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ANAとJAL、2020年 東京オリンピック・パラリンピックのオフィシャルパートナーに決定

2015年6月15日発表

ANAとJALは2020年までオリンピック・パラリンピックの最上位スポンサーである「オフィシャルパートナー」に決定し、6月5日にその契約調印式が行なわれた

 ANA(全日本空輸)とJAL(日本航空)は6月15日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの旅客航空運輸サービス部門の最上位スポンサー「オフィシャルパートナー」に決定したことを発表。オリンピックでのスポンサーシップは1業種1社となっているが、今回は国際オリンピック委員会(IOC)と協議し、特例として2社共存スポンサーとなる。両社は、オフィシャルパートナーとして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサーのほか、2016年のリオデジャネイロオ オリンピックや2018年の平昌の冬季オリンピックの日本選手団のサポートなど約6年間にわたる契約の調印を行なった。

調印式の出席者、左から公益財団法人 日本オリンピック委員会 副会長 兼 専務理事 青木剛氏、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏、公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長 森喜朗氏、日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏、日本パラリンピック委員会 会長 鳥原光憲氏ほか、両サイドにはANAとJALの客室乗務員
日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏

 スポンサー契約に関して、最初に日本航空株式会社 代表取締役社長 植木義晴氏は「航空輸送の世界で日本らしいおもてなしの心を持ち味に、サービス面で切磋琢磨してきました全日本空輸と共にこの大役に挑戦させていただけることを大変光栄に思っております。JALは1964年の東京オリンピックの際にアテネからの聖火輸送を担って以来、日本代表選手や関係者の皆様に安全で快適な空の旅をご提供することで、オリンピック・パラリンピックなどの舞台で私たちに感動を与え続けるアスリートの活躍を応援して参りました。1998年からは日本オリンピック委員会と2005年から日本パラリンピック委員会とオフィシャルパートナー契約を締結させていただき、オリンピック・パラリンピックの日本代表選手団の応援をさせていただくとともに、大会の盛り上げやスポーツ振興を目的とした取組を実施してきました。2020年に向けこれまでの経験を最大限に生かし、万全の体制で皆様をサポートさせていただくと共に、若きアスリートの育成支援などを通じて、これからも一層のスポーツ振興を取り組んで参りたいと考えております。オリンピック・パラリンピックの競技大会は経済効果も大きく、社会の進歩・発展の起爆剤にもなると言われています。前回、1964年の東京大会を期に日本は大きく成長し、今日の発展の礎を築くことができました。オールジャパンで作り上げる東京2020大会が次の半世紀に向けた日本の新たな成長の原動力となる素晴らしい大会となりますよう、精一杯努めて参ります」と述べた。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏

 次に同じくスポンサー契約に関し、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏は「ANAは東京2020大会のオフィシャルパートナー契約を日本航空と一緒に締結することに至りました。大変な光栄なことだと関係の皆様に感謝申し上げます。ANAはスポーツが多くの人々に夢や希望あるいは勇気を与え、活力ある社会の実現と国際社会の平和に寄与すると信じており、これまでもJOCのオフィシャルパートナーとしてトリノ、北京、バンクーバー、ロンドン、ソチ オリンピックの日本代表選手団あるいは日本水泳連盟、日本バレーボール協会、日本卓球連盟など多くのスポーツ支援などを行なって参りました。また、1964年の東京オリンピックでは、聖火の国内輸送を担わせて頂きました。その輸送のときの機材は戦後初の国産旅客機『YS-11』でした。あれから50年以上経た今、ANAは東京2020大会にオフィシャルパートナーとして世界的なイベントに参画し、大会の成功に貢献し、後生に繋がるレガシーの創造のお手伝いができることを大変名誉なことと感じております。

 東京2020大会は、大会ビジョンの基本コンセプトとして、“全員が自己ベスト”“多様性と調和”“未来への継承”を掲げております。これらは、ANAグループの経営理念である“世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します”というものに共通するものがあると思っております。ANAは双方のビジョンや理念を持ち、日本のスポーツ界のさらなる発展に向けて日本のエアラインとして、世界と日本の架け橋となるべく安全と安心を基礎に、より一層のサービスや品質の向上に努めます。また、多くの方が快適に日本にお越しいただき、東京だけでなく日本の各地に訪れ、2020年に向けて新しい輝きを放つ日本の各地を体感して頂けるように、役員、職員一同が努力するつもりです。

 ANAは創業以来、常に挑戦を続け、国際線ネットワークを中心とした事業の発展や、人的サービスを中心としたソフト面、座席などを中心としたハード面でのサービス開発と改善に取り組んで参りました。その結果、英国スカイトラック社によるエアラインのスターランキングでは日本初となるファイブスターを3年連続で獲得するなど、ANAのサービス品質は世界的にも高く評価されるまでに至りました。東日本大震災後に激減した訪日旅客需要を喚起しようと、2012年より日本のモダンと伝統を基本コンセプトにしたWebサイト『IS JAPAN COOL?』を開設し、訪日旅客の視点から各都道府県の文化や都市などの魅力を発信して参りました。さらに訪日の皆様がANAの国内線で移動できるように各種運賃も設定してきました。海外お客様にとって、東京、日本を訪問したい、さらにリピーターとして次は地方へと感じて頂けるような日本各地の魅力を発信すると共に、国内外の航空ネットワークと運賃などの環境を整備してきました。

 東京2020大会に向けてはこれから社内での取組や体制を強化し発展させたいと考えております。本日付けで代表取締役 副社長 執行役員の内薗幸一を東京オリンピック・パラリンピック推進担当役員に任命することにしました。今後も多くのお客様に日本の魅力を知って頂くのはもちろん、日本を訪れるお客様に様々なおもてなしやジャパンクウォリティを体験していただき、そして日本の各地の魅力に出逢える機会を創出することで日本全体を元気にしていければと考えております。そのためにもグローバルな視点を持ったサービス開発や各種取組を推進していきたいと考えております。

