旅レポ

カンタス航空の関空~シドニー線でオーストラリアを旅する(その2)

世界最古の鍾乳洞などがある景勝地、ブルーマウンテン国立公園へ

カンタス航空の関空~シドニー線で訪れたオーストラリア。その旅行記の第2回は、オーストラリアの自然や動物たちと触れ合う

 関西国際空港発のカンタス航空でシドニー国際空港へ(関連記事「カンタス航空が関空~シドニー線を開設。就航直後の同路線でオーストラリアへの旅へ!」)。オーストラリア東海岸は日本との時差が1~2時間程度のため、夜便で移動すると旅を効率よく楽しむことができる。滞在1日目はシドニーの歴史を学び、街の代名詞にもなっているオペラハウスとハーバーブリッジが見られるポイントへ行ったり、いまシドニー在住の若いオージーたちの間でホットな食事をいただいたりと、シドニー市街地の魅力を探った。

 滞在2日目は郊外へ足を延ばし、観光客も多く訪れる景勝地「ブルーマウンテン国立公園」へ。世界最古の鍾乳洞やオーストラリアに棲む動物たちと触れ合える施設も訪問し、雄大な自然を満喫した。

 この日最初に向かったのは「ジェノラン・ケーブ(Jenolan Caves)」で、シドニー中心部からクルマで3時間弱。途中には、のちほど紹介するブルーマウンテン国立公園の観光アトラクション「シーニック・ワールド(Scenic World)」や景勝地「スリー・シスターズ(Three Sisters)」がある。なお、シーニック・ワールドやスリー・シスターズはシドニーから鉄道でも行くことができるが、ジェノラン・ケーブはクルマでしかアクセスできない。送迎付きのツアーに申し込むか、レンタカーが必要となる。

シドニーより高速道路「M4」を西へ。2017年8月より有料化され、渋滞が緩和されたそうだ。通行料金はレンタカーのe-Tag(日本のETCのようなもの)で支払われ、レンタカー返却時に清算する
ブルーマウンテンに差し掛かると、「M4」は「A12」になる。ちなみに「M」は主要幹線道路、「A」は州間幹線道路。カーブが連続するので運転は慎重に。オーストラリアは交通違反に特に厳しいため、わずかの速度超過もしないように
ブルーマウンテン一帯は緩やかな台地状になっている。車窓からは広大な土地での放牧の様子も見られた

ジェノラン・ケーブ(Jenolan Caves)~世界最古の鍾乳洞~

チフリー・ケーブ(Chifley Cave)にて。ジェノラン・ケーブには11の観光鍾乳洞が整備されている

 ジェノラン・ケーブは、ブルーマウンテン国立公園のやや西側にある鍾乳洞。年代測定により3億4000万年かけて形成されたことが分かっており、世界で最も古い鍾乳洞とされる。ちなみに、世界で2番目に古いとされているのはアメリカにある鍾乳洞で、約9000万年前とのこと。ジェノラン・ケーブの歴史が飛び抜けていることが分かる。

 毎年25万人が訪れるシドニー近郊屈指の観光地である一方で、貴重な太古の鍾乳石が数多く存在することから、学術的にも注目されているそうだ。そのため、世界遺産であるブルーマウンテンズ地域のなかでも重要な要素を占めていて、専門家の間では「ジェノラン・ケーブ単体で世界遺産登録されるだけの価値がある」ともいわれる。

 ジェノラン・ケーブは「Jenolan Cave“s”」の名のとおり、1つの鍾乳洞ではなく、何階層にも折り重なるように、複雑に発達した鍾乳洞群の総称をいう。現在までに探索が進んでいるのは全長約40kmほどで、そのうちの11の鍾乳洞が観光用のショー・ケーブとして整備されている。どのケーブもガイドの同行が必要なため、事前に予約が必要。現地ではジェノラン・ケーブ観光の拠点であるジェノラン・ケーブズ・ハウスでチケットを発券してもらい、ツアー開始時間になったらガイドがやってくるので、参加者全員でケーブに移動してツアー開始となる。

