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オーストラリア政府観光局とJTB、協力覚書締結。カンタス航空のダーウィン直行便チャーターなどを企画

広い国土を周遊する国内チャーター便でエアーズロックへのアクセス向上

2018年2月14日 発表

オーストラリア政府観光局とJTBは共同マーケティングに関する協力覚書を締結した

 オーストラリア政府観光局とJTBは2月14日、東京都港区にある在日オーストラリア大使館で会見を開き、共同マーケティングに関する協力覚書を締結したこと、共同マーケティングを4月1日から2019年3月31日まで実施することを発表した。

 合わせてオーストラリア国内路線のチャーター便運航について、アライアンス航空と契約を結んだことも発表した。

オーストラリアへの渡航者を前年度比20%増に

株式会社JTB 代表取締役社長 髙橋広行氏

 JTB 代表取締役社長の髙橋広行氏は、オーストラリアを訪れる日本人は2000年の年間72万人を最後に減少を続け、2013年に32万4000人と底を打ったものの、その後2016年には42万人と回復基調にある。また、「イノベーション」「ライフスタイル」「文化・芸術」の3つのテーマのもとにオーストラリアと世界の交流を図る一大イベント「オーストラリア now」が2018年は日本で4月から8カ月間に渡って開催される時機にあたり、オーストラリア政府観光局と共同マーケティングに関する覚書を締結し、オーストラリア観光へのさらなる需要喚起を行なえることは「大変喜ばしく、名誉なこと」とあいさつした。

 JTBでは2017年度から「グローバル・デスティネーション・キャンペーン」を行なっているが、2018年度は回復基調にあるオーストラリアをデスティネーションに選定。JTBとオーストラリア政府観光局は共同で、マーケティング、プロモーション活動、旅行商品の開発や各種セミナーを行ない、団体旅行、MICE(Meeting/Incentive Travel/Convention/Exhibition・Education)、教育旅行、個人旅行などあらゆる分野において、オーストラリアへの渡航者の増加を図り、2018年度は前年度比20%増(8万人相当)の送客を狙っていく。OTA(オンライン・トラベル・エージェント)の利用者が増加するなか、「リアル・エージェントならではの企画力を発揮していく」と語った。

握手をする駐日オーストラリア大使 リチャード・コート閣下(左)とJTBの髙橋広行社長(右)
協力覚書の主な合意内容

・海外旅行マーケットにおけるオーストラリアの認知度を最大限に高め、さまざまな接点をとおしてJTBグループ経由での渡航者数とその支出を拡大
・商品開発および商品の多様化によるパッケージツアーおよび団体パッケージにおけるオーストラリア商品の強化、店舗キャンペーン実施、各種プロモーション展開
・JTBグループの店頭販売および団体営業スタッフへの教育・販促活動

JTBのブランド力は「信用力」

オーストラリア政府観光局 日本局長 中沢祥行・ジョー氏

 オーストラリア政府観光局 日本局長の中沢祥行・ジョー氏は今回の協力覚書の締結に感謝と喜びを述べ、オーストラリアは治安がよくインフラも整っており、日本と近い感覚で過ごせるところ、オージー(オーストラリアの人々)はとてもフレンドリーで親切なところが魅力とアピール。自身も訪れたというエアーズロックは、「そこにいるだけで命が浄化されるような場所で、皆さんにもぜひ訪れていただきたい」と紹介した。

 タッグを組むJTBは日本でのブランド力があり、それは「信用力につながる」とし、海外旅行のときの不安をJTBなら十分にサポートできるのはとても大事なことだと語った。そして「JTBさまの多様な販売チャネルを通じて日本人の皆さんがさらに多くオーストラリアを旅行して、素敵な思い出を日本に持ち帰っていただくことを希望しております」と述べて、あいさつを終えた。

カンタス航空による「ダーウィンチャーター」などを企画

株式会社JTB 執行役員/株式会社JTBワールドバケーションズ 代表取締役社長 生田亨氏

 JTB 執行役員/JTBワールドバケーションズ 代表取締役社長の生田亨氏がキャンペーンの概要について説明した。

 JTBの「グローバル・デスティネーション・キャンペーン」は2017年度から始まった国、自治体、観光局、宿泊施設、航空会社など官民の枠組みを越えた連携により、設定したデスティネーションのあらたな魅力を掘り起こす取り組み。パッケージ旅行、個人旅行、法人旅行、MICE、教育旅行など、JTBグループが持つ専門分野を結集させ、「JTBグループの総力を挙げて講習創造事業の実現を目指す」というもの。このキャンペーンの特徴として「決まった期間盛り上げてそれで終わり」とするのではなく、「持続可能な旅のしくみづくり」を行ない、観光を軸とした交流人口の拡大を図るところにあるという。

