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NEXCO東日本、北海道担当渋滞予報士によるゴールデンウィークの渋滞予測説明会
2017年より渋滞は多く、5月3日が渋滞のピーク
2018年4月23日 10:42
- 2018年4月20日 実施
NEXCO東日本(東日本高速道路) 北海道支社は4月20日、ゴールデンウィーク時期の北海道エリアにおける渋滞予測の説明会を実施した。
北海道渋滞予報士を務めるNEXCO東日本 北海道支部 交通技術課の石黒達也氏は、「渋滞予報士」「渋滞の定義」「渋滞の発生原因」「渋滞予測」についてプレゼンテーションを行なった。
ゴールデンウィークの渋滞は5月3日がピーク
「渋滞予報士」は、NEXCO東日本で渋滞予測に携わる担当者の愛称で、現在北海道/東北/関東/新潟の各支社に1名ずつ、計4名が在籍。「いつ」「どこで」「どのくらい」の渋滞が発生するかを予測し、渋滞対策の立案・効果検証を行ない、利用客に情報を発信し、混雑する日や時間を避けてもらうことで渋滞を減らすことを目的に活動している。
「渋滞の定義」については各路線によって異なるが、北海道の高速道路では「速度が40km/h以下」で渋滞の長さが「1km以上」、それが「15分以上」継続した場合を「渋滞」と定義している。
「渋滞の発生原因」は「交通集中」が74%、「工事」が2%、「事故」が17%、この3項目に属さない「その他」が7%となっている。
「渋滞予測」は過去の渋滞実績をもとに曜日の配列・周辺のイベントなども考慮して予測される。的中率100%を目指しているわけではなく、利用客に渋滞を避けてもらうことで状態が変化し、結果予想は外れることもあるが、渋滞緩和の目的は達成されたことになる。実際の的中率は約80%くらいとのことだ。
そして2018年ゴールデンウィーク時期の北海道エリアにおける高速道路の渋滞ピークは5月3日と予測されている。予測渋滞回数は19回と2017年より4回多く、大きく分けて10カ所で渋滞が発生するとの見込みだ。
特に道東自動車道 芽室IC(インターチェンジ)~トマムIC間では、5月3日に広内トンネル付近を先頭に最大で25km程度渋滞、5月5日も同区間で10km程度の渋滞を見込んでいる。
芽室IC~トマムIC間、東千歳IC方面へ向かう車線の広内トンネル付近は連続するトンネルが上り坂になっており、無意識にクルマの速度が落ちてくるという。速度が落ちていることに気付かないクルマへ後方から接近してしまうクルマがブレーキを踏む。車間距離が詰まってブレーキを踏むクルマが続き、これがトンネルや上り坂付近で渋滞が発生するメカニズムだ。
この渋滞発生の防止に向けて、NEXCO東日本では渋滞の発生しやすい上り坂のトンネルの中に「速度低下注意」と書いたLEDの標識を設置したり、視覚的に上り坂であると認識しやすいようにトンネルの側面に黄色いテープ「トンネル水平ライン」を設置したりしている。このLED標識やトンネル水平ラインを確認したら、速度低下に注意して走行してほしいとのことだ。
また、2017年には広内トンネル内の照明を従来のものから、より明るいLED照明へと交換した。これは暗いトンネル内の圧迫感から無意識に速度低下してしまうことへの対策だ。このように渋滞が発生しやすい区間では標識などを設置して、速度低下への注意喚起を利用客へ行なっている。
NEXCO東日本が行なっている渋滞予測は管内のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)で入手できるチラシ「GW快適ドライブ予報」や、「渋滞予報士による渋滞予報&おでかけガイドGW版」「ドラとら(渋滞予測カレンダー)」などで確認できる。これらを参考にして、渋滞が予測される日、時間からずらす「分散利用」をすることで、混雑・渋滞を回避することができると石黒達也氏は呼びかけている。
また、4月16日から7月26日にかけては札樽自動車道 朝里IC~手稲IC間が銭函IC改築工事のため終日対面交通規制となっており、渋滞・混雑が予測されるので注意が必要とのことだ。
24時間体制で道路を見守る「札幌道路管制センター」
渋滞予測説明会のあとに、NEXCO東日本 北海道支社の「札幌道路管制センター」を見学することができた。
「交通管制室」は24時間体制で稼働しており、北海道管内合計696.3kmの高速道路について、速度規制・通行止め・工事などの道路状況、異常事態、気象などの情報を監視カメラやパトロールカーなどから収集し、道路情報板、カーナビなどのVICS、ハイウェイラジオなどで利用客に情報を提供。さらに警察や消防、マスコミへの情報伝達、道路管理関係者、関係自治体との連絡調整、事故処理や負傷者搬送、落下物排除などの現場対応指示も行なっている。
管制室中央の大型モニターには高速道路の各区間がどのような状況にあるかの概要が分かり、左右の大小複数のモニターには高速道路に設置した監視カメラ約150台からのリアルタイムの映像が、切り替わりつつ表示されている。各担当者のPCではより詳細な状況を知ることもできる。ちなみに、渋滞・混雑の起こりやすい新川ICや大谷地ICなどは専用のモニターで常に監視している。
交通管制室の隣にある「施設制御室」ではこちらも24時間体制で道路やトンネルに設置された情報板や気象観測機器、火災検知器などの設備の運用状況を計測・監視・制御している。
設備の故障や損傷が発生した場合、速やかに関係機関に連絡し、修理対応を行なったり、トンネル内火災が発生した場合にはスプリンクラーなどのトンネル非常設備を稼働させたりと、交通管制室と連携しながら利用客の避難誘導や火災の拡大を防ぐ対応を行なう。
「防災対策室」はモニターでリアルタイムの状況が確認でき、台風などの災害が発生した場合、社員が集まって状況を整理したり、今後のオペレーションを決めたりする部屋だ。