材が国内線で運航されることがある。その場合はWi-Fi対応機材であっても機内Wi-Fiエンタテイメントは利用できず、インターネットに接続する場合も国際線のプランに則った料金が発生する。座席指定をWebで行なえる購入方法ならば、そのときに表示されるシートマップの違いで判別するのがよいだろう。

 対応しているかどうかの事前のチェックを忘れていたとしても、いざ搭乗となればはっきり分かる。今回体験した、羽田空港10時25分発~岡山空港11時40分着のANA653便に使用されたエアバス A321neo型機(登録記号:JA131A)を例に紹介すると、まず搭乗前には、窓越しに機材を見ればドーム状に乗っかるアンテナの有無を視認できるほか、搭乗口にもANA Wi-Fi Service対応機であることの案内がある。搭乗するときには機体のドアの脇、搭乗後には客室の壁などに「ANA Wi-Fi Service」のマークが掲示されている。

機体の上にあるドームに衛星通信アンテナが収められている
ちなみにエアバス A321の「ceo」か「neo」かは事前に確認できず、実機を見て初めて分かる
搭乗口にもWi-Fiサービス対応機であることの案内。ANAアプリのインストールを促している
対象機の入り口ドアの脇や、機内の壁には「ANA Wi-Fi Service」対応を示すステッカーが貼られている

ANAのエアバス A321neoをチェック、機内Wi-Fiを使うならUSBケーブルもバッグから出しておこう

普通席を含めて全席に個人用シートモニターを備えるANAのエアバス A321neo型機

 続いて、新しい機内サービス体験のために搭乗した、ANAのエアバス A321neo型機の装備を確認しておこう。シートなどについては、同機が日本に到着した際の記事「ANA、国内線向け新機材「エアバス A321neo」日本到着。9月12日の羽田~熊本線から運航」も併せて参考にしてほしい。

 今回利用したのは普通席。シートピッチは30~31インチと決して大きい数字ではないが、シートが薄型のおかげで身長177cmの記者も、足下に窮屈さは感じない。シートポケットは機内誌などが入っているポケットの手前にドリンクなどを入れやすい2種類のポケットが付いている。大きい方のポケットにノートPCを入れてみたがちょっと無理があり、雑誌や文庫本などにベストフィットするサイズのように思われた。

 ただ、ここに物を入れて、ようやく「ちょっと狭いかな」と思う程度だったのが少々驚きでもあった。このシートポケットは、前方へ大きく入り組むような形状になっており、このデザインが功を奏しているのだろう。国内線に乗るのは長くても3~4時間といったところなので、これなら不満は感じない。

ANAのエアバス A321neo型機の普通席シート。背もたれ部分が薄型で、足下も前方に大きく湾曲して広く感じられるデザインだ

 そして目の前にはエアバス A321neo型機の特徴となっているシートモニターがある。普通席の場合は10インチだ。シートモニターや、シートモニターを使った機内エンタテイメントシステムについては、次回改めて触れることにしたい。

 そのシートモニターの下には、音声出力のためのヘッドフォン端子と、USBポートがある。「ヘッドフォン」と記したが、今は「イヤフォン」とするのが正しいかも知れない。以前は耳を覆うタイプの黒いヘッドフォンを各席に用意していたANAだが、2017年末からカナル型の白いイヤフォンに変更し、搭乗口または機内で必要に応じて提供するように変更している。そういえばANAのテレビCMでは、綾瀬はるかさんが白いイヤフォンをしてサッカーを見ていたな、と思い出す。このイヤフォンは持ち帰ってもOKだ。

 USBポートはスマホなどの充電に利用可能。普通席の足下には3席あたり2個の割合でユニバーサルAC電源(110V/60Hz)を備えている。せっかくWi-Fiインターネット接続が無料になったのに、到着地に着いたらスマホやノートPCのバッテリが切れて困った……では悲しいし、むしろ無料になったからこそ起こしてしまいそうな状況でもある。いずれもケーブルやACアダプタなどは自分で用意する必要があるが、せっかくの電源なのでぜひ活用したい。

普通席のシートモニターは10インチ。すぐ下にコントローラが収納されている
シートモニターの下部にヘッドフォン出力とUSBポート
乗客に配布するカナル型イヤフォン。2017年末にヘッドフォンからイヤフォンになり、搭乗口または機内で必要な人だけもらう方式になった
USBポートはこのようにスマホなどを充電。機内でスマホやタブレットを使うならケーブルも一緒に用意しておこう