 ANAはオフィシャルパートナーとして東京2020大会に留まらず、日本の次の50年に向けた最高のきっかけとなって世界に誇れる東京、日本の発展となるべく組織委員会や日本オリンピック委員会、日本パラリンピック委員会、関係する各団体、東京都、自治体、日本航空などと一緒にオールジャパンでアスリート、そして日本の挑戦を総力を挙げて応援したいと思っております。」と述べた。

公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長 森喜朗氏

 続けて東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長 森喜朗氏が挨拶に立ち「今日はここにJALとANAという日本を代表する航空会社2社との間にオフィシャルパートナー契約を締結できたことは誠に光栄であるとともに、組織委員会としてもこの上のない喜びです。まず皆さん、こうやってJALとANAが仲よく並んでいることはあまりないことだと思います。これがやはりオリンピックのよさ、そしてオールニッポンの良さだとろうと思います。ANAの青とJALの赤いロゴ、さらに日本の日の丸と五輪のマーク、パラリンピックのマークと並んでいるのはとても華やかです。おそらく、もう少しで東京オリンピック・パラリンピックの新しいマークがお披露目できると思います。だいたいできているようですが、世界中の商標権を取る必要があるので、大変な時間が掛かっております。できれば開催のちょうど5年前である6月24日に間に合えばと思っております。

 組織委員会としては、現在までに13社のゴールドパートナーに参加して頂いておりますが、本日よりティア2契約のトップバッターとして両社にご協力頂くことになりました。まだまだティア1の契約が終わったというわけではありません。同時並行でティア2との契約ができるように努力していきたいと思います。多くのスポーツ団体は、両社にお世話になってきました。航空カテゴリーにおいて、ANAとJALが同時に契約できたというのはオールジャパンの機運がこれから継承されていく象徴的なものだと思います。両社の皆様にこのご英断に心からお礼を申し上げたいと思います。外国の皆様を最高のおもてなしでお迎えするのはもちろん、選手の輸送に関しても期待するところです。そして、聖火の輸送方法に関しても両社とよく相談するつもりです。

 これからはオフィシャルパートナーとしての施策がスタートしますので、ANAに乗ってもJALに乗ってもオリンピックのマークが出てくることで、日本はもとより世界中の皆さんに“リオデジャネイロの次は東京なんだな”と、大きく喧伝をしていただく役割も担って頂けるだろうと期待をしております。選手やお客様に東京でオリンピックが開かれて良かったね思っていただけるように、また両社によって日本全国各地へ運んでいただいて、世界中の皆様の素晴らしい思い出作りに役立って頂けるように、両社と共に力を合わせて、素晴らしいオリンピック・パラリンピック作り上げていきたいと思います」と述べた。

日本オリンピック委員会 副会長 兼 専務理事 青木剛氏

 続けて日本オリンピック委員会 副会長 兼 専務理事 青木剛氏は「ANAとJALはJOCのオフィシャルパートナーとして日本のオリンピックムーブメント推進のために、日本のトップアスリート育成や数多くの競技団体のサポート、また国際総合競技大会においては、日本代表選手団を安全かつ快適に輸送サービスをしていただいております。また、ANAはJOCが実施しているトップアスリートの支援活動「アスナビ」により2名の選手を採用していただきました。JALは、東日本大震災復興支援『がんばれニッポン』プロジェクトの一環として被災地に住む若手選手に国際大会を体験してもらう活動の際にご協力をいただきました。改めてお礼申し上げるとともに、ジョイントマーケティングプログラムのオフィシャルパートナーとしてお迎えできること大変心強く思っております。JOCは2020年の東京オリンピック・パラリンピックにて選手たちが実力を発揮できるように、両社や関係団体と連携して全力で取り組んでいきます」と述べた。

日本パラリンピック委員会 会長 鳥原光憲氏

 さらに日本パラリンピック委員会 会長 鳥原光憲氏は「2020年の東京パラリンピックは、史上初めて同じ都市で2回目の夏期大会となり、世界中から大きな注目を集めています。我々は、パートナーはじめ関係者と連携のもと大会の成功に向けて全力で取り組んで参ります。パラリンピックには、純粋なエリートスポーツとしての魅力はもとより、残された機能を最大限に生かして限界に挑戦するアスリートたちに多くの人が感銘を受け、勇気を与えられるというパラリンピックならではの価値があります。こうした価値を最大にするために、全競技場で満員の観客動員が必要です。特に若い人たちへのパラリンピックへの理解を促進し、オールジャパンで2020年東京大会の盛り上げが大切な課題です。その意味でも日本を代表する航空会社である両社が揃ってオフィシャルパートナーとして参画するのは力強いと感じております。両社は、障害者が安心して利用できる航空運輸サービスにハード、ソフト両面から先進的に取り組まれ、パラリンピックに対しても絶大なご支援をいただいております。東京2020の成功に向け、今後もより一層のご支援を賜われればと思います」と述べた。

 調印式では、植木氏、篠辺氏がそれぞれ調印書にサインし、それに森氏もサインを行ない、正式に契約が締結された。

調印書にサインするANA 篠辺氏
調印書にサインするJAL 植木氏
それぞれがサインした調印文章に森氏がサインして正式に契約が締結された
サインが終了し、調印文章が掲げられた
ANAの調印文章
JALの調印文章
森氏がJAL、ANAの客室乗務員と握手する場面も
ANAとJALの客室乗務員同士が握手

編集部:柴田 進

Photo:村上俊一