鍾乳洞観光の拠点となるJenolan Caves House

 今回、案内してもらったのは「チフリー・ケーブ(Chifley Cave)」。ジェノラン・ケーブ・ハウスから150mほどのところに入口がある鍾乳洞で、ツアー所要時間は60分だ。公式サイトによると、階段は421段、長さ690m。フィットネスレベル「標準」という項目があるのが面白い。ちなみにこういった観光ガイドは、時間よりやや遅れて来るのがオージーの標準とのことで、そこはいちいち気にしてはいけないそうだ。

チフリー・ケーブのスタート地点は、洞窟を拡張したトンネルの中にある
10分遅刻でやってきたガイドのLanさんと鍾乳洞へ。コンクリートで整備された階段を登ったところに入口があり、ゲートには鍵がかかっていてガイドが同行しなければ入れないようになっている
鍾乳洞内はコンクリートの通路とステンレスの手すりで安全に歩ける。前半はひたすら登り
壁面にある化石。これは陸上動物のものだが、魚類の化石も見つかっており、ここはかつて海面下だったことも分かったそうだ
数百万年~数千万年かけて形作られた鍾乳石の柱。長いものでは10m以上のものも
この電球は洞窟に初めて電気が通った際に設置された最古のものだそう
巨大な水晶のかたまり。背後から照らされ鈍く光っていた
洞窟の底に穴。ここに人が座って偶然底が割れ、下にも洞窟があることが判明したそうだ
チフリー・ケーブのハイライト。落差のあるダイナミックな鍾乳石の柱だ
鍾乳石は、石灰岩の成分(主に炭酸カルシウム)を含んだ地下水が滴り落ちる際に、その成分が少しずつ残って成長する。その成長速度は最大で年間数mm程度で、ここまで太くなるにはさらに膨大な年月を要する
これも鍾乳洞の造形美。光を透過するほどの薄い鍾乳石だ。Lanさんは「ベーコン」と呼んでいた
地下水の滴りによって下方に伸びるのが鍾乳石、下から上に伸びていくのが石筍(石柱)だ
高低差のある洞窟内。後半はどんどん地底に下っていく
天井から下がっている鍾乳石。英語では「soda straw」、または単に「straw」だそうで、その名のとおり管状になっている
手が届きそうな高さのストローは触れられないように保護されている
洞窟が狭く、通り抜けにくいところは人工的に掘削されている。ジェノラン・ケーブには複数のケーブをつなぐ連絡トンネルもある
ライトアップによる幻想的な空間。かつて地下水が削った跡のようだ
ケーブを「カイブ」と発音するなど、オージー訛りでガイドしてくれたLanさん
ジェノラン・ケーブ(Jenolan Caves)

所在地: Jenolan Caves, NSW 2790
料金: 大人42オーストラリアドル(約3612円、1オーストラリアドル=約86円換算)、12歳未満28オーストラリアドル(約2408円)
ツアー時間: 11時~(約60分)
Webサイト: Jenolan Caves(英語)
※上記の料金、ツアー催行時間はチフリー・ケーブの場合。ケーブにより異なる

シーニック・ワールド(Scenic World)~ブルーマウンテン観光イチオシのアトラクション~

シーニック・ケーブルウェイ(Scenic Cableway)から見下ろすカトゥーンバの滝(Katoomba Falls)

 シドニー郊外屈指の観光エリア、ブルーマウンテン国立公園。その定番にしてハイライトともいえる観光スポットが「シーニック・ワールド(Scenic World)」だ。ここでは、太古の昔から姿を変えていないといわれるユーカリの原生林を、ロープウェイやトロッコで巡ることができる。ウォーキングコースも充実したダイナミックなアトラクション施設だ。

 また、ここを起点に、アボリジニの伝説が宿る奇岩「スリー・シスターズ(Three Sisters)」が最も美しく見られる展望台「エコー・ポイント(Echo Point)」まで歩いて行くこともできる。

 シーニック・ワールドは、カトゥーンバ(Katoomba)の街から断崖の下まで降りて原生林が散策できるアトラクション施設。そのため、3種類ある乗り物のうち2つが断崖を上下に往復するためにあり、あとの1つはシーニック・ワールドからエコー・ポイントへの移動が便利なように作られている。

 3種類の乗り物のうち、1つはトロッコの「シーニック・レイルウェイ(Scenic Railway)」、2つはロープウェイの「シーニック・ケーブルウェイ(Scenic Cableway)」「シーニック・スカイウェイ(Scenic Skyway)」だ。また、崖下の原生林に設けられた遊歩道「シーニック・ウォークウェイ(Scenic Walkway)」は、乗り物ではないがアトラクションの位置付けになっている。

