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対面通行規制解除への第一歩。NEXCO西日本が関空連絡橋の橋桁を再架設。3月中に4車線通行、GW前に6車線全面再開を目指す

2019年2月12日~13日 実施

NEXCO西日本が2018年9月の台風21号の影響で損傷した橋桁を再架設。12日深夜に1本目の橋桁を架設した

 NEXCO西日本(西日本高速道路)は2月12日、3月中に上下各2車線での通行再開を目指す関西国際空港連絡橋(E71)の橋桁架設作業を実施した。2月12日に実施したのは、2本架設する橋桁のうちの1本。13日にもう1つの橋桁を架設する予定。

 すでにお伝えしてきたとおり、2018年9月の台風21号の影響でタンカー船が衝突したため、関空連絡橋の下り線側の橋桁2本が損傷。同月中に撤去され、架け替えるための新たな橋桁の製作が進められてきた。

 架け直す橋桁は、関空島寄りのA1橋台~P1橋脚間(長さ89.8m、790トン)と、その隣のP1橋脚~P2橋脚間(長さ97.8m、858トン)の橋桁。前者は高田機工 和歌山工場、後者はIHIインフラシステム 堺工場で製作された(関連記事「NEXCO西日本、『異例の短期間』で完成した関空連絡橋の橋桁を公開。3月中の対面通行規制解除見込む」)。

 12日に架設作業を実施したのは、関空島側のA1橋台~P1橋脚間の桁で、陸地に掛かる部分はタンカー船の衝突がなかったことから損傷はほとんどなく、約6割は元々架かっていた橋桁を再利用している。

 架設作業にあたっては深田サルベージ建設のFC(フローティングクレーン)船「武蔵」を使用。12日の昼間に、航空機の離着陸に影響がないエリアで橋桁の吊り上げ作業を実施済み(関連記事「関空連絡橋の橋桁架設作業スタート。深田サルベージ建設のFC船『武蔵』が約800トンの橋桁吊り上げ。架設は深夜に実施」)。12日深夜から13日未明にかけて橋台/橋脚への架設作業が行なわれた。

橋桁を吊り上げるFC船「武蔵」
作業前の様子。昼間のうちに橋桁が吊り上げられた状態で待機していた
作業前のブリーフィング
ブリーフィング終了後、作業スタッフが続々と現場へ向かう
夜間にはクレーン最上部で航空障害灯を点滅させている

 作業はまず、関空 A滑走路の運用が終わる23時30分ごろに関空島側へ移動。そして、鉄道の運行が終了する0時過ぎにJR西日本(西日本旅客鉄道)の関係者が鉄道桁上に立ち確認。橋桁を関空連絡橋に近づくことが許可された。

 日が変わり13日の0時30分ごろまでには、橋桁が設置位置の上空近くにまで移動。ここで15~20分ほどかけて橋桁を下ろすための準備作業が行なわれた。

 そしてゆっくりと橋桁が下ろされる。途中からは地上のスタッフが橋桁に取り付けられたワイヤーを手にして位置を調整。ミリ単位での修正を行ないながら徐々に下ろしていく。まずは、鉄道桁に影響を与えないよう、やや海側にずらした状態で下ろし、十分に下がってからゆっくりと内側へとずらしていく流れで作業が行なわれた。

 先述の橋桁公開時の記事でも触れているが、A1橋台~P1橋脚の橋桁の再利用部分のなかには、A1橋台~A2橋台間の橋桁とを結ぶジョイント部品も含まれており、橋桁側には、そのジョイント部品が取り付けられた状態となっている。一方、地上(A1~A2間の橋桁)側はこのジョイント部品を外していたことから、設置時にはその分がやや浮いているように見える状態が完全に下りた状態。1時30~40分ごろに“下ろしきった”状態にまで橋桁を設置した。

 橋の上から見て取ることはできないが、その後は、橋桁下部での仮固定や、A1~A2間の橋桁のジョイント部品を仮置きして、正しい位置に架設できるかを細かく確認。その後、3時15分ごろに玉掛け(フック)が外され、ついに橋桁が架けられた状態となった。

関空 A滑走路の運用が終わり、23時30分ごろから関空島寄りへと移動
鉄道の運行が終了した0時過ぎから、徐々に橋の方へと近づき、20分ほどで橋の上空に橋桁が位置する状態となった
A1橋台~P1橋脚間の橋桁
吊り上げられた状態で橋の上空に浮く橋桁
橋桁は吊り上げた状態から設置位置まで約10mを下ろす。徐々に下ろされ、途中からはワイヤーを人が手に取って位置を調整する
最初はやや海側へとずらした位置で下ろす
桁の向こう側にも作業スタッフの姿
フェンス。高さがそろいつつあることで、そろそろ下ろしきる直前と分かる
まだ吊り上げられた状態なので橋桁は中央がやや高く弧を描いた状態。両端を橋台/橋桁に乗せて架設することで中央がしずんで水平になる
正しい位置に設置された状態
手前の桁にジョイント部品がないため、その分の高さの違いがある
フックは16点
新たな作業車両が進入。位置確認のためにジョイント部品を仮置きするクレーン付きトラック
玉掛け(フック)が外される様子
玉掛けが外され、橋台/橋脚に支えられた状態に架設された

 関空連絡橋の橋桁架設作業は、損傷したもう1本の橋桁であるP1橋脚~P2橋脚間を13日に架設。こちらも昼間に吊り上げ作業、夜23時30分ごろからFC船の移動を開始して作業を行なう。使用するFC船は12日と同じく武蔵が使用されるとのこと。

 その後は、設置した橋脚へ7cmの厚みでアスファルトを舗装する作業や、各種設備の設置作業を行ない、3月中には上り線、下り線それぞれの橋桁上で2車線通行を開始。まずは現状の対面通行規制の解除を目指す。そして、ゴールデンウィーク前までに上り/下り各3車線、計6車線の全面再開を目指す。

関西国際空港連絡橋の橋桁架設