旅レポ
カンタス航空の関空~シドニー線でオーストラリアを旅する(その1)
オージー文化を学び、パンケーキで有名なビルズ本店へ
2018年3月20日 00:10
関西国際空港発のカンタス航空で早朝にシドニー国際空港に到着(関連記事「カンタス航空が関空~シドニー線を開設。就航直後の同路線でオーストラリアへの旅へ!」)。オーストラリア東海岸は日本との時差が1~2時間程度のため、夜便で移動すると旅を効率よく楽しむことができる。
滞在1日目はシドニーの歴史を学び、街の代名詞にもなっているオペラハウスとハーバーブリッジが見られるポイントへ行ったり、いまシドニー在住の若いオージーたちの間でホットな食事をいただいたりと、シドニー市街地の魅力を探った。
カンタス航空の関空~シドニー線でオーストラリアを旅する
The Grounds of Alexandria ~若いオージーたちに人気のガーデンカフェ~
最初に向かったのは、空港とシドニー中心街のちょうど中間あたり、アレキサンドリア地区で人気のカフェ。ランチはもちろん、オープンは朝の7時なのでブレックファーストにもピッタリだ。
「The Grounds of Alexandria」は、倉庫とパイ工場だった敷地を改装してカフェ、レストランなどが入る複合施設にしたもので、2012年にオープンして以来、瞬く間に人気スポットになったという。オージーたちからは「グラウンズ」と呼ばれて親しまれている。
広大な敷地には多くの植物がヨーロッパのガーデンのように並べられ、都会のなかの植物園のような雰囲気。都会の喧騒を離れて植物に癒されながら食事ができるほか、花やハーブなども実際に販売されている。また、カフェで提供されるハーブなどもここで栽培されているものだそうだ。
今回は、グラウンズの入口近くにある屋内の飲食スペース「The Cafe」で朝食をいただいた。オープンの7時過ぎに到着したものの、すでに店内は若いオージーたちで賑わっていた。
テーブルに着いてメニューを拝見。日本のようにメニューに写真はないので、好みのものを見つけるのにじっくりと読んでいかなければならない……が、見たところどのメニューも品数が多く、手が込んだものになっているようだった。
欧米文化圏の旅行では、場合によってはコーヒー以外に温かいものがないということがあるが、このグラウンズを含め、オーストラリアの朝食はよい意味で違っていた。温かい朝食も用意されている。なによりボリュームがすごい。朝からガッツリいきたいという人でも満足できる質と量だ。
朝食のバラエティも豊富なので、取材陣であえてバラバラに注文してみた。一挙に紹介しよう。
The Grounds of Alexandria
所在地: Building 7A/2 Huntley St Alexandria, NSW 2015
営業時間: 7時~16時(土・日曜は7時30分オープン)
Webサイト: The Grounds of Alexandria(英語)
Museum of Sydney ~シドニー入植の歴史が垣間見られる博物館~
旅行先の文化や風俗、歴史を知れば、旅はもっと有意義で興味深いものになる。シドニーの歴史を学ぶなら「Museum of Sydney」(シドニー博物館)がお勧めだ。植民地時代の遺物などが展示されているほか、さまざまな企画展も催されている。
シドニーの街の歴史は、端的に言えば入植による近代オーストラリアの歴史そのものだ。このシドニー博物館ではオーストラリアの近代史に触れることができたので、ここで見知ったことを紹介しておこう。
ヨーロッパでは古くから「はるか南方に未知の大陸が存在する」と伝えられてきたが、実際に大陸が発見されたのは17世紀。イギリス人が到達したのはその後半だ。そのころイギリス本国では、都市部では産業革命が起こり大量の失業者が発生、また農地ではエンクロージャー(囲い込み)により土地を奪われる者が急増し、その結果として窃盗などの軽犯罪が激増していた。当時は軽犯罪者でも投獄されていたため、その収容先に困る事態となる。そこで政府は、資源の獲得や囚人の流刑地として、発見されたばかりの新大陸に目を向けた。こうして組織されたのが、数回に分けられて実施された大規模な移民船団だ。
1788年1月26日、元海軍提督アーサー・フィリップが率いる最初の移民船団「First Fleet」11隻に分乗した1373名がこの地に到着し上陸した。この場所にはファーストフリートの航海計画を主導したシドニー卿から、シドニーと名付けられた。なお、オーストラリアという国名は、古代より伝わる「はるか南の未知の大陸」という意味のラテン語「Terra Australis Incognita」が由来だという。
ファーストフリートを率いたフィリップはオーストラリア初代総督となり、シドニーの高台に総督府を建てた。その場所に現在あるのが、このシドニー博物館。いうなればここは、シドニーとオーストラリア近代史の起点となった場所なのである。
シドニー博物館の館内1階では、床がガラス張りになったエリアがある。この下には旧総督府の下水道と総督私室の遺構があり、出土した状態で見学が可能。また、壁面には総督府の正面部分が実物大で再現されていて、当時の建物の規模をうかがい知ることができる。