シーニック・レイルウェイ(Scenic Railway)

 シーニック・ワールドに到着したら、まずは「シーニック・レイルウェイ」で崖の下の原生林に降りてみよう。レイルウェイはケーブルカー型のトロッコで、最大斜度52度という世界一の急勾配が体感できる。

 また、崖下に向かって座るシートにはボタンが付いていて、「Original」の52度から、「Cliffhanger」の64度、「Laid Back」の44度と座席の角度を変えられる。「Cliffhanger」モードにすると、上半身がほぼ四つん這いに近い角度で前のめりになり、まさに逆落としの気分だ。ジェットコースターとまでは言わないが、トロッコと称するにはあまりにも速いスピードで下っていくためスリルも抜群。さらにこのトロッコ、元は石炭搬出用のものとして元々ここにあったものを改装したというから驚きだ。

レイルウェイの山頂駅。人気アトラクションとあって、待ち時間が30分以上になることも珍しくないという
車両の写真を撮る間もなくシートに座らされ、いきなり出発。勾配はきつくなったり緩くなったりと意外に変化が多い。最前列はスリル満点!
森と切り通しを抜け、トロッコはぐんぐん下る。あっという間に崖下に到着
標高差310m、10分おきに最大84名を乗せてトロッコが往復する。開業は1945年で、70年以上も前だ
下ってくるトロッコと、それを撮影する観光客
レイルウェイは登り乗車も可能。ゲート脇には、手作り感あふれる初代のトロッコが

シーニック・ケーブルウェイ(Scenic Cableway)

 断崖の頂上と崖下の「ジャミソン渓谷(Jamison Valley)」を結ぶもう1つのアトラクションがこの「Scenic Cableway」。レイルウェイがどうしても怖いというなら、このケーブルウェイで溪谷との往復が可能だ。

 84名が搭乗可能なゴンドラは南半球最大サイズで、高低差545mを結ぶ。「オーファン・ロック(Orphan Rock)」をかすめるように通過し、スリー・シスターズや「カトゥーンバの滝(Katoomba Falls)」などの名所が一望できる。

ケーブルウェイも往復乗車可能。定員や運航間隔はレイルウェイと同じなので、乗り場はそれほど混雑しない
ケーブルウェイからはジャミソン渓谷やスリー・シスターズが見渡せる

シーニック・ウォークウェイ(Scenic Walkway)

 シーニック・ウォークウェイは、崖下の温帯雨林に設けられた全長2.4kmの木道で、レイルウェイの駅とケーブルウェイの駅を結んでいる。つまり、レイルウェイ~ウォークウェイ~ケーブルウェイのルートでシーニック・ワールドを1周できるようになっている。

 ウォークウェイの周囲に広がる森は、ジュラ紀(1億9960万年~1億4550万年前)に形成され、現代までに大きくは変化していないそうだ。上述のジェノラン・ケーブといい、オーストラリアはなんとも壮大なスケールの国である。

文字どおり、原生林を歩くウォークウェイ

 なお、このウォークウェイは枝分かれしていて、10分、30分、60分のコースが選べる。木道になっているのは環境に与える負荷を最小限に抑えるため。おかげで歩きやすく、車いすでの通行も可能だ(ただしレイルウェイには搭乗できない)。

 沿道には、ここが以前炭鉱だったことをうかがわせる坑道の出入口や石炭を運搬するトロッコなどが展示されている。また、時折ここにしかいない野鳥の鳴き声も聞こえてきて、日本とは違った森林浴が楽しめる。

炭鉱跡の展示
ウォークウェイの途中にあった、オーストラリア固有種のコトドリの案内板。しばらく耳を澄ませてみたが、ここではなにも聞こえなかった

 公式ガイドブックによると、特に素晴らしいのが雨天時のウォーキングだそうで、濃い霧のため崖の上の世界とは隔離され、喧騒も覆い隠され、色を失った太古の森はとても幻想的で、また頭上を覆うほどに生い茂った植物により多少の雨なら傘もささずに歩けるほどだという。天気がよくてもわるくても違った趣が味わえそうだ。

