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NEXCO東日本、高速道路除雪のスペシャリストが集う「除雪車チャンピオンシップ」

ネクスコ・メンテナンス北海道の精鋭が除雪の腕を競い合う

2018年8月21日 実施

NEXCO東日本北海道支社とネクスコ・メンテナンス北海道は8月21日、道東自動車道 夕張インターチェンジ構内で除雪技術を競う競技会「除雪車チャンピオンシップ」を開催した

 NEXCO東日本(東日本高速道路)北海道支社とネクスコ・メンテナンス北海道は8月21日、道東自動車道 夕張IC(インターチェンジ)構内で除雪技術を競う競技会「除雪車チャンピオンシップ」を開催した。

 この競技会は今回で5回目の開催で、道内6事業所に務める約640人の除雪オペレーターのなかから各事業所3名、合計18名が除雪現場を想定した約170mのコースをトラクタショベルで走り、雪に見立てた「砂の山」を除雪するなどして車両操作や除雪作業の安全性、正確性、迅速性などを争う大会だ。

 開会式ではネクスコ・メンテナンス北海道 代表取締役社長 田仲博幸氏が、積雪が年々広範囲で増加傾向にあることに触れ、これまでの常識が通用しないような気候になり、より一層高いスキルが求められる時代になったとコメントし、「本日のチャンピオンシップが北海道全体の高速道路雪氷技術の向上に大いに寄与するとを祈念いたします」とあいさつした。

室蘭・苫小牧・札幌・岩見沢・旭川・帯広の6事業所から集まった雪氷作業(除雪作業)の精鋭たち
開会式のあいさつに立つネクスコ・メンテナンス北海道 代表取締役社長 田仲博幸氏

 コース内には、「機械の点検」「路側追従性」「操縦性」「ブレード操作性」「車庫入れ」の5つの競技種目があり、1台のトラクタショベルを使い1人ずつ順番にコースに出て競技を実施する。採点は競技種目「機械の点検」以外は減点方式で行なう。

 選手は、トラクタショベル始動前に点検箇所の損傷や油漏れの有無を指さし確認する第1種目の「機械の点検」を行なったあと、車両に乗り込みエンジンを始動させる。点検箇所は5つあり、完全に点検を実施すると各点検箇所ごとに得点を獲得することができるが、不完全だったり点検未実施だったりするとその分の得点が入らない。

タイヤ・ホイール・灯火器類・油圧シリンダー・ブレード・エッジ・エンジン・ミッションなどの損傷や油漏れを点検して回る

 第2種目「路肩追従性」は、北海道に多い暫定2車線区間での正面衝突事故の防止のため、中央分離帯に2017年から導入を進めているワイヤーロープ近くでの除雪を想定し、2箇所に盛られた砂山を掻き取り得点を競うというもので、今大会から初めて追加した競技種目となっている。

 残った砂山の幅が0~5cmまでが減点なしで、6cm以上残してしまったり枕木やパイロンに接触してしまったりした場合は減点されてしまう。選手たちは砂山に接している枕木にブレードが接触しないように慎重にトラクタショベルを操り、雪に見立てた砂山を「除雪」していく。

スタートして最初の競技種目はワイヤーロープ近くでの除雪作業
このように雪に見立てた砂山を垂木やパイロンに触れることなく「除雪」する
ワイヤーロープと平行に除雪する箇所と、ワイヤーロープから離れていくように斜めに除雪する合計2か所だ
垂木に触れると減点されてしまうので、ギリギリを「除雪」していく選手たち
すぐに残った砂山の幅を計測して採点していく

 第3種目「操縦性」は、バック走行で並べられたパイロンの間をスラローム走行し、スラロームのスタートラインに戻ったタイムを競う。

 30秒以内に戻れば減点なしで、31秒からは時間に応じて減点され、パイロンとの接触も減点対象となる。旗の合図でスタートした選手たちはそれぞれ慣れたスピードで次々とパイロンの間をを縫うように走行していた。

旗の合図でスタート。バックでスラローム走行するのは非常に難しそうだ

 第4種目「ブレード操作性」は、2か所に設置されたドラム缶の上にコンパネを置き、その上に雪に見立てた砂山を設置してドラム缶やコンパネに触れることなく砂山を「除雪」するというもので、ブレードの位置を微妙にコントロールする技術が求められる。

 残った砂山の高さが0~5cmまでは減点なしで、6cm以上残すと高さに応じて減点、またドラム缶やコンパネに接触した場合も減点となる。さらに時間制限もありゴールまで40秒以内では減点されないが、41秒より遅くなると時間に応じて減点されるという作業精度と制限時間を両立させる競技種目となっており、この大会の一番の見せ場となっている。

2か所に設置してあるドラム缶の上に盛ってある砂山を「除雪」する。制限時間を設けているが焦りは禁物……
ドラム缶とコンパネに接触しないようブレードの位置を決め、前進!

 最後の競技種目はスタート位置に車両を戻す「車庫入れ」で、車庫に見立ててパイロンとポールで作られたコの字型の区画に車両をバックで入れ、車両後面とポールとの距離を計測する。0~10cmまでは減点にならないが、11cm以上離れてしまうと距離に応じて減点される。さらにポールへの接触やパイロンを動かしてしまっても減点となる。

慎重に車庫入れをする選手たち
車庫入れが終了するとポールと車両の間隔を計測し、次の選手に交代する。

 選手全員の競技が終わり点数が集計され、閉会式で団体の部および個人の部の成績が発表された。団体の部では3位が帯広事業所で162点。準優勝は札幌事業所で176点、そして優勝は岩見沢事業所で準優勝の札幌事業所と同じ176点だったがタイム差で見事優勝をさらった。

 個人の部では58点で5位に室蘭事業所の伊藤直光氏、同じく58点を獲得しタイム差で4位に入った岩見沢事業所の近藤貴志氏、3位は64点で札幌事業所の高木将光氏、準優勝は同じく64点を獲得しタイム差で競り勝った帯広事業所の羽賀友哉氏。そして個人の部優勝は出場者最年少、経験年数11年、満点に近い69点で岩見沢事業所の久保誠一氏が勝ち取った。

 個人の部優勝を果たした久保誠一氏は「岩見沢は2017年も優勝しているということなので、前年度チャンピオンに教えてもらって結果を出すことが出来ました」とコメント。冬季の除雪シーズンにむけて意気込みを聞かれると、「岩見沢は雪が多い地域なので、前年度のようにより良い路面を提供できるよう頑張っていきたいと思います」と答えた。

 閉会式終了後、ネクスコ・メンテナンス北海道 代表取締役社長 田仲博幸氏は、この大会の開催目的や開催時期について、「2018年の冬の3月に大雨が降ったり色々な異常な天候があったりということで、そういう状況にもしっかり対応できるように普段から除雪の技術を磨いてもらっている」、「冬場はどうしても現場にしっかりかかってもらうことになりますので、夏のあいだからしっかり冬に備えた技術を磨いてもらうということで、この時期にやるというのは正直意味があると思っています」とコメントした。

団体の部で優勝した岩見沢事業所チームには優勝杯とメダルが。個人の部で優勝した久保誠一氏には優勝杯と優勝盾が送られた
出場選手たちは競技に使用したトラクタショベルをバックに記念撮影
最後に全員で記念撮影。皆さまお疲れさまでした