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ANAの国際線新シート3種が国内初公開。個室型の新ビジネスクラス「THE Room FX」、圧倒的“包まれ感”を試してきた

2026年3月12日 公開
ANAが国際線新シートを国内初公開

 ANAは3月12日、国際線の新シート3タイプを日本国内で初公開した。いずれもボーイング 787-9型機へ2026年度以降の導入を予定している。

 本日から3日間、東京ミッドタウンで実施するシート体験イベントに先がけたもので、新ビジネスクラス「THE Room FX」(2025年6月発表)、新プレミアムエコノミークラス・新エコノミークラス(2025年4月発表)を一挙にお披露目した。なお、本イベントの参加枠はすでに予約で埋まっている。

新ビジネスクラス「THE Room FX」

新ビジネスクラス「THE Room FX」

 個室型のビジネスクラス「THE Room FX」は、すでに国際線777-300ER型機に投入している「THE Room」と同様の体験を中型機の787-9で実現すべく生み出したもので、開発期間は約7年。仏Safran Seatsと英Acumen Design Associateが加わり、ANAの完全オリジナルとして誕生した。

 背の高い壁とスライドドアによる包まれ感の高い個室内は、あらかじめ背もたれに傾斜を付けた「プリリクライニング方式」を採っており、リビングのソファでくつろぐような体験をもたらすという。

 前後2席が向かい合わせになる(一方は機首に背中を向けて座る)という特徴はそのままに、シートピッチは103インチ(約2.6m)、フルフラット時の最大長は76.5インチ(約194cm)。横幅は41.5インチ(約105cm)、腰元は27.0インチ(約69cm)で、大柄な男性でも余裕を持って横になれるスペックを実現した。

 このほか、24インチの個人用HDモニターやヘッドフォンを収納した計2か所の小物入れ、USB Type-A/Cの充電ポート、ユニバーサルコンセント、ワイヤレス充電パッド、Bluetoothオーディオ機能などを備えている。

 大型機777の個室シートと同様のものを中型機787へ導入にするにあたり、ドアと壁の薄型化など居住性を犠牲にしないように空間の最大化に挑み、一方でクッション厚をこれまでより増すことで座り心地・寝心地の向上を図っているという。

 会場で実際に座って・寝てみたところ、プリリクライニングの角度は絶妙に仕上げてあり、枕やクッションでアレンジする余地もあって、ドアを閉じてしまえばすっかり自宅気分になれる。最大194cmというベッド時のゆとりも十分で、寝返りを打つことも可能。

新ビジネスクラス「THE Room FX」を外から見たところ
背もたれが絶妙に寝かせてあるので、シートアレンジなしでもくつろいで座れる
着座状態の室内の様子。個人用モニターは24インチ
折りたたみ式のテーブルはモニターの下から引き出す仕組み
サイドテーブルにはANA初採用のスマホ用充電パッド
小物入れにはヘッドフォンを収納している
シートアレンジのボタン、個人用モニターのハンドセット
就寝状態を真上から見た様子
座って足を伸ばした状態ならまだまだ奥に余裕がある

新プレミアムエコノミークラス

ANAの国際線 新プレミアムエコノミークラス

 プレエコとエコノミーは、人間工学に基づく独RECARO Aircraft Seatingの最新モデルをANA仕様にアレンジしたもの。新プレエコはANAが「世界最高水準に追い付いた」という自信作で、シートピッチを38インチから40インチ(約101cm)へ、リクライニング量を7インチから9インチ(約23cm)へ拡大。

 写真でも分かるようにリクライニング量拡大の効果は大きく、しっかり“眠れる”角度まで倒れてくれる。シートピッチも広がったので、前席がフルリクライニングしてもまだ余裕があり、テーブルに飲み物やタブレットなどを展開してもそのまま利用できそうだった。

 ヘッドレストの左右に周囲の視線を遮る大型のウイングを設けたのも特徴で、実際に座ってみると隣席の顔が完全に隠れてプライバシー感が高い。窓側席は通路側からかなり見えづらくなるので、寝顔を見られたくないといったニーズにも合致しそうだ。