シーニック・スカイウェイ(Scenic Skyway)

 シーニック・ワールド側の「Skyway West Station」と、ジャミソン溪谷をまたいだエコー・ポイント側の「Skyway East Station」の720mを結ぶロープウェイ。渓谷からの高さは最大270mで、断崖側にはカトゥーンバの滝が、溪谷側にはスリー・シスターズが、そして真下にはジャミソン溪谷の熱帯雨林を見下ろせる。

 ゴンドラは2017年11月にリニューアルしたもので、床面の中央部がガラス張りになり、より眺望とスリルが味わえるようになった。ちなみにフリーWi-Fiも設置されたそうだが、乗っているのは5分程度なので景色を楽しもう。

Skyway East Station。略図の黄色がスカイウェイ、赤がレイルウェイ、青がケーブルウェイだ
リニューアルされたゴンドラ。中央部は下面がガラス張りで、外が見渡しやすいように一段高くなっている
スカイウェイからの眺望。カトゥーンバの滝も真上から見下ろせる
Skyway West Stationから見たエコー・ポイント方向。右にスリー・シスターズが見えている
シーニック・ワールド(Scenic World)

所在地: Violet Street Katoomba NSW 2780
営業時間: 9時~17時
料金: Discovery Pass(Skyway、Railway、Cableway、Walkwayのセット)大人43オーストラリアドル(約3698円)、子供(13歳以下)23オーストラリアドル(約1978円)、家族109オーストラリアドル(約9374円)、4歳未満の子供は無料
Webサイト: Scenic World(英語)

スリー・シスターズ(Three Sisters)~アボリジニの伝説が宿る奇岩~

ブルーマウンテン観光の定番ポイント、スリー・シスターズ(Three Sisters)

『アボリジニの神話の時代。ジャミソン溪谷のガンダンガラ族に、ミナイ、ウイムラ、ガネデゥという美しい三姉妹が住んでいました。この3姉妹と恋に落ちたのが、近隣のダルク族の3兄弟。でも、アボリジニの掟では他の部族との結婚は禁じられています。諦めきれないダルクの3兄弟は姉妹を略奪しようとしますが、それが原因で部族間の争いに発展してしまいます。ガランガラの祭司は3姉妹を守るため、戦いが終わったら元に戻すという約束で、その姿を魔法で3つの巨大な岩に変えることにしました。しかし、祭司はこの争いで亡くなってしまい、ついに魔法を解くことは叶わなくなってしまいました。3つの巨岩に姿を変えたままの3姉妹は、今でも元の美しい姿に戻る日を一日千秋の思いで待ち続けています』(フリーペーパー「BLUE MOUNTAINS TOURIST」2017-18 summerより再構成)。

 この3つの奇岩が「スリー・シスターズ」と呼ばれるのはこのような伝説から。実際には、砂岩が数万年の歳月により風化して現在の形になったもので、テーブルマウンテン状の山から突き出すようにポツンと取り残された形でたたずんでいる。この断崖の高さは実に900m。そのスリー・シスターズが間近で見られる展望台が「エコー・ポイント(Echo Point)」だ。

 ここから眺める壮大な景色はまさに絶景で、晴れた日には、植生の7~8割を占めているというユーカリの葉から蒸散する油分が大気中に薄く広がり、それが太陽光を反射して、ほぼ一年中神秘的な青いかすみをまとって見える。それが、この山一帯が「ブルー・マウンテン(Blue Mountains)」と名付けられた理由だ。

エコー・ポイントはスリー・シスターズが最も美しく見えるポイント。多くの観光客がここから彼女たちとの記念撮影を行なう
ユーカリの油分が大気中を漂うことで青みがかかって見える。ブルー・マウンテンの名の由来だ

 上述のスカイウェイからこのエコー・ポイントまでは、「プリンス・ヘンリー・ウォーク(Prince Henry Walk)」という断崖に沿った遊歩道を歩くのがオススメ。Skyway East Stationを出たら断崖側に歩いてみるとすぐに分かる。断崖に突き当たったら左に折れよう。

