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NEXCO東日本定例会見、5代目渋滞予報士の外山氏登場。「1月2日は渋滞の特異日」
外環道 三郷南IC~高谷JCT開通は2018年6月に延期
2017年12月27日 20:13
- 2017年12月25日 開催
NEXCO東日本(東日本高速道路)は12月25日、東京・霞が関の本社において2017年度8回目の定例会見を開催し、代表取締役社長の廣瀨博氏らが、移動式防護柵「Road Zipper System(ロードジッパーシステム)」の導入状況、外環道(東京外かく環状道路)の三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT(ジャンクション)の開通、東関東自動車道の鉾田(ほこた)IC~茨城空港北ICの開通などについて説明した。
高速道路での作業域の安全を確保するロードジッパーシステムを他社にも
アメリカのLINDSAYが開発・製造したロードジッパーシステムは、コンクリート製の防護柵を数珠つなぎに、ジッパーのように連ねて、高速道路における工事などの作業域の安全を確保するシステム。
弊誌でもNEXCO東日本が試験導入した際に取材しているが(関連記事:「NEXCO東日本、コンクリート防護柵をジッパーのように移動するマシンを公開」)、専用の防護柵切替用車両「BTM(:Barrier Transfer Machine)」を使い、1個の重量が680kgもある防護柵を次々に移動させることができる。
NEXCO東日本管内では高速道路における工事などの作業域に一般車両が進入してしまう「他責事故」が2011年度~2015年度で、年平均22件あり、2016年度は33件、2017年度もこの会見現在で34件となっている。
ロードジッパーシステムはアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなど世界的に導入が進んでおり、日本ではNEXCO東日本グループが初めて導入。従来のラバーコーンなどと異なり、コンクリート製の防護柵は作業域の安全性をより高めることができ、すでに常磐自動車道や外環道などにおいて使用している。
BTMは防護柵を約3mから5.5m移動させることができ、作業中は10km/h程度、最大30km/hで移動可能。車両の両端に運転席があり、例えば往路は路肩から本線へ防護柵を移動させ、復路は逆向きに走行して本線から路肩に戻すといったことができる。
「新たな取り組み」として、NEXCO東日本100%資本のグループ企業「NI&C(ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ)」による他社でのロードジッパーシステム導入の支援がスタートしており、コンクリート製防護柵の販売、BTMのリースなどが行なわれ、東名高速道路のリニューアル工事で活用された。
コンクリート製防護柵は1個680kgと重量があり、アメリカからの輸入にかかるコストなどが課題であるため、日本国内での生産に向けたLINDSAYとの協議を進めているという。
外環道 三郷南IC~高谷JCTは2018年6月開通
2017年度に開通を予定していた外環道の三郷南IC~高谷JCTの開通見通しを、2018年6月へ延期した。
交通量の多い県道市川浦安線の下に高速道路を構築し、その上に国道298号の高架橋を架けるという複雑な構造の工事を行なっているため一部で想定以上の時間がかかり、安全を最優先に工程を精査したところ、6月への延期を決断するに至ったという。具体的な開通日時については、決まり次第発表する。
東関道 鉾田IC~茨城空港北ICは2018年2月3日15時開通
東関道の鉾田IC~茨城空港北ICは、既報のとおり2018年2月3日15時に開通。鉾田市からJR水戸駅への所要時間が約7分短縮、茨城県内の東関道が全線開通すると潮来(いたこ)市からJR水戸駅への所要時間が約20分短縮される。
アクセス成功場による周辺都市間の連携強化、農産業物輸送の利便性向上、観光の活性化などが期待されている。
開通式典も開催する予定で、詳細が決まり次第発表するとしている。
NEXCO東日本の11月の営業実績は同月比増
NEXCO東日本の11月の営業実績は、通行台数は前年同月比で2.7%増、料金収入は4.3%増となった。
2月に開通した圏央道の境古河IC~つくば中央ICの好影響が継続していることや、11月3日~5日が連休になった曜日配列、比較する2016年度同月には大雪が降り交通量が少なかったことなどが要因ではと説明した。
渋滞予報士が年末年始の渋滞予測や「AI渋滞予知」実証実験の途中経過を報告
NEXCO東日本 関東支社 交通技術課所属で、5代目渋滞予報士の外山(とやま)敬祐氏は、年末年始の渋滞予測や「AI渋滞予知」などを説明した。
11月の定例会見でもあったように、予測渋滞回数は36回と「昨年並み」とのこと。下り方面は大型連休やお盆時期のような大渋滞は発生しない見込みだが、12月30日は要注意、上り方面は1月2日をピークに3日にも影響が残るとした。
1月2日は「渋滞の特異日」だそうで、上り方面は一般的に仕事始めとなる1月4日の2日前にUターンラッシュとなるため、下り方面は地方に移動しなかった人たちが元旦の翌日に初売りや初詣などにでかけるため渋滞が発生しやすいとのこと。
NTTドコモが開発したAI技術を使ったAI渋滞予知の実証実験が12月2日から2018年3月31日まで東京湾アクアラインの上りで実施されているが、その予測精度は「的中率は90%以上で、おおむね実績に近い」と説明した。この実証実験はNEXCO東日本のWebサイトから確認できる。
そのほかの施策として、定額で乗り降り自由になる「北海道観光ふりーぱす」を冬期(対象利用期間は2018年1月20日~4月2日のなかから連続する2/3日間)に初めて発売すること、原発事故による警戒区域などからの避難者に対する高速道路の無料措置を2020年3月まで延長するとともに、対象者向けにカードを発行することなどが説明された。