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NEXCO東日本、北海道担当「渋滞予報士」による2018年お盆時期の渋滞予測説明会
渋滞のピークは8月13日。最長は14日の道東道 芽室IC~トマムIC間で25km
2018年8月8日 15:53
- 2018年8月6日 実施
NEXCO東日本(東日本高速道路) 北海道支社は8月6日、お盆時期の北海道エリアにおける渋滞予測の説明会を実施した。
説明を行なったのは、NEXCO東日本 北海道支部 交通技術課に所属する「北海道渋滞予報士」の石黒達也氏で、渋滞予測や渋滞発生のメカニズム、渋滞の抑制・回避策などについて解説した。「渋滞予報士」は、NEXCO東日本で渋滞予測に携わる担当者の愛称。
北海道エリアでお盆時期の渋滞のピークは8月13日
2018年のお盆時期の北海道エリアにおける高速道路の渋滞ピークは8月13日と予測されている。渋滞のメインとなるのは道東自動車道(E38) 追分町IC(インターチェンジ)~むかわ穂別ICの帯広方面の車線で、8時から18時の間に最大20kmの渋滞を見込んでいる。
また、道央自動車道(E5)の江別西IC~岩見沢IC間の岩見沢・旭川方面の交通量が増加するため、岩見沢から8kmくらい手前の栗沢BS(バス停)付近で8時から14時の間に約15kmの渋滞を見込んでいる。
2018年のお盆時期で一番長い渋滞が発生するのは8月14日、道東道の芽室IC~トマムIC間で、札幌・千歳方面の車線で広内TN(トンネル)付近を先頭に10時から21時までの間に最大25km程度の渋滞を見込んでいる。北海道エリアで大きな渋滞を見込んでいるのはこの3か所で、ほかに10kmや5km程度の渋滞、または5km未満の渋滞の発生も予測されている。
続いて石黒氏は、渋滞発生のメカニズムを道東道 夕張IC~芽室IC間を例に上げて説明。夕張IC~芽室IC間は長大トンネルと連続するトンネルがあり、さらに上り坂になっている。トンネルや上り坂になると無意識のうちに速度が低下する車両がいて、後続車はこのクルマとの距離が近くなりブレーキを踏む。さらにその後続車の後ろを走るクルマが連鎖的にどんどんブレーキをかけて減速してしまい、最後には停止してしまうというのが渋滞の一番大きな要因となっている。
そこでNEXCO東日本ではこの渋滞発生の防止に向け、トンネル内で速度低下の発生しやすい場所に「速度低下注意」と表示したLED標識を設置。さらに道東道のトンネルの側壁に「トンネル水平ライン」という黄色いラインを表示。合わせて今年度から試行的にどの程度の上りなのかをパーセントで表わした「上り勾配表示」というものを表示し、利用者にトンネル内で認識しづらい上り坂を視覚的に認識させ、無意識の速度低下を防ぐ対策を行なっている。
また、トンネル以外の渋滞の発生が発生しやすい箇所には電光掲示板の付いた「標識車」と呼ばれるクルマを設置し、速度低下を防ぐ表示や、実際に渋滞になったときには何kmの渋滞が起こっているかなどの渋滞情報を表示し、利用者の注意を喚起している。
この渋滞に巻き込まれないよう石黒氏は、高速道路の「分散利用」を提案している。まずは渋滞の発生が予測されている日を避けて別の日に出発日をずらすというもので、例えば渋滞が3回予測されている8月12日を避け、渋滞の発生が少ないと予測されている9日や10日を出発日にすることで、渋滞を回避することができる。
また、NEXCO東日本/中日本/西日本の3社ではETCの普通車・軽自動車を対象として、2018年お盆時期に渋滞が予想される8月11日土曜、12日日曜の「休日割引」適用日を割引適用外とし、代わりに渋滞の少ない9日木曜、10日金曜を「休日割引」適応日にする試みを実施。これにより料金的にもお得になる。
どうしても渋滞の見込まれる日に通行しなくてはならない場合には、渋滞の見込まれる時間帯を避けての利用がお勧めだ。
例えば音更帯広ICから夕張ICに向かう時に音更帯広ICを14時に出発すると、最大25kmの渋滞に巻き込まれてしまい、夕張ICまで行くのに133分かかってしまう。そこで一例として、帯広市内で観光などをして出発を21時にした場合、すでに渋滞が解消された高速道路を走ることができ、夕張ICまでの所要時間が95分になり、渋滞時より38分短縮できる。
「分散利用」を計画するにあたり、渋滞予測内容を知るには休憩施設などで配布している小冊子「渋滞予報ガイド」や、チラシ「お盆快適ドライブ予報」を活用するといいだろう。また、ドライブトラフィック「ドラとら」というWebサイトでは、時間帯を入力すると渋滞が予測されている区間・距離・渋滞通過時間などの詳細が分かるので、参考にしてほしい。
24時間・365日高速道路の監視をする道路管制センター
渋滞予報士・石黒氏の解説のあとに、NEXCO東日本 北海道支社の「道路管制センター」を見学した。道路管制センターの「交通管制室」では24時間体制で約700kmにもおよぶ北海道の高速道路を監視し、速度規制・通行止め・工事などの道路状況を、中央にある大型のモニターで把握できるようになっている。
また、横に並ぶモニターでは気象情報や各地にある監視カメラの映像を確認でき、加えてパトロールカーや利用者からの情報を無線や電話で収集し、必要に応じて道路情報板やカーナビ、ハイウェイラジオなどで利用者に情報を提供。さらに警察や消防などへの伝達、事故処理や負傷者搬送、落下物排除などの現場対応の指示なども行なう。ちなみにテレビ局の放送も表示しており、通行止めなどの情報をマスコミにFAXで提供したあと、テロップが表示されたかなどもチェックできる。
交通管制室の横にある「施設制御室」にもモニターが沢山並んでおり、長大トンネルの監視、ETCなどの高速道路の設備の故障や損傷の有無の確認、修理要請やトンネル内の非常設備のコントロールなどを行なう。
交通管制室・施設制御室から壁を隔てたところにある「執務室」には、交通3課と呼ばれる交通管理課、交通技術課、交通管制課のデスクが並ぶ。そして「防災対策室」にも多くのモニターが設置されていて、リアルタイムに各地の状況を見ることができる。緊急時に使う防災用電話やパソコン等が準備されていて、災害が発生した場合、社員が集まって状況を整理、対策を考える部屋になっている。