ニュース

ANA、2018年度(2019年3月期)決算は増収減益も売上高は初の2兆円超え。国際旅客も初めて年間1000万人を突破

2019年4月26日 発表

2018年度(2019年3月期)の決算会見。手前よりANAホールディングス株式会社 財務企画・IR部 会計チーム リーダー 築舘宏治氏、同社 執行役員 グループ経理・財務室長 兼 財務企画・IR部長 福澤一郎氏、同社 広報・コーポレートブランド推進部長 髙柳直明氏

 ANAHD(ANAホールディングス)は4月26日、2018年度(2019年3月期)の連結決算を発表した。売上高が初の2兆円超えを記録するなど増収となった。利益については、ロールスロイス製エンジン不具合の保証金といった特別利益があった一方で、米国での集団訴訟和解金などの特別損失の発生、ピーチ(Peach Aviation)の連結子会社化に伴う特別利益など前年度の特殊要因も影響し、経常利益、純利益は前年度を下まわる結果となった。

 売上高は前年比4.4%増の2兆583億円。営業利益は同0.3%増の1650億円、経常利益は同2.5%減の1566億円、親会社株主に帰属する純利益は同23%減の1107億円。連結対象の子会社数は62社、持ち分法適用会社数は16社の計78社。ANAHDは2017年度(2018年3月期)終了時点の通期見通しで、売上高2兆400億円、営業利益1650億円、経常利益1580億円、純利益1020億円と増収減益予測を立てていた。配当は1株あたり70円を予定していたが、純利益が想定を上まわったことから1株あたり75円の予定へと増額している。

ANAホールディングス株式会社 執行役員 グループ経理・財務室長 兼 財務企画・IR部長 福澤一郎氏
経営成績とセグメントごとの内訳

 ANA(全日本空輸)便の国内線は、上期に相次いだ自然災害や、ロールスロイス製エンジンの点検整備に伴うボーイング 787型機欠航の影響はあったものの、堅調なビジネス需要と訪日客の国内移動需要、需要に応じた各種割引運賃の設定などが奏功し、旅客収入前年比1%増の6966億円、旅客数は同0.4%増の4432万5000人、利用率は0.7pt増の69.6%と、前年から微増する結果となった。

 一方の国際線は、2018年6月の羽田~バンコク線増便、2019年2月の羽田~ウィーン線開設などネットワークを拡充。アジア路線で供給増による競争激化が起こっているが、第3四半期までの好調な実績に支えられ、通年で旅客収入は前年比9.1%増の6515億円、旅客数は1009万3000人、利用率は0.6pt増の77.0%。ANAの国際線旅客が初めて1000万人を突破した。

 国際線は日本発のビジネス需要や旺盛な訪日需要が依然として強く、単価は5.3%向上したという。

国内線旅客事業
国際線旅客事業

 ピーチ(Peach Aviation)とバニラエアのLCC事業は、2018年度にネットワーク拡充による需要創出に取り組み、旅客収入は前年比6.9%増の936億円。ピーチが59億円、バニラエアが1億円の増収となった。旅客数は815万3000人と前年比4.6%増、利用率は0.1pt減の86.2%

 このほか、ANAセールスなどの旅行事業は、自然災害の影響や、沖縄方面などの集客伸び悩みにより国内旅行商品「ANAスカイホリデー」の売上高が前年を下まわり、また、海外旅行ではダイナミックパッケージ「旅作」が伸び悩んだ。結果、売上高が前年比5.4%減の1507億円に留まったほか、新たな旅行システムの導入などの営業費用が発生し、営業利益は同83.8%減の6億円となった。

LCC事業

 2019年度(2020年3月期)は、同グループが進めてきた「安全と品質の総点検」の仕上げの年として基本品質の向上に努めるとし、2020年に予定されている首都圏空港機能強化に備える方針。そのための人員採用など先行的に発生する「攻めのコスト」(福澤氏)を盛り込む。

 航空事業では、5月24日にハワイ・ホノルル線にエアバス A380型機を導入。予約状況については、「プレミアムエコノミーやビジネスクラスなど、比較的単価の高いところから予約が入っている」(福澤氏)と紹介。前年と比較して供給座席数46%増に対し、予約は43%増というデータを示し、「ほぼ連動しているので、しっかりした数字が夏場に向けて見込まれる」(福澤氏)との見通しを示した。

 また、9月1日に成田~パース(オーストラリア)線、冬期スケジュールではチェンナイ(インド)線の開設も予定。パース線についてはプレジャー、ビジネスの両面での需要を見込み、ビジネス面では資源・エネルギー関連の企業を中心に需要の裾野を広げることで、シドニーに続く市場に育つことに期待を示した。

2019年度(2020年3月期)の見通し