 このほか、15.6インチの個人用モニター、USB Type-A/Cの充電ポート、ユニバーサルコンセント、Bluetoothオーディオ機能を備えている。

ANAの国際線 新プレミアムエコノミークラス
成人男性が座った様子。前席との空間が大きく空いていることが分かる
9インチ(約23cm)という贅沢なリクライニング量。レッグレストをあわせて使うと快適に眠れそうだ
プライバシー感を高めるヘッドレスト左右のウイング
フットレスト、レッグレストを備える。レッグレストはかなり高い位置まで上がるので、フットレストなしの運用もアリ
手元まで引き寄せられるテーブル
可倒式のヘッドレスト
ウイングに読書灯
アームレストの脇にUSB Type-A/Cの充電ポートがある

新エコノミークラス

ANAの国際線 新エコノミークラス

 プレエコ同様、独RECARO最新モデルをANA仕様に仕上げたエコノミークラスは、こちらもあらかじめ背もたれを寝かせたプリリクライニング方式を採用しており、さらにクルマのバケットシートに見られるような脇腹を左右から支える大きな膨らみによって高いホールド感を実現している。

 背もたれ側、骨盤の少し上に当たる部分にもランバーサポート的な膨らみがあり、ムリなく背筋が伸びることで自然と着座姿勢がよくなる=長時間座っても疲れにくいという工夫も見られた。

 実際に座ってみると、しっかりと腰まわりが支えられることで着座位置が安定するうえ、前席の下部をえぐるような形状にしたことで膝まわりに大きな余裕があるため、成人男性が座るとこぶし2個~2.5個程度の空間が生まれる。

 スペックで見ると、シートピッチは33~34インチ(約84~86cm)で従来どおりだが、前述の作りで膝まわりは+1インチ(約2.5cm)拡大している。また、リクライニング量は4インチから6インチ(約15cm)へ拡大している。

 13.3インチの個人用モニターを備え、USB Type-A/Cの充電ポート、ユニバーサルコンセント、Bluetoothオーディオ機能を備えている点はプレエコ同様。

ANAの国際線 新エコノミークラス
個人用モニターは13.3インチ
バルクヘッド席の窓側などではアームでモニターを展開する
成人男性が座った様子。腰まわりが支えられて自然と姿勢よくなっている
6インチ(約15cm)のリクライニング
前席の下部がえぐれたような形状になっているため、膝まわりに大きな余裕が生まれている
格納式のフットレスト
正面から見ても脇腹のサポートが大きく膨らんでいることが分かる
可倒式のヘッドレスト。ネックピローなしでも十分頭を支えられる
テーブルの奥行きはやや短めだが、奥に滑り止め、ドリンク用のホールを備えるのが特徴
ユニバーサルコンセントとUSB Type-A/Cの充電ポートを装備

国際線ファーストクラス・ビジネスクラスのアメニティを刷新

国際線ファーストクラス・ビジネスクラスのアメニティ

 ANAは3月12日、国際線アメニティキット(ファースト/ビジネス)のリニューアルと、ファーストクラスへのリカバリーウェア提供についても発表している。

 会場には4月から順次導入のはじまるイタリア・ミラノの革製品ブランド「FRANZI(フランツィ)」とコラボしたアメニティキットのサンプルも展示してあり、一見して(手触りも)本革に見えるリサイクルポリエステルの質感も試すことができる。

 リカバリーウェアはTENTIAL「BAKUNE」で、2025年7月に1か月間提供した際に好評だったことから通年提供を決めた。今回は袖にANAロゴを入れた特別製で、上下セットで提供。そのまま持ち帰ることができる。

ファーストクラスの新アメニティキット
ビジネスクラスの新アメニティキット
リカバリーウェアは袖にANAロゴの入った特別製のTENTIAL「BAKUNE」
会場ではANAの限定グッズの販売も行なう。こちらは予約なしで訪問しても購入可能とのこと
新シートについてお話を伺った全日本空輸株式会社 上席執行役員 CX推進室長 大前圭司氏