ニュース
JAL、小学生を対象にしたスポーツ能力測定会を熊本で実施。柔道の篠原信一氏、陸上の川上優子氏がゲスト参加
東京オリンピック・パラリンピックに向けた「JALネクストアスリートチャレンジ」の一環。子供の身体能力を測定して適性をアドバイス
2017年5月15日 07:00
- 2017年5月13日 実施
JAL(日本航空)は、東京2020オリンピック・パラリンピックのオフィシャルエアラインパートナーとして、「JALネクストアスリートプロジェクト」を始動したことは既報のとおりだが、その取り組みの一環として5月13日、熊本市立砂取小学校(熊本市中央区神水)の体育館において「スポーツ能力測定会 in 熊本」を実施した。
スポーツ能力測定会では柔道の篠原信一氏、陸上競技の川上優子氏の2名のオリンピアンを招き、369名の小学生が参加した。その様子をレポートする。
記念すべき第1回は熊本。2名のオリンピック選手がゲスト
JALネクストアスリートプロジェクトは、「子供たちが自分の可能性に気付き、挑戦する夢を抱いてほしい」ということを目的とした「スポーツ能力測定会」と、東京2020パラリンピックに向けて競技人口を拡大するための「パラリンピックを目指すアスリートの発掘」の2本柱でなっている。
スポーツ能力測定会は子供たちの身体能力を測定し、一人一人の特性に合ったスポーツに出会えるようアドバイスを行なっていくもので、全国47都道府県で行なわれていく第1回目として、熊本の地が選ばれた。
このスポーツ能力測定会の原形は、DOSA(スポーツ能力発見協会)が小学生から高校生までを対象として、3年前から全国で開催されているメニューをもとにしている。これにJALが協力し、次世代発掘プロジェクト「JALネクストアスリートチャレンジ」の一環として始動した。
熊本県内の小学生を対象にスポーツ能力測定会の募集を行なったところ、920名の応募があり、抽選で選ばれた369名が参加。体育館で1度に全員の計測はできないので、午前中2回に分けて実施された。
砂取小学校の体育館にはJALとDOSAのスタッフ、さらに地元熊本の大学生によるボランティア35名が参加して、子供たちと体を動かした。さらに今回のスペシャルゲストとして、柔道男子日本代表や監督経験もある篠原信一氏と、熊本県宇城市出身である陸上女子元日本代表の川上優子氏が来場。
篠原氏はシドニー五輪で銀メダル、2008年には男子柔道日本監督に就任。川上氏は女子10000m代表としてアトランタ五輪で7位、シドニー五輪で10位という経歴を持つ。
測定会の開会にあたり、JAL熊本支店の阪田英治氏は、「JALといたしましては、この測定会を通じて皆さんに夢を持ってもらうお手伝いをしたいと考えております。
昔よりもスポーツをする機会が減り、筋力や運動能力が低下傾向にあるといわれております。今日は皆さんが小学校でやる測定会とは違って、専用の機器でより詳細なデータが計測できます。一人一人の特性に合ったスポーツに出会えるようなアドバイスをさせていただきます。
これから北海道から沖縄まですべての都道府県で測定会を実施します。JALは、この活動によって日本全国に笑顔を届けたいと思っております。記念すべき第1回を、地震から復興に向けて頑張っているここ熊本で開催することは、当初から決まっておりました。900人を超える応募があったのも熊本市教育委員会の皆さまのご尽力だと思っております。この場を借りて御礼申し上げます。皆さん、怪我のないように頑張ってください」と挨拶をした。
篠原氏は、「おはようございます! 今日は一緒に測定会をさせていただきますが、目的は自分にどんな能力があるのかが分かるということです。友達同士、楽しくやってもらえたらなと思います。いいですか?(子供たちの返事)よろしくお願いいたします! 自分も頑張ります。君たちには負けない!(笑)」と、熊本の子供たちの元気な様子に笑顔だった。
川上氏は、「今日は未来のオリンピアンの卵がこのなかにいるかもしれない、という気持ちで参加させていただきます。一緒に測定させてもらいながら、楽しみながらやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。お互い怪我には気をつけましょうね」と、子供たちの活躍に期待するコメントを寄せた。
6種の計測メニューについてゲストオリンピアンが手本を見せる
「JALネクストアスリートチャレンジ」のスポーツ能力測定会では、6種類の計測メニューに挑戦し、その記録から導き出された適性が、子供と保護者にアドバイスされる。
反応時間、持久力といったさまざまな項目ごとに、得意不得意が明らかになり、思いもよらなかったスポーツ種目での適性を見付けるキッカケとなる。また、現在取り組んでいるスポーツの弱点、課題も発見できる。
まず、2名のオリンピアンが手本として、各種目を回りながら計測方法を子供たちに披露。キレのある動きに子供たちから歓声が上がった。
思いもよらぬ適正結果に今後のスポーツとの関わり方が変わる?
オリンピアン2名のデモンストレーションが終わり、いよいよ計測開始時刻となった。準備体操を行ない、グループごとに各種目に移動し計測スタート。
計測では子供一人一人にIDが付与されており、各種目でPCに入力された計測の情報がクラウドに同期されていく。最後にスタッフからアドバイスシートが手渡されるといった仕組み。その際にはDOSAのスタッフから直接アドバイスがもらえるため、子供よりも保護者が真剣な表情で、話を聞いていた。
「スイング」テスト
すべての計測が終了し、測定結果とともにDOSAのスタッフによるアドバイスを受ける。得意なポイントや弱点となる傾向にあるものすべてを知ることができた。
「JALネクストアスリートチャレンジ」は、これから全国を回っていくが、第2回は大分県で開催されるとのこと。最後にDOSA 副理事長の鈴木雄二氏が、この計測が参加者に与える影響について話した。
「この計測会は、未来のオリンピック選手の発掘のキッカケとなっている面もありますが、普段から運動をしていない子でも、ものすごい筋力や反応スピードを示すこともあり、本人も周囲の人間も驚くような才能の発掘ができる測定会となっていて、スポーツを推進している自治体からの要望が多くあります。
今回JALさんとコラボレーションをさせていただく前から、このプログラムを日本各地で行なっていますが、子供たち本人の発見と、親御さんの認識をさらに強くするキッカケにもなっています。好きでやっているスポーツについて、自分の弱点はどこなのか、ということを理解できるのでトレーニングの効率も上がっていきます。
さらに、普段我が子が所属しているスポーツクラブで、どんなことをして、どんな才能があるか、さらにこれからどうすればよいのかと、家族で相談して対策をしていけるというメリットがあります」とコメントした。
JALが次世代アスリートの発掘や、スポーツに興味を持つ子供たちをさらに増やすためのサポートを展開していくことで、将来「あのJALの測定会がキッカケで」というオリンピアン候補が登場する可能性もあるだろう。