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ANA国内線の新777に乗ってみた。座り心地よく、シートモニターへの没入感も高い普通席。機内エンタメもチェック
2019年11月19日 07:00
- 2019年11月16日 就航
ANA(全日本空輸)は11月16日、全席にAC電源やUSB電源、シートモニターを搭載する新客室仕様のボーイング 777-200型機を国内線に就航した。同日の羽田~新千歳線で同機による運航便に搭乗した。プレミアムクラスについては別記事「ANA国内線の新777に乗ってみた。プライバシーの高さや電源の使い勝手が魅力のプレミアムクラス」で紹介したとおりで、本稿では普通席の利用感や、機内エンタテイメントサービスの使い勝手などをお伝えする。
ANAが国内線に導入する新仕様のボーイング 777-200型機は関連記事「ANA、全席にシートモニターや電源装備の国内線ボーイング 777-200型機を公開。11月16日就航」で紹介しているとおり。普通席にも全席にAC電源、USB電源、シートモニターを備えるのが大きな特徴となる。
先述の関連記事にもあるとおり、普通席のシートはトヨタ紡織と共同開発したもの。座り心地のよさが印象的で、普通席なので決して広いわけではないのだが、初期状態のリクライニング角やフレームの作りのおかげで、普通に座っても腰や背中に無理を感じない自然な姿勢を取れる。正直、寝ようと思わなければリクライニングする必要もあまり感じない。
シートピッチは国内線普通席としては標準的か、やや余裕を感じるサイズ。シートポケットが足下にあるものの、シートそのものの薄さと、足下にかけての“くびれ”があることで、うまい具合に足下にスペースを生んでいるようだ。
そのシートポケットもマチが大きめで、ノートPCやペットボトルを入れても無理がない。シートによっては、記者が使っている12.5型ノートPCをシートポケットに入れるとシートテーブルが展開できないぐらいはみ出すことがあるが、本機ではそのようなこともなかった。
2層になっているシートポケットの手前側はメッシュになっており、中身が見える。手持ちのイヤフォンなど、降機のときに忘れがちな小物を入れておくと便利だ。
そのシートテーブルは1枚板で、2段階に折り曲げられる機材が増えているなか、印象に残る。新しい機材のおかげもあってかダンパーがよく効いており、気持ちよいぐらいに好きなところで止まる、言葉どおりのフリーストップな構造。ロックを外した瞬間に“ガタンッ”とテーブルが落ちてくるようなことがなく、安心感がある。
これは先述の関連記事でも触れているとおりだが、テーブルに設けられたカップホルダーは正円ではなく、クローバー状の形状となっており、カップを取り出しやすくしている。これは実際に使ってみると実感できる。
本機の大きな特徴となっているシートモニターは11.6インチのサイズ。プレミアムクラスの15.6インチに比べると小さいわけだが、自身とシートモニターまでの距離が近いので画面は十分に大きく、シートモニターへの没入感はプレミアムクラスよりも普通席の方が高いように感じられた。
そのシートモニターの下にはUSB電源とイヤフォン出力を備え、足下にはAC電源を装備。AC電源は前席側にあるので脱着はしやすい。ただ、通路側を利用している場合は、窓側席の人が通路にアクセスする際に足をひっかける可能性もあるので注意は必要だ。
ノートPCなどを使う場合だが、12.5型ノートPCの場合、シートテーブルに乗せて利用するのは非現実的な印象を受けた。使いやすい位置にノートPCを置くと前席背もたれとの間に余裕がなく、液晶ディスプレイが垂直に近い角度になってしまうためだ。これはシートの初期状態でも軽いリクライニング角がつけられている影響が大きく、もっと低い位置なら使うことは可能。ひざ上においての利用は現実的だった。
座席によってUSB電源の仕様に違い。プレミアムクラスの方がスマホやタブレットを素早く充電
別記事でプレミアムクラス、本記事で普通席と利用感を紹介してきたが、この2つの座席においてUSB電源に違いがあったことを紹介しておきたい。
