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運転も除雪も自動化したNEXCO東日本の除雪車、高速道路本線で実演! 2022年度の完成目指す
2021年11月19日 12:38
- 2021年11月17日 実施
NEXCO東日本(東日本高速道路)北海道支社は11月17日、北海道の高速道路における雪氷対策高度化システム「ASNOS(アスノス)」の一環で開発を進めている、「ロータリ除雪車自動化試験車両」の公開実演を、岩見沢IC駐車場および高速道路本線で実施した。
同社は2019年に、準天頂衛星システム「みちびき」からの信号と高精度地図情報を組み合わせて、走行車線へのはみ出しやガードレールなどへの接触を予測、それらを回避するガイダンスをモニターに表示し、ロータリ除雪車のオペレーターを支援する「運転支援システム」を完成させている。これをもとに同年、ロータリ除雪車を自動化する研究開発が始まった。
2020年11月に夕張テストフィールドで公開実演をした当時は、オペレータがハンドルやアクセルに触れなくても試験車両が自動で操舵する「自律走行」のみのだったが、今回はそれに加えて、除雪作業を自動化した「除雪装置操作の自動化」も実装している(関連記事「雪で見えない道路を衛星+高精度地図の自動運転で除雪。NEXCO東日本の試験車両に乗ってみた」)。
これは、路肩で雪を切り崩す「オーガ」の高さを路面の凹凸や傾斜、排水マスの有無などに合わせて調節する操作と、切り崩した雪を排出する筒状の装置「シューター」の角度や方向を、路肩付近に設置されたスノーポールや標識、非常電話などの障害物に当たらないよう調節する操作、この2つをオペレータに頼らず自動で行なうものだ。
岩見沢IC駐車場では、デモ走行コースを自律走行。なかに乗り込んだオペレーターがハンドルから両手を離している状態で自律して操舵する様子を見せたのち、高速道路本線に移動して、実際に路肩を自律走行させながら自動化された除雪装置の動きを披露。
路肩を走行するロータリ除雪車はここでもオペレーターがハンドルから手を離した状態でオーガを回転させながら白線に沿ってきれいに進み、路肩付近に点在するスノーポールに対してはシューターの雪の排出角度を、道路標識に対しては排出角度と方向を自動で変える様子を見ることができた。
今回も助手席に試乗させてもらったが、ロータリ除雪車の運転席に取り付けてあるガイダンスモニタの表示が若干変更された点と、以前はルーフ前方に1基だけ取り付けてあった準天頂衛星システム「みちびき」用のアンテナがルーフ前方と後方の2基に増えているのが確認できた。アンテナの増設により車体の方向をより正確に計測できるようになったという。
NEXCO東日本 北海道支社では「除雪装置操作の自動化」を完成させるため、2021年度冬季に高速道路本線での試験を開始する。
このロータリ除雪車自動化が実用化されると、現在運転を担当する1名と除雪装置の操作および周辺監視を担当する1名、計2名のオペレーターを必要とするところを、1名だけで操作できるようになる。高齢でリタイアするなどして熟練者が不足していくなか、非熟練者でも対応可能になるほか、視界不良や堆雪により、ガードレールなどの構造物を把握することが困難な状況でも、安心・安全にロータリ除雪車のよる除雪作業ができるようになるという。
この本線試験では堆雪により負荷のかかる状況での除雪作業や、衛星からの信号が届きにくい場所でも登録されたとおりに走れるかなどを試験し、自動化へ向けて精度を上げていく。高速道路本線での試験は初の試みで、2022年度の完成を目指している。