 シートテーブルは二つ折りしてコンパクトに収納されており、2段階に広げられるタイプ。完全に広げたときの奥行きはちょうど12.5型ノートPC(レノボのThinkPad X260、奥行き208.5mm)とほぼ同じ。左右はこのノートPCよりも少し広いがドリンクと一緒には置けないといったサイズ感で、ほかの飛行機とあまり変わらない印象だ。ノートPCの利用については、12.5型のノートPCだとディスプレイを直角に開くのが限度でちょっと窮屈だった。もうワンサイズ小さい、11インチ台以下の液晶を搭載したノートPCが実用限界といったところかも知れない。

普通席では3席に2個の割合でユニバーサルAC電源を備えている
12.5型のノートPCを置いてみた。使えるが窮屈なので、もうワンサイズ小さなノートPCが現実的な印象だった

インターネット利用はメアド入力だけでOK、ANAアプリのインストールは忘れずに

 さて、いよいよ無料化された機内Wi-Fiインターネットサービスを体験してみる。使い方は、シートポケットに入っている「SERVICE INFORMATION」に記載がある。この冊子を1ページめくると、非常に目立つように「ANAアプリのインストールはお済みですか?」との記載がある。

 ANAの国内線機内Wi-Fiを利用するには、あらかじめ使用するスマホやタブレットにANAアプリをインストールしておく必要があるのだ。いうまでもなく、上空に行ってしまうと、インターネットに接続するにはANAアプリが必要で、ANAアプリをインストールするにはインターネット接続が必要で、そのためにはANAアプリが必要で……という状況になるが、卵と鶏のようなジレンマでもなんでもなく、とにかく「ANAアプリが先」なので、忘れずインストールしておこう。

 このほかに注意しておきたいのは、飛行機内でのWi-Fi利用は許可されているが、携帯電話回線の利用は許可されていないこと。そのため、飛行機のドアが閉まるまでに「機内モード」などの電波を発しないモードに設定しておき、利用時にWi-Fiのみを有効にする。

シートポケットに入っている「SERVICE INFORMATION」にANA Wi-Fi Serviceが情報も記載されている
1ページめくるとインターネット接続無料化の案内とともに、目立つように「ANAアプリ」のインストールを促す記載
ANA Wi-Fi Serviceへの接続方法が記載されている

 さて、スマホやタブレットでインターネットへ接続するには、以下の手順を行なうことになる。

1)Wi-Fiを有効にしアクセスポイント「ANA WiFi-Service」に接続
2)ANAアプリを起動
3)メニューから「国内線 機内WiFi」をタップ
4)「接続」ボタンをタップ
5)サービスのポータルメニューから「インターネット接続はこちら」をタップ
6)少し待つ
7)続いて表示された画面で「インターネット無料接続 こちらから」をタップ
8)メールアドレスを入力。利用規約を確認して「利用規約に同意する」にチェックを入れ、「接続」をタップ
9)少し待つ
10)「インターネットに接続されました」

ANA Wi-Fi Serviceのインターネット接続手順
(1)Wi-Fiを有効にしアクセスポイント「ANA-WiFi-Service」に接続
(2)ANAアプリを起動
(3)メニューから「国内線 機内WiFi」をタップ
(4)「接続」ボタンをタップ
(5)「インターネット接続はこちら」をタップ
(6)少し待つ
(7)「インターネット無料接続 こちらから」をタップ
(8)メールアドレスを入力。利用規約を確認して「利用規約に同意する」にチェックを入れ、「接続」をタップ
(9)少し待つ
(10)「インターネットに接続されました」
新しいブラウザ画面を開くとANAのWebサイトに接続する
すぐにメールで「0円」の利用明細が送られてくる。そもそもメールが届くのもインターネット接続ができている証拠

 手順にある“少し待つ”はおそらく衛星との通信状態によって時間が前後すると思われるが、試した際には手順5が2~3秒、手順8が3~4秒といったところ。ストレスを感じるほどではない。

 それを除くと、メールアドレスの入力以外は画面の指示に従うだけの非常にシンプルな手順だ。欲を言うと、最初のポータル画面への接続(手順3)と、インターネット接続の確認(手順6)で、さして重要な情報が表示されるわけでもない(記者は思った)のにワンステップはさむのは無駄かな、と思った程度。

 JALの場合は、gogoのシステムを使っており、利用に際してgogoアカウントの登録が必要になる。2度以降の利用や、事前に登録が済んでいればよいのだが、そうでなければ機上で新しいアカウントの作成が必要になる。

 特に、搭乗する段になって初めて機内Wi-Fiインターネットを無料で使えることに気付いたような場合は、乗る直前にアプリを入れるだけでよいか、さらにアカウントを作っておく必要があるのかの違いは無視できないし、アカウント作成を機上に持ち越すと、飛行時間の短い国内線では1分でも惜しくなる。このエアバス A321neo型機の搭乗体験は、羽田~岡山線でのことだが、離着陸前後5分間は利用できないので、実際には1時間弱が利用可能な時間となった。もっと短い路線も多い国内線だけに、この違いは小さくないように思う。