2階にはファーストフリートの11隻の帆船の模型がずらりと並び、あまり気が進まずにオーストラリアにやってきた移民たちの苦悩や、シドニーに在住していたアボリジニとの最初の接触の様子などが分かるほか、シドニーを中心とするニュー・サウス・ウェールズ州の最初の9人の総督の人物像や果たした役割、200年以上にわたって繁栄してきたシドニーの貿易が分かるトレードウォールなどの展示もある。
博物館にはカフェが併設されているので休憩にも便利。また近隣には、犯罪博物館やロイヤル・ボタニック・ガーデン(王立植物園)などもあり、時間があればこれらも合わせてまわると、オーストラリアとシドニーの歴史をより深く知ることができるはずだ。
Museum of Sydney
所在地: Bridge St & Phillip St, Sydney, NSW 2000
営業時間: 10時~17時(聖金曜日、クリスマスは休館)
入館料: 大人12オーストラリアドル(約1032円、1オーストラリアドル=約86円換算)、5歳未満の子供は無料
Webサイト: Museum of Sydney(英語)
Mrs Macquarie's Point ~シドニー観光定番のフォトスポット~
シドニーといえば誰もが真っ先に思い浮かべるのが、オペラハウスとハーバーブリッジではないだろうか。この2つが見られる定番のスポットがここ、「Mrs Macquarie's Point(ミセス・マッコーリー・ポイント)」だ。シドニーを訪れる観光客が必ずといっていいほど足を運ぶスポットで、ここで撮られた写真は一度は見たことがあるはず。そう、オペラハウスの後ろにハーバーブリッジが見えているあのカットが撮れるポイントなのだ。
この場所の名前の由来となったミセス・マッコーリーとは、ニュー・サウス・ウェールズ植民地6代目総督であるラックラン・マッコーリー氏の夫人、エリザベス・マッコーリーのこと。彼女はイギリスから遠く離れ、気候も違えば気の置けない友人もいないこの地でホームシックになってしまったそうで、頻繁にここを訪れてはイギリスとシドニーを往来する船を眺めて故郷に思いを馳せていたという。
そんな夫人のため、マッコーリー総督が囚人に命じ、砂岩を削り作らせた椅子が残っている。それが「Mrs Macquarie's Chair(ミセス・マッコーリーズ・チェア)」で、少し高台になっているところの木陰にある。ここに腰掛けると幸せになるともいわれているそうなので、ここまで来たならぜひ見逃さずに行ってみてほしい。たいていは観光客たちが撮影の順番待ちをしているので、探せばすぐに見つけられる。
なお、ミセス・マッコーリーズ・ポイントは、ロイヤル・ボタニック・ガーデンの最も奥、ポートジャクソン港に南から北に突き出た岬の先端付近を指す。この岬を境に西側に民間のターミナルが、東側に軍港がある。つまり、オペラハウスのある方向の反対側には軍艦が停泊していて、まったく異なる港の光景を見ることができるのだ。
ミセス・マッコーリーズ・ポイントへの交通アクセスはあまりよくなく、オペラハウス横の「Queen ElizabethII Gate」から約1.5km歩くか、サーキュラー・キー付近からタクシーを利用する。時間に余裕があるときにロイヤル・ボタニック・ガーデンを散策しながら向かうとよいだろう。なお、ガーデンは夜にはゲートを閉じてしまうため、夕景や夜景を見に行く際にはクローズ時間にも注意だ。
Mrs Macquarie's Point
所在地: Mrs Macquaries Rd, Sydney, NSW 2000
オープン時間: 7時開場、閉場は11月~2月は20時/3月は18時30分/4月と9月は18時/5月と8月は17時30分/6月と7月は17時 ※ロイヤル・ボタニック・ガーデンの営業時間
The Strand Arcade ~歩くだけで楽しい、レトロなショッピングモール~
シドニーの中心街には、19世紀に建設されたレトロな建物でショッピングを楽しめる場所が2カ所ある。その1つが「The Strand Arcade(ストランド・アーケード)」。シティのど真ん中を南北に貫き最もにぎわうジョージ・ストリート沿いにあるこの建物は、創業なんと1891年。現在では約80軒のブティックが並んでいる。
アーケードといっても日本のアーケード街のような平面の商店街ではなく立派な石造りの3層構造。通路を挟んで2棟のビルディングが建ち、屋根が鉄骨ガラス張りになっている。そのためアーケード内は明るく、天候の影響も受けない。訪れた時期は夏だったが、ほどよく空調が利いており快適だ。
日本では見かけないローカルブランドの店が多く、それだけにここでしか手に入らないアクセサリーなども豊富。ディスプレイも凝っているので、ウィンドウショッピングも楽しめそう。
The Strand Arcade
所在地: 412-414 GEORGE ST, SYDNEY, NSW 2000
営業時間: 月・火・水・金曜9時~18時、木曜9時~21時、土・日曜10時30分~16時30分
Webサイト: The Strand Arcade(英語)
Queen Victoria Building ~歴史ある建物でショッピングを楽しむ~
