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ドコモと京大、動画で橋の損傷を点検する世界初の「橋梁劣化推定AI」開発。富山・八尾大橋で実証実験

2019年12月5日 発表

NTTドコモと京都大学は、橋の劣化をAIで測定する「橋梁劣化推定AI」を開発。12月9日から実証実験を行なう

 NTTドコモと京都大学は12月5日、動画撮影によりAIを活用して橋の劣化を推定する世界初の「橋梁劣化推定AI」を開発したことを発表した。

 橋梁劣化推定AIは、橋梁と橋梁上を走行する車両を動画撮影し、車両の重量を推定したうえで、橋梁の複数点のたわみ(変位)から、橋梁の劣化をAIで推定するもの。ポイントとして、橋のたわみは劣化だけでなく車両重量にも影響を受けることから、車両重量を推定したうえで推定することが正しい結果につながるとしているほか、通行量や設置環境など橋梁それぞれで状況が異なるために定期点検やモニタリングで橋梁ごとのデータを蓄積することによる精度向上が期待できるという。

 橋梁の点検は目視や打音による点検が一般的だが、技術者の技量により判断が異なる、経験豊富な技術者の不足、足場の設置を必要とするために点検コストが高いなどの課題があった。また、近年ではドローンなどを活用して表面のひび割れや腐食などを画像解析で検出する技術が開発されているが、その時点ですでに重大な損傷となっていることが多く、老朽化が進んでいるインフラを効率よく点検する技術、早期補修のための劣化推定ができる技術として開発された。今後、5G時代となることで4Kや8Kなどの大容量動画を低遅延で送信することで、より精度の高い橋梁点検を実現できるとしている。

 NTTドコモと京大、富山市、富山市、大日本コンサルタントは、12月9日~2020年9月30日に富山市の八尾大橋で、橋梁劣化推定AIの実証実験を実施。実橋梁への適用可能性を検証する。

橋梁劣化推定AIの仕組み
京都大学大学院 工学研究科社会基盤工学 金哲佑教授の協力で行なわれた模型橋梁実験
実験における変位の測定結果。AIを用いた異常検出に成功したという