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NEXCO東日本、完全自動化へ向け準天頂衛星「みちびき」を使った除雪車運転支援システムを公開実演
2018年2月7日 00:00
- 2018年2月5日 実施
NEXCO東日本(東日本高速道路)は2月5日、道央自動車道 岩見沢IC(インターチェンジ)で準天頂衛星「みちびき」を活用した除雪車運転支援システムの公開実演を行なった。
冬季の路肩排雪作業では、堆雪により外側線や路肩防護柵などの位置が把握できないことがあり、除雪作業には熟練を要する。そこで、この除雪車運転支援システムでは日本版GPSといわれる準天頂衛星「みちびき」からの信号と、高速道路高精度地図の情報を組み合わせ、高速道路上の自車の位置を誤差数cmの正確さで把握。走行車線へのはみ出しやガードレールなどへの接触を予測し、それらを回避するガイダンスをモニターに表示してオペレータを支援するシステムだ。
これにより熟練者のみならず、熟練度の低いオペレータでも除雪作業を行なうことができるようになり、安全性と効率化を狙う。
今後、熟練オペレータ不足や労働人口の減少に対応するため、運転支援ガイダンスを北海道大学 教授 野口信氏と共同開発し、将来的には完全自動化を目指す。
除雪作業の実演では、除雪車運転支援システムを搭載したロータリー除雪車を使い直線およびカーブの除雪を行ない、除雪したラインが白線からはみ出さしていないかを確認した。
現在、モニターに表示されるズレ幅は実際の幅と誤差17cmに収まっており、白線自体の幅約20cmより小さい。
NEXCO東日本 北海道支社 技術部長 田中潤一氏は、「カーブの始まる位置がまったく見えないなか、モニターだけでこの精度で除雪できる」とコメントした。実演のオぺレータを担当したネクスコ・メンテナンス北海道 岩見沢作業所 真鍋賢一氏によると、北海道特有のホワイトアウトや夜間などの視界不良時にこの支援システムがあれば、初心者・ベテラン問わず安全に迅速に作業できるとともに、疲労の軽減などのいろいろなメリットがあると語った。
そして、このシステムによりどのくらいの経験が穴埋めできるかという記者からの質問に対しては、「私の感覚で10年分と言っても過言ではない」と回答した。
続いて実演したロータリー除雪車コクピット内部が公開された。ロータリー除雪車上部に「準天頂衛星みちびき」からのデータを受信するアンテナ、オペレータ席後部にデータを処理する受信機、フロントガラス右上にガイダンスモニターが設置されていた。
ガイダンスモニターは「路肩幅・作業注意情報」「横方向偏差」「ハンドル切れ角」「時間」の4つの項目に分けて表示されており、前方を見ながら必要な情報をオペレータが把握することができる。
現在はアンテナと受信機はまだ発売されておらず、野口信氏から借りてこのロータリー除雪車1台だけに取り付け、岩見沢IC~美唄IC間を1月15日から実用しているが、4月以降ほかのエリアにも展開して次年度以降、全基地にある約50台のロータリー除雪車に取り付け運用していく予定だ。
また、ガイダンスモニターの位置・表示内容やデザインについても今後オペレータの意見を聞きながら一緒に開発していく。
田中潤一氏は今後、時速約5kmで除雪作業するロータリー除雪車に対して、より高速な時速50kmで本線の除雪を行なう除雪トラックにも早期に転用させていき、2025年以降に完全な自動運転を目指したいと語った。