19世紀からジョージストリート沿いに建つもう1つのショッピングモールが「Queen Victoria Building(クイーン・ビクトリア・ビルディング)」。地元の人たちは「QVB」と呼んでいる、シドニー中心街のランドマーク的存在だ。イギリス人建築家が設計し1898年に完成したロマネスク様式の建物で、近代的なシドニービジネス街のビル群のなかで特に異彩を放っている。
内部はストランド・アーケードと同様に多層構造になっていて、天井が鉄骨ガラス張りアーケードになっている点なども同じだが、こちらはもともとコンサートホールだったため装飾も豪華。エレベータなど設備の一部は建築時から使われているものなので、資料的価値も高そうだ。
ブティックやおもちゃ屋、カフェ、アボリジニグッズの店までが、特にエリア分けされているわけでもなく混在しているので、歩いているだけでも楽しいし、シドニー市内散策の休憩ポイントとしても使える。奥さんや彼女の買い物には興味がないという男性でも、ここなら楽しめそうだ。
Queen Victoria Building
所在地: Queen Victoria Building 455 George St, Sydney, NSW 2000
営業時間:
地階・1階は月・火・水・金・土曜9時~18時、木曜9時~21時、日曜11時~17時
2階・3階は月・火・水・金・土曜10時~18時、木曜10時~21時、日曜11時~17時
Webサイト: Queen Victoria Building(英語)
Bondi Beach ~オーストラリアで最も有名なビーチ~
世界でも有数のビーチ、そしてオーストラリアでは最も有名といわれるシドニー郊外のビーチが、「ボンダイ・ビーチ」だ。シドニーの中心部からクルマで約30分の距離にあるこの砂浜は、約1kmにわたってゆるやかに弧を描き、晴れの日には金色に輝く砂が美しい。……らしいが、訪れたときは曇天だった。残念。
シドニーの中心部はシドニー湾に面しているため波は穏やかだが、ここボンダイは南太平洋に接する。当然波は高く、世界中のサーファーたちから絶大な人気を集めている。夏は気温が40℃を上回ることもある、シドニーでは海水浴も人気のレジャーで、シーズンになるとビーチは混み合うようだ。
海水は冷たくて実に気持ちよさそうだが、波が高すぎる場合はもちろん遊泳禁止になる。また泳げるときでも、サーファーとエリアが分けられているため遊泳区間から出ないようにすること。
徹底した日焼け対策も必要だ。筆者が調べたところだと、シドニーの夏の紫外線量は東京の夏と比べてもやや高めのようだ。よく耳にする「オーストラリアのほうが紫外線量は圧倒的に高い」というのには疑問があるが、日本の夏以上に用心しておくに越したことはない。
遊泳できない場合には、ボンダイ・ビーチ周辺のコースタルウォークもお勧め。ボンダイ・ビーチの南にはタマラマ・ビーチ、ブロンテ・ビーチがあり、約3kmの風光明媚な海岸沿いが散策できる。また、ボンダイ・ビーチ周辺の市街地、ホール・ストリート、ロスコー・ストリート、カールーイス・ストリート沿いにはカフェやアイスクリーム店、レストランなども立ち並んでいるので、食事や休憩にもうってつけだ。
Bills Bondi Beach ~日本ではパンケーキで有名なビルズ~
パンケーキで有名な「Bills(ビルズ)」といえば、日本でもお台場や銀座、横浜赤レンガ倉庫、大阪や福岡にも店舗があるため、ご存じの人も多いだろう。豪華なスクランブル・エッグやリコッタ・パンケーキは「世界一の朝食」と称され、世界中にファンがいる。シドニーはこのビルズ発祥の地。ここボンダイ・ビーチにも「Bills Bondi Beach(ビルズ・ボンダイ・ビーチ)」があり、ビーチからは歩いて10分もかからない。シドニー中心部の店舗より空いていることが多いようなので、ボンダイ・ビーチを訪れるときにはブレックファーストやランチに利用したいお店だ。
Bills Bondi Beach
所在地: 79 Hall St, Bondi Beach NSW 2026
営業時間: 7時~22時
Webサイト: Bills Bondi Beach(英語)
Mekong Restaurant ~日本人の口にも合うアジアの味~
シドニー中央駅やテクノロジー・シドニー大学(UTS)のすぐ近く、飲食店が並ぶケンジントン・ストリートは、ヨーロピアンダイニングからスイーツ・バーまでが集まるグルメ通り。UTSの学生などにも人気が高いホットなエリアだ。
その一角にある「Mekong Restaurant(メコン・レストラン)」は、その名のとおりメコン川流域をイメージした内装と料理が楽しめる。メコン川はミャンマーからラオス、タイ、カンボジア、ベトナムを流れる東南アジア有数の大河。それらの国々で食べられている食材を用いた料理が、オードブルからスイーツまで幅広く提供されているのだ。
ディナータイムになるとエスニックな味を求める若いオージーたちで賑わう。日本人にもどこかなじみやすい味で、肉が中心のオーストラリアの豪快な料理に胃が疲れてきたら行きたくなってくる店だ。なお、4人以上で行く場合はバンケットメニューがお勧め。
Mekong Restaurant
所在地: 2/14 Kensington St, Chippendale NSW 2008
営業時間: 18時~22時(土・日曜は12時~15時にランチ営業もあり)
Webサイト: Mekong Restaurant