 約1kmのスリルある絶壁の遊歩道を進むと、そのままエコー・ポイントに出る。また、エコー・ポイントから「スリー・シスターズ・ウォーキング・トラック(Three Sisters Walking Track)」を400mほど歩けば、スリー・シスターズの一番手前側の岩まで直接行けるので、時間に余裕のある方はチャレンジしてみてはいかがだろうか。

 ただし、スリー・シスターズ・ウォーキング・トラックは900mの断崖の真上にあるので、高いところが苦手な方はくれぐれも無理なさらないよう……。

Prince Henry Walkは坂もゆるやかで歩きやすい
スリー・シスターズの一番左の岩に橋がつながっている。これがスリー・シスターズ・ウォーキング・トラックだ

The Lookout Echo Point

レストランやバーなどがあり食事や休憩ができる。お土産の購入にも便利だ

 シーニック・ワールドとエコー・ポイント観光の際に、休憩や食事、お土産も買える便利な場所「ザ・ルックアウト」をご紹介しよう。エコー・ポイントからは徒歩3分以内とアクセスも抜群だ。

 ザ・ルックアウトには飲食店が3店舗ある。ロビーフロアに「MILKBAR」「BAR NSW」、2階に「RESTAURANT 1128」だ。MILKBARは気軽なランチに最適で、ハンバーガーやサンドイッチ、フライドポテト、アイスクリームやドーナッツなどが食べられる。BAR NSWはニュー・サウス・ウェールズ州のワインやビール、カクテルと、ハンバーガーやチーズ、そのほかの軽食が楽しめる。

地上階と2階は飲食店が入っている

 今回は「RESTAURANT 1128」で昼食をいただいた。ここでは豚肉やアンガス牛の煮込み料理、マカダミアショートブレッドといった伝統的な料理が食べられる。

メインから「soy angus beef brisket, crispy scallion, green beans」(25オーストラリアドル、約2150円)
デザートから「warm chocolate & walnut brownie, salted caramel, almond praline」(15オーストラリアドル、約1290円)

 上記のメインとデザートをコースで選ぶと、40オーストラリアドル(約3440円)でハウスワインがグラス1杯付く

RESTAURANT 1128の店内と、テラス席からの眺望。シーニック・ワールドが見える

 また、1階ロビーから階段を降りたところには「Waradah Aboriginal Centre」がある。ここではアボリジニの伝統的な歌や踊りが見られるショーが行なわれる。ショーは約25分間で、開演時刻は10時30分、11時30分、12時30分、13時30分、14時30分、15時30分。

 顔や腕にアボリジニのペインティングなどもしてもらえたりもできるとのこと。アボリジニグッズなども販売している。名前こそよく聞くが、実際に触れることの少ないアボリジニの文化を直接知るよいチャンスだ。

階下がWaradah Aboriginal Centre
The Lookout Echo Point(RESTAURANT 1128、MILK BAR、BAR NSW)

所在地: World Heritage Plaza 33-37 Echo Point Road Katoomba NSW
営業時間:
・RESTAURANT 1128 11時~15時(通年営業)
・MILKBAR 平日8時30分~、土日8時~(通年営業)
・BAR NSW 11時~(通年営業)
Webサイト: The Lookout Echo Point(英語)

Waradah Aboriginal Centre

所在地: World Heritage Plaza 33-37 Echo Point Road Katoomba NSW
営業時間: 9時~17時(通年営業)
Webサイト: Waradah Aboriginal Centre(英語)

フェザデール・ワイルドライフ・パーク(FEATHERDALE WILDLIFE PARK)~オーストラリアの動物に触れ合えるパーク~

オーストリア固有の動物たちの自然な姿が見られる

 オーストラリアに来れば、カンタス航空のシンボルにもなっているカンガルーをはじめ、コアラやウォンバットといったオーストラリア固有の動物はぜひ見てみたいもの。こうした動物たちを見られるのが、ここ「フェザデール・ワイルドライフ・パーク(FEATHERDALE WILDLIFE PARK)」だ。

 Zoo(動物園)ではなく Wildlife Parkとなっているのは、ゾウやライオンといった外来の大型動物はおらず、オーストラリア固有の動物を中心に飼育していることや、動物たちの多くが檻ではなく柵で仕切られていて、自然な姿が観察できることによるとのこと。パークはそれほど広くはなく、動物の種類も一般的な動物園に比べると少ないが、動物との距離も近く感じられるとあって観光客にも人気。一般的な動物園よりも楽しめるイチオシの施設だ。