 とはいえ、(繰り返しにはなるが)事前にアプリをインストールする必要がある点は同じで、そのことを知っている人ばかりが乗るわけでないことを考えると、ここはしつこいぐらいに周知してもよさそうだ。記者は4月に入ってからANAの国内線に3往復6回搭乗しており、全機がWi-Fi対応機だったのだが、ドアが閉まる前にANAアプリのインストールを案内する場合もあれば、その案内がないこともあった。搭乗口でも看板だけでなく、アナウンスの際に案内があってもよいように思う。

トラベル WatchのトップページやFlightradar24を表示。地上にいるよりはややもっさりするが、ストレスは感じない実用的な速度で利用できた

 さて、インターネット接続の使い勝手だが、メールはもちろん、Webサイトの閲覧もあまりストレスがない速度が出ていた。速度を測ってみるとWebサイトの閲覧などに影響するダウンロード(下り)が4Mbps強。写真をSNSに投稿する際などに影響するアップロード(上り)が1.54Mbpsという結果に。弊誌のトップページは日によって増減はあるが概ね3~4MBとすると、10秒以下ですべて表示できる計算になる。

 一方、これは経験上の違和感だったのだが、上りの数値がよすぎたので、別の機会でも測定してみると安定して出るのは0.3~0.5Mbps程度。この速度でも写真であればちょっと縮小することを心がければ、サイズは1MB以下に収まるので、1枚あたり20秒もあればアップロードできることになるし、条件がよければ10秒程度で投稿できることになる。下りは4Mbpsであれば、SNSに投稿された1MBの写真が2秒で表示できる。空の上で地上にいる人と写真を交えてLINEしたり、プレミアムクラスに乗っている人ならPremium GOZENの写真をその場でSNSに投稿する飯テロも余裕だ。

 ちょっとビックリしたのは下りの速度が、2度のテストで同じような結果になったことだ。先述したスピード測定テストの2枚目の画像は、ボーイング 777-300型機でのもの。いうまでもなく500名以上が乗れる大型機材で、飛行機に乗り慣れた人が多い伊丹から羽田へ向かう便でのものだ。先述のエアバス A321neo型機でのテストよりも利用者が多いと想像できるし、条件次第でスピードが変化するいわゆるベストエフォートサービスのテストとしてはおそらく悪条件の一例といって差し支えないと思う。それでも、小型機であるエアバス A321neo型機でのテストと同じようなスピードが数字として表われ、使っている感覚でもそれほど違いは感じなかったのである。

 4Mbpsは、さすがに地上にいるときほどのスピード感ではないが、少なくともスマホやタブレットでインターネットを利用する範囲で、まず不満は感じない速度だ。推奨はされていないが、動画配信サイトの動画も見ようと思えば見られるだろう。

 ちなみに、ここでの“何秒”という数字はあくまで計算上のものではあるのだが、体感でもそれほど大きなズレはない。ときどき、「少し重くなったかな」と思うときがあるのだが、それが続くこともなく、全体的にはまったく不満を感じないスピードだった。

画面左がエアバス A321neo型機、画面右がボーイング 777-300型機と別の便で測定したもの。ダウンロードは4Mbps程度は期待してよさそうな結果。アップロードは差が大きく、ピークの数字が目に留まるが感覚的には0.5Mbps出ればよい方かなと思う

 最後に、参考までにノートPCで使用する場合だが、これも手順はほぼ同じ。アプリがないので、ポータル画面へアクセスするために、シートポケットに入っている「SERVICE INFORMATION」に記載されたURLにアクセスする必要があるが、その後の画面はまったく同じだ。つまり、入力が必要なのはメールアドレスだけで、指示に従って画面を進めれば無料のインターネットを利用できる。

 コンテンツについては次回紹介するが、ノートPCの場合は一部の著作権保護されたコンテンツを視聴するためのプラグイン「Panasonic DRM Media Plug-in」をインストールする必要がある。Internet Explorer、Google Chrome、Safariなど利用できるWebブラウザが限定されるので注意したい。

 とはいえ、先述したとおり普通席ではノートPCを開くのに十分なスペースがあるとは言えないので、大画面というメリットはあるが、こうしたプラグインインストールの手間なども含めて考えると、コンテンツの視聴だけであればスマホやタブレットの方が現実的だろう。

PCでの接続手順も基本的にはスマホやタブレットでの接続と同じ
著作権保護された動画には鍵マークが付いているので、画面の指示にしたがってブラウザプラグインをインストールする必要がある
パイロットやCA(客室乗務員)のアナウンス中にコンテンツ再生が中断するのは、シートモニターもスマホもPCも同じ