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ANA、2018年度上期決算は増収減益。自然災害やロールスロイス製エンジン点検による影響を最小限に留める
2018年11月2日 18:41
- 2018年11月2日 発表
ANAHD(ANAホールディングス)は11月2日、2018年度(2019年3月期)第2四半期の連結業績を発表した。ボーイング 787型機に搭載されたロールスロイス製エンジンの点検・整備に伴う結構や、夏から秋にかけて頻発した自然災害による影響が表われる期間の決算となる。
会見の冒頭、10月31日に発表されたANAウイングスのパイロットが前夜の飲酒に起因する体調不良を来たしたことで5便が遅延したことについて謝罪。全職員へのコンプライアンス徹底や教育の一層の強化により、再発防止を第一に、信頼回復に努めるとした。
第2四半期の累計連結売上高は前年同期比5.4%増の1兆380億円と、第2四半期では初めて1兆円超え。ただし、燃油市況の継続的な高値により前年同期に比べて257億円増となったほか、中期経営計画に基づく安全と品質・サービスに基づく支出を行なったことで営業費用が増加したため、営業利益は同8.6%減の1052億円、経常利益は同8.7%減の1029億円の増収減益となった。ただし、営業利益、経常利益ともに1000億円を超える水準を維持したともいえる。
なお、親会社株主に帰属する四半期純損益は同37.7%(446億円)と大幅な減益となる737億円となっているが、これは前期にピーチ(Peach Aviation)の連結子会社化に伴うものなど計439億円の利益計上という特殊要素があったことによる。
国内線については、堅調なビジネス需要と、ゴールデンウィークの日並びのよさによるプレジャー需要の高まりを確実に取り込んだ。一方で、7月以降は相次いで発生した台風や北海道胆振東部地震、7月~9月にかけて実施したボーイング 787型機に搭載されているロールスロイス製エンジンの点検・整備による影響で、旅客収入は前年同期比0.8%(28億円)減の3523億円、旅客数は同0.7%減の2234万人、座席利用率は同1.7pt増の69.8%となった。
災害やエンジン点検・整備に関する国内線売り上げへの影響は、台風関連で約60億円、北海道東部胆振地震で30億円強とおおよそ90~100億円の減収影響。ロールスロイス製エンジンの点検・整備に伴う航空事業への減収影響は約55億円としており、「(国内線旅客収入の)減収額が28億円に留まったのは、繁忙期にはそれなりに健闘した結果」との分析を示した。
国内線関連のトピックとしては、ユニバーサルサービス推進による幅の広い搭乗ゲートの導入や、自動手荷物預け入れ機であるANA Baggage Dropの福岡空港への導入、4月からの機内Wi-Fi無料化、355日前からの予約期間拡大などの利便性、快適性向上の取り組みを実施。国内線航空券の予約期間拡大については、早い時期から予約したい顧客のニーズを捉えたものであるとし、評価についてはもう少し時間が必要としつつも、出足は好調であるとした。
国際線は、日本発のビジネス需要が引き続き堅調なほか、中国などの旺盛な訪日需要を取り込んだことで収入、旅客数ともに増加。旅客収入は前年同期比12%増の3310億円、旅客数は同8.6%増の517万2000人、座席利用率は同1.6pt増の77.4%となっている。
LCC事業は、ピーチ(Peach Aviation)が8月に関空~釧路線、バニラエアが7月から成田石垣線、那覇~石垣線を開設するなどネットワークを拡充。夏の高需要機を捉えたイールドマネジメントが奏功し、前年同期に比べてピーチが32億円増収、バニラエアが9億円増収となった。トータルでは、旅客収入が前年同期比9.5%増の483億円、旅客数が同4.7%増の406万7000人、利用率が同0.3pt減の87.1%となった。
そのほか、旅行事業はハワイ方面の商品力強化は奏功したものの、自然災害などの影響もあって国内線を中心に、そのほかの方面が伸びやんだため、売上高は前年から38億円減収の797億円、営業利益は同15億円減収の6億円となった。
なお、上期を終了した時点での通期の連結業績の見通しは変更なく、売上高2兆400億円、営業利益1650億円、経常利益1580億円、親会社株主に帰属する純利益は1020億円となっている。