 場所はシドニー中心部から西へクルマで約30~50分(交通状況による)ほどの距離にあり、ブルーマウンテンとシドニーの中間点ということから、ブルーマウンテン観光の帰路に立ち寄る現地ツアーもあるようだ。現地では2時間程度あれば貴重な動物たちをじっくりと観察できるので、シドニー旅行の際には訪問先の1つとして検討することをオススメしたい。

フェザデール・ワイルドライフ・パークのエントランス。小振りな動物園の趣きだ
いきなり現われたCassowary(ヒクイドリ)。ニューギニアからオーストラリア北東部に分布する絶滅危惧種。飛べない鳥だ
カンガルー科の動物は、大きさによってワラビー(25cm~)、ワラルー(75cm~)、カンガルー(115cm~)に分けられるが、実は生物学的には同じ種類。これらはワラビーで、その種類は約30種にも及ぶ
飛ぶ鳥としてはオーストラリア最大のオーストラリアンペリカンを見て、いよいよコアラの聖地へ

 オーストラリアといえばコアラは外せないと誰もが思うはず。フェザデール・ワイルドライフ・パークでも、コアラ・サンクチュアリは見学ルートに入っていて必ずその姿を見ることができる。

 さて、ここで読者のみなさんが気にするのは「コアラと一緒に写真が撮れるか?」ではないだろうか。もちろん、これもOKだ。ただしコアラは神経質な動物で、人に触れられるとストレスがたまり、円形脱毛などの症状が出ることもあるらしく、動物保護の観点からニューサウスウェールズ州の法律ではコアラを抱き抱えることは禁じられているそうだ。

 ここフェザデール・ワイルドライフ・パークでも、木につかまっているコアラに寄り添っての記念撮影となる。もちろん、園内の木につかまっているコアラを撮影するのは自由だ。

木の幹にコアラ発見! 動きもゆっくりで愛らしい
ユーカリの枝にもたれかかるように寝ているコアラも
コアラとの2ショットはこちらのブースで撮影してもらう。抱っこはNGだが軽く触れる程度ならOK。料金は写真のサイズにより、25オーストラリアドルと35オーストラリアドル(それぞれ2150円、3010円)がある
取材時は夕方だったためか、どのコアラも眠そうだった

 ここまでは順路に沿って進むが、コアラ・サンクチュアリを抜けたあとは園内を自由に散策できる。オナガイヌワシなどの猛禽類をはじめ、エミュー、アイビス(クロトキ)、ペンギンなどの鳥類、カンガルーやワラビーなどの有袋類、ウォンバット、ディンゴ(犬)、ハリモグラ、タスマニアデビル、さらにクオルやビルビーといった聞き慣れない動物なども飼育されており、日本では動物園でも見ることが少ない動物たちをまとめて見ることができる。以下に、ほんの一部だけだがここで見かけた鳥類をご紹介。

オーストラリア固有種のバーキング・オウル。視力が発達し、主に朝夕に狩りを行なう
メンフクロウ。ハート型の顔、黒っぽい目、長めの足などが特徴。北東アジアや日本にはいない
リトルペンギン(フェアリーペンギン)は、オーストラリア南部、ニュージーランドに棲息
オーストラリアン・ホワイト・アイビス(オーストラリアクロトキ)。シドニー周辺でもよく見かける
「天空の覇者」とも呼ばれるオナガイヌワシ。オーストラリアではドローンを“撃墜”したことでも話題となった
フェザデールではワラビーや羊への餌やりもできる
フェザーデール・ワイルドライフ・パーク(Featherdale Wildlife Park)

所在地: 217 Kildare Road Doonside NSW 2767
開園時間: 9時~17時(※クリスマスを除く)
料金: 大人32オーストラリアドル、3歳~15歳17オーストラリアドル(それぞれ約2752円、1462円)、ファミリーチケットあり(親子構成により異なる)
Webサイト: Featherdale Wildlife Park(英語)

