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関空連絡橋の橋桁架設作業スタート。深田サルベージ建設のFC船「武蔵」が約800トンの橋桁吊り上げ。架設は深夜に実施
2019年2月12日 16:40
- 2019年2月12日 実施
NEXCO西日本(西日本高速道路)は、3月中に上下各2車線での通行再開を目指す関西国際空港連絡橋(E71)の橋桁架設作業を2月12日夜間、2月13日夜間に実施する。その準備作業として2月12日昼間に同夜間に架設する橋桁の吊り上げ作業が行なわれた。
関空連絡橋は2018年の台風21号の影響により、9月4日にタンカー船が衝突。下り線側の橋桁が重大な損傷を受け、一時は通行止めを余儀なくされた。その後、損傷が軽微だった鉄道のほか、上り線の3車線を利用した対面通行により車両の通行が可能になっている。
甚大な損傷を受けた下り線側の橋桁は2018年9月12~14日に撤去作業が行なわれ、IHIインフラシステム、高田機工の工場へ搬送。損傷が軽微だった部分を一部再利用しているほかは解体され、新たな橋桁の製造が急ピッチで進められた。
損傷して撤去した橋桁は、関空島寄りのA1橋台~P1橋脚間と、P1橋脚~P2橋脚間の2つ。新たな橋桁は前者を高田機工、後者をIHIインフラシステムが製造。2月1日に完成したそれらの橋桁は、2月5日に報道公開されているので、それぞれの橋桁の特徴などについてはその際にお伝えした記事を参照してほしい(関連記事「NEXCO西日本、『異例の短期間』で完成した関空連絡橋の橋桁を公開。3月中の対面通行規制解除見込む」)。
製造された橋桁は、2月7日に高田機工、2月8日にIHIインフラシステムにおいて、それぞれ台船への積み込み(浜出し)作業が行なわれた。そして、2月12日夜にA1橋台~P1橋脚間、2月13日夜にP1橋脚~P2橋脚間の橋桁が架設されることとなる。
深田サルベージ建設のFC船「武蔵」が橋桁を吊り上げ
橋桁の架設作業は、台船で運ばれてきた橋桁を吊り上げる作業からスタートする。2月12日に架設作業を行なうA1橋台~P1橋脚間の橋桁は、2月7日に高田機工 和歌山工場から浜出しされたのち、岸和田港で待機。この日、台船に乗せられたまま関空島の沖に運ばれ、10時20分に到着した。
これを、深田サルベージ建設が所有するFC(フローティングクレーン)船「武蔵」によって吊り上げる。武蔵は同社が所有する最大のFC船で、12日の朝5時30分に関空沖に到着。航空機の離着陸に影響がない関空島の端から196m以上離れた位置に停泊。陸もしくは海底に設置したアンカーにつながるワイヤーによって支えられている。また、同じく航空機の離着陸に影響がない範囲として、高さが108mとなるようジブ(腕の部分)の角度を設定している。
12日の12時30分ごろから、武蔵が橋桁に近づき、吊り上げのためのフックを掛ける、いわゆる玉掛け作業を開始。30分足らずで16点を支えるフックの取り付けを完了した。
その後、13時30分ごろに吊り上げを開始。まずはほんの少し浮かせた状態で、底面のチェックを30分ほどかけて行なった。これは台船に積んでいる際に擦れたりした箇所などの再塗装や底面の点検などのため。設計上、吊り上げたときの重心が中央に来るように玉掛けされてはいるものの、多少の重心のずれで持ち上げたときにブレて擦れことがあるそう。ただ、今回の作業については、工場からの浜出し作業で一度吊り上げているので重心がしっかり取れていることが確認されている。
この作業に15分ほどを費やし、いよいよ本吊り上げ。じわじわと約15mの高さまで橋桁が吊り上げられた。そして、武蔵がやや後退して待機する。このあとは昼間のうちに台船を含めて周辺の船は退避。夜間には武蔵ほか必要最低限の船のみが周囲にある状態となり、より安全な体制で架設作業に臨めることになる。
ここで吊り上げたA1橋台~P1橋脚間の橋桁を架設する作業は12日深夜(13日未明)に実施。下り2車線、上り1車線で運用している上り線側の3車線についても、上下各1車線に規制して作業が行なわれる。