プレミアムクラスはAC電源とUSB電源が一体化したユニット、普通席はシートモニター下に装備したUSB電源からスマホへの充電を試したところ、前者の方が電流量が多かったのである。
USBテスターなどは持っていなかったので具体的な数字は図れていないが、スマホで認識した電流量には明らかな違いがあり、アプリ「Ampere」(絶対値としてではなく大ざっぱな参考として利用している)での計測から推測するに、プレミアムクラスは1.5Aか2A程度、普通席は1A以下の仕様ではないかと思う。
普通に考えるとAC電源一体化ユニット内とシートモニター内では5Vを生成する回路が違うのだろう。今回の搭乗では試せていないが、普通席の最前列は足下にAC電源とUSB電源が一体化したユニットなので、おそらくこちらは普通席でもより電流量の大きなUSB電源を利用できるのではないかと想像している。
機内エンタメをチェック。Wi-Fi経由でしか見られないコンテンツも
最後に、機内エンタテイメントサービスに触れておきたい。まず前提として、視聴できるコンテンツはプレミアムクラス、普通席ともに共通となっている。
シートモニターで利用できるコンテンツは、大きく「映画」「ビデオ」「オーディオ」「電子書籍(e-books)」に分けられる。
ホーム画面は実質2種類あり、お勧めコンテンツなどが表示されるのが本物の「ホーム画面」。こちらではCA(客室乗務員)の呼び出しや音量/画面輝度の調整、頭上の読書灯のオン/オフを制御する機能のほか、残りの飛行時間のイメージなども表示される。
また、ブックマークの機能も備えており、コンテンツ一覧に表示される「☆」マークでチェックしたコンテンツを利用できる機能がある。プレイリスト機能と言い換えてもよいだろう。
もう1つの「ホーム」っぽい画面が、コンテンツの種類を選択する画面。ここから先述した動画や音楽などのコンテンツ一覧へと変遷していく。コンテンツを選択する一覧画面には対応言語に応じたフィルタ機能などを備えている。
一方で、JAL(日本航空)が国内線のエアバス A350型機などで対応している「レジューム機能」は備えておらず、長時間コンテンツを視聴する場合は、見終えた範囲を覚えておく必要がある点には要注意だ。その意味では、映画のコンテンツは少なめで、ドラマやバラエティを充実させているのは妥当なチョイスに思える。
機内Wi-Fiサービスも提供しており、自身のスマホやタブレットでもコンテンツの視聴が可能だ。ポイントは機内Wi-Fiサービス経由でしか利用できないコンテンツもあるという点だ。
ニュースなどを提供している「ライブTV」はスマホやタブレット、PCの指定ブラウザなどのみ視聴でき、シートモニターでは視聴できないようになっている。また、食べログとのコラボコンテンツの視聴や、機内販売サイト「ANA STORE@SKY」の利用も、機内Wi-Fiを利用したスマホやタブレット、PCのみのサービスとなる。
インターネット接続サービスは無料。このあたりは、すでに対応しているANAの国内線Wi-Fi対応機と同じ手順で利用できる。
ANA国内線新シート搭載機の運航スケジュール
2019年11月16日~30日、12月27日~31日
ANA243便: 羽田(08時20分)発~福岡(10時15分)着
ANA250便: 福岡(11時20分)発~羽田(13時00分)着
ANA27便: 羽田(14時00分)発~伊丹(15時05分)着
ANA32便: 伊丹(16時00分)発~羽田(17時10分)着
ANA75便: 羽田(18時00分)発~新千歳(19時35分)着
ANA82便: 新千歳(20時30分)発~羽田(22時10分)着
2019年12月1日~26日
ANA241便: 羽田(07時25分)発~福岡(09時30分)着
ANA248便: 福岡(10時20分)発~羽田(11時55分)着
ANA65便: 羽田(13時00分)発~新千歳(14時35分)着
ANA68便: 新千歳(15時30分)発~羽田(17時10分)着
ANA75便: 羽田(18時00分)発~新千歳(19時35分)着
ANA82便: 新千歳(20時30分)発~羽田(22時10分)着