バランガルー(Barangaroo)~再開発によって誕生したスタイリッシュなエリア~

バランガルー(Barangaroo)はシドニー観光の新たなスポットとしてその魅力を増している

 シドニー市街地で最もメジャーな観光スポットといえば、オペラハウスやハーバー・ブリッジが望める「サーキュラー・キー(Circular Quay)」から、ホテルや飲食店なども集まるウォーターフロントエリアの「ダーリン・ハーバー(Darling Harbour)」にかけての一帯だろう。このエリアの中央にあるのが「バランガルー(Barangaroo)」地区。ここはかつて貨物埠頭として使用されてきたが、大規模な再開発が行なわれている。

 その目玉は、オーストラリアの大富豪ジェームズ・パッカー氏が建設を進めているカジノで、こちらは2021年の完成予定だ。そのほかにも巨大複合ビル、インターナショナルタワーが複数建てられて、多くの企業がテナントに入ったことで、周辺にはカフェやレストランなどが次々にオープンし、今では新たなオシャレスポットとして注目を浴びている。

シドニーの新たなランドマーク、インターナショナルタワー
バランガルーの夕景
夜のバランガルーとダーリン・ハーバー。美しく安全で、一人で歩いている女性の姿も見かけた
ダーリン・ハーバーの対岸にあるのはオーストラリア国立海洋博物館。元駆逐艦HMAS VAMPIREだ

 蛇足だが、バランガルーという地名は、かつてこの付近にいたアボリジニ、エオラ族のある女性の名前に由来する。彼女の夫はベネロングといい、オペラハウスが建っているベネロング・ポイントにその名が残っている。

シーラス(Cirrus)~バランガルーにオープンした注目のレストラン~

バランガルーで注目を集めているレストラン&バー「シーラス(Cirrus)」

 このバランガルーで注目されているレストラン&バーが「シーラス(Cirrus)」だ。オーストラリアで数々のアワードを獲得した、レストラン&バー「Bentley」「Monopole」「Yellow」のシェフとソムリエがプロデュースする新たな店舗としてオープン。

 ウリは新鮮な肉や魚介類で、ワインは30種類以上を世界から選りすぐってストックしているそう。これらワインのなかには、当然オーストラリア産のものもある。また、オーストラリアといえばアンガス牛やラムをイメージしがちだが、シーフードも豊富。それらが生でも提供できるのは鮮度が高いからだ。

 なお、ディナータイムは混雑するようなので、あらかじめスケジュールが確定している場合はなるべくホームページから予約をとることをオススメしたい。

店内は、カジュアルなダイニングバーの趣き。バーカウンターと、テーブル席が用意されている
屋外席も人気。夏でも夜は肌寒く、暖房も用意されている
Bread Roll+House Made Butter(パン+自家製バター)
Oysters+Scallops+Mussels(牡蠣+ホタテ+ムール貝)
Cured Swordfish+Pea+Lemon Myrtle(塩漬けのメカジキ+エンドウ+レモンマートルの葉)
Smoked Ocean Trout Parfait+Fennel Pollen+Onion(スモークしたマスのパフェ+ウイキョウの葉+玉ねぎ)オーシャントラウトは、マスを海水で養殖したもので、鮭でも(淡水の)鱒でもないそうだ。味はマス
Rosted King Prawns+Koji Butter(焼いたエビ+麹バター)
Ora King Salmon+Charred Cabbage+Black Garlic(キングサーモン+焦がしたキャベツ+黒にんにく)
Cowra Lamb+Brassica+Smoked Almond(カウラ・ラム+アブラナ+燻製したアーモンド)。カウラはニューサウスウェールズ州の都市の名前
Grilled Black Angus Rib Eye+Kombu Butter(ブラックアンガス牛のリブアイ+昆布バター)
Red Velvet Lettuce+Tarragon+Olive Oil(レッドベルベットレタス+タラゴン+オリーブオイル)。タラゴンはヨモギの一種
Caramelished Banana+Coffee Ice Cream+Chocolate(カラメルであえたバナナ+コーヒーアイス+チョコレート)

 以上はコース料理の一例。季節や入荷する食材により変化する。シーラスではこのようなコース料理をいくつか用意しており、料金は95~120オーストラリアドル(約8170~1万320円)。

シーラス(Cirrus)

所在地: 23 BARANGAROO AVENUE, BARANGAROO NSW 2000
営業時間: ランチ12時~、ディナー18時~(※定休日なし)
Webサイト: Cirrus(英語)

板倉秀典