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NEXCO東日本、移動式防護柵で車線数を変える「ロードジッパーシステム」を道央道リニューアル工事に導入
北広島IC~恵庭IC 島松川橋床版取替工事、現場公開
2018年6月9日 23:09
- 2018年6月8日 現場公開
NEXCO東日本(東日本高速道路) 北海道支社は6月8日、道央自動車道 北広島IC(インターチェンジ)~恵庭IC間にある島松川橋の床版取替工事と、ロードジッパーシステムを報道公開した。
床版取替工事は、NEXCO各社が実施する高速道路の大規模更新・修繕事業「高速道路リニューアルプロジェクト」の一環で、1971年に開通してから約47年が経過した島松川橋における、車両大型化・交通量増加など荷重の増加で生じた微細なひび割れやはく離、凍結防止剤などが原因で劣化した床版(しょうばん)を、より耐久性の高い床版に取り換える工事。
島松橋(上り)の工事に伴い、5月29日から恵庭IC~北広島IC間が終日対面通行、50km/hの速度規制となっている。通行止めはせず、工事の行なわれていない島松橋(下り)通常2車線に加え、除雪のために広く設定されている路肩を利用して3車線分を確保し、交通渋滞が予想される時間帯に合わせて交通量の多い車線を2車線へ、交通量の少ない車線を1車線へと切り替える。
月曜から土曜は7時に上り(北広島IC→恵庭IC)が平均交通量のピークを迎え、夕方17時ごろに下り(恵庭IC→北広島IC)で平均交通量のピークを迎えることから、午前中は「上りを2車線、下りを1車線」運用、昼の12時~13時の間に中央分離帯を切り替えて、午後から「上りを1車線、下りを2車線」運用とし、深夜0時~1時にまた中央分離帯を切り替え、上りを2車線に戻す。
また日曜・祝日は平均交通量が平日より少なく、ピークが上り・下りともに15時~16時であるため、どちらを2車線運用しても渋滞が予想されることから、切り替えは行なわず、新千歳空港発へ向かう通行客が飛行機に遅れないよう、終日上りを2車線にしている。
NEXCO東日本では、この車線運用の切り替えに移動式防護柵「Road Zipper System(ロードジッパーシステム)」を導入し、スムーズな切り替えを行なうことで交通渋滞を緩和する狙いだ。
ロードジッパーシステムとは、連結した移動式防護柵を、専用車両「Barrier Transfer Machine(BTM)」を用いて移動させ、道路の混雑状況に合わせて工事車線規制範囲を安全・自在に変更できるシステム。BTMについては以前行なわれた説明会とデモンストレーションを取材しているので(関連記事「NEXCO東日本、コンクリート防護柵をジッパーのように移動するマシンを公開」)、そちらもご参照いただきたい。
この工事現場公開では、昼の12時~13時に行なわれた「上り2車線、下り1車線」を「上り1車線、下り2車線」に切り替える作業を見学した。
BTMは約5km/hで車両の右側に連なる防護柵を次々に持ち上げて、車両の下を通して1車線分左側へと移動させながら進み、約1.7kmの規制区間の切り替え作業を約20分で終えた。
このロードジッパーシステムによって、終日対面一車線通行の場合と比べて約9割交通渋滞を削減できる見込みで、運用を開始してからの10日間、平日の交通渋滞は起こっていないという。
NEXCO東日本 北海道支社 構造技術課長の近藤光継氏は、「基本的に工事区間なので2車線運用している区間でも終日50km/hで速度制限させていただいてます。めずらしい機械が動いているため、見物したくなりブレーキをかけるクルマもいるようなので速度に十分注意されることと、車間距離を十分取っていただいて安全に走行していただきたい」と呼びかけた。