 そして2018年度のデスティネーションに据えたのがオーストラリアであり、協力覚書の締結についてはJTBの髙橋広行社長とオーストラリア政府観光局 本局の局長であるジョン・オサリバン氏によって、すでに取り交わされている。

JTBの髙橋広行社長とオーストラリア政府観光局 本局局長 ジョン・オサリバン氏によって協力覚書の締結がすでに行なわれている

 オーストラリアを訪れる日本人が2013年に年間32万4000人と底を打ったものの、その後2016年には42万人と回復基調にあることについては、カンタス航空、ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)によるオーストラリアへの直行便がここ数年で就航し、提供座席数が増えたことが要因の一つだと説明。2014年以降で週に20便以上増えたことになるという。

カンタス航空、ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)が日本からオーストラリアへの直行便を就航していることが、日本人旅行者数が回復している要因の一つだと説明

 JTBとオーストラリアの関係性を表わす1つとして、JTBは「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリ」のコアラ保育エリア施設について保全活動のスポンサー契約を締結しており、さらに、グレートバリアリーフのサンゴ礁保護活動へのさらなる取り組みも検討中であることを紹介した。

JTBは「カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリ」のコアラ保育エリア施設について保全活動のスポンサー契約を締結している

 もう1つの大きなトピックとして、JTBとアライアンス航空とのオーストラリア国内航空路線チャーター契約の締結がある。

 アライアンス航空はオーストラリア最大級の規模を持つチャーター航空会社であり、この協業により、日本の約20倍という広い国土に点在するエアーズロックなどの観光スポットを、短い期間で周遊する旅行商品の開発が可能になる。

 4月から始まる共同マーケティングに先駆けて、JTBグループでは海外パッケージ旅行の主力ブランド「ルックJTB」において、キャンペーン商品「わくわく!豪GO!オーストラリアキャンペーン」を発表。8月からはカンタス航空の東京~ダーウィン直行便による「ダーウィンチャーター」を設定し、定期便ではアクセスが不便なオーストラリアの観光地への商品開発を行なっていくという。

 また、JTBの旅行商品利用者向けの現地オリジナルオープントップバスを運行し、シドニー湾の美しい夜景やハーバーブリッジをオープントップバスで観光できるようにする。さらに近日、オーストラリア向けのパック旅行商品を多数リリースする予定とのことだ。

カンタス航空の東京~ダーウィン直行便による「ダーウィンチャーター」を用意している
JTBの旅行者向けオリジナルオープントップバスを運行する
近日、オーストラリア向けのパック旅行商品を多数リリースする予定

旅行者移動時間を最低限に抑え、オーストラリアでの滞在時間を最大限に有効活用

アライアンス航空 CEO リー・スコフィールド氏

 JTBとチャーター便運航について契約を締結したアライアンス航空 CEOのリー・スコフィールド氏が登壇し、「アライアンス航空は、安全性と定時性に最重点を置いて成功を収めており、欧米・豪州での航空安全認定を受け、高い基準を保ち、所有するフォッカー社の機材と、フレンドリーなCA(客室乗務員)が、利用客に最高の空の旅を約束する」と会社を紹介。

 この契約締結により、「旅行者は飛行機での移動時間を最低限に抑えることができ、オーストラリアでの滞在時間を最大限に有効活用して、ウルル(エアーズロックなどがある)をはじめとするオーストラリアならではの場所で、さまざまな体験を楽しめるようになります」とアピールした。

オーストラリアは日本をもっとも貴重な観光市場と見ています

駐日オーストラリア大使 リチャード・コート閣下

 最後に駐日オーストラリア大使のリチャード・コート閣下が登壇し、2020年にはオーストラリアを訪れる日本人が年間70万人を超えるところまで回復する見込みであることに触れ、「オーストラリアは日本をもっとも貴重な観光市場と見ています」と述べた。また、JTBによるコアラ保育エリア施設保全活動のスポンサードなどの取り組みに感謝を示し、JTBと観光局の契約締結を「光栄に思う」と話した。

 日本は今年「オーストラリア now 2018」の開催国となっており、これはオーストラリア政府が毎年重要な国を選んで、オーストラリアのイノベーションや創造性、ライフスタイルを紹介する祭典で、両国民の絆を深めるイベントが4月から11月までの期間、東京や全国各地で開催されることから、「魅力的な旅先としてのオーストラリアを、日本で紹介していくのを楽しみにしています」と期待を寄せ、挨拶を終えた。