旅レポ

カンタス航空の関空~シドニー線でオーストラリアを旅する(その3)

シドニーならではのアクティビティを満喫!

カンタス航空の関空~シドニー線で訪れたオーストラリア。その旅行記の第3回は、シドニーでしか味わえない観光アクティビティやラグジュアリーなディナークルーズをご紹介

 関西国際空港発のカンタス航空でシドニー国際空港へ(関連記事「カンタス航空が関空~シドニー線を開設。就航直後の同路線でオーストラリアへの旅へ!」)。オーストラリア東海岸は日本との時差が1~2時間程度のため、夜便で移動すると旅を効率よく楽しむことができる。

 滞在1日目はシドニー市街地を散策、その魅力を探った。2日目には郊外へと足を延ばし、景勝地ブルーマウンテン国立公園やオーストラリア固有の動物たちと触れあえる施設を訪問した。

 滞在3日目はシドニー市街地の魅力に迫る。この日は朝から、シドニーの象徴の一つ、ハーバー・ブリッジに向かった。

BridgeClimb Sydney ~シドニーの中心で味わうスリルと絶景~

ハーバーブリッジの最上部まで歩いて行く人気のアクティビティ

 世界遺産オペラハウスと並ぶシドニーのシンボルといえば、シドニー湾の南北を結ぶ美しいアーチ橋、ハーバーブリッジ(Sydney Harbour Bridge)だ。ハーバーブリッジは1932年に完成したもので、全長約1500m、石造りの支柱間の距離は約500m、アーチの高さは134m。幅も広く、片側4車線の道路、2本の線路、サイクリングロード、歩道があり、車線の数では現在世界一だ。

 じつは、このハーバーブリッジ、ブリッジクライム(BridgeClimb Sydney)という観光アクティビティが用意されており、誰でも気軽にアーチの最上部、海抜134mの地点まで歩いて行くことができる。このブリッジクライムは全員が同じルートを進むのではなく、ツアーの時間によっていくつかの種類に分けられる。また、最上部まで行かないコースもある。どのコースも1チーム10名前後で順次出発する。

・BridgeClimb:所用3.5時間。昼間、外側のアーチを頂上まで往復。
・BridgeClime Sampler:所用1.5時間。昼間、内側のアーチを途中まで往復。
・BridgeClime Express:所用2.25時間。昼間、内側のアーチを往復し、頂上部分で外側のアーチに上がる。
・Night:所用3.5時間。日没後、外側のアーチを頂上まで往復。
・Twilight:所用3.5時間。日没から夜にかけて、外側のアーチを頂上まで往復。
・Dawn:所用3.5時間。日の出に合わせて、外側のアーチを頂上まで往復。第1土曜日、10月~5月の第3土曜日に催行。

 料金は大人263~403オーストラリアドル(約2万2618円~約3万4658円、1オーストラリアドル=約86円換算)と比較的高額だが、参加経験者は口を揃えて行ってよかったと答えるほどに特別な体験だ。このほかに、アーチ最上部で結婚式をやったり、パーティをやったりという利用の仕方もできるとのこと。

 ブリッジクライムは安全には配慮されているものの、通路には手すりがあるのみで、常に吹きさらしの状態だ。万が一にでも落下物があると橋を走行している自動車に大きな危険がかかるため、カメラを含めて手荷物を持ち込むことは厳禁となっている。そのため、ブリッジクライムそのものは有名だがインターネット上でも画像は少ない。今回は特別にカメラの持込が許可されたので、写真を多めにしてブリッジクライムの雰囲気を紹介したい。

ブリッジクライムの起点はハーバーブリッジから続く道路の高架下にある

 受付を済ませ、2階に上がると、最初に「同意書」が配られるので、それにチェックを入れてサインする。「同意書」には日本語のものも用意されていた。次にボディスーツが渡され、更衣室に移動して着替えとなる。ブリッジクライムに持って行ける自分のものは、下着と靴、サングラスのみ。腕時計やスマートフォン、財布なども含めて荷物はロッカーに預ける。次に部屋を移動し、ボディスーツの上にハーネスを身に着け、ハーネスにギア(装具)を付けていく。

 ギアは、同行するガイドの声が聞こえるインカム、突然の雨の際に着るレインウェアなどで、それらはすべてケーブルを通してハーネスにつなげられている。また、配られるキャップや、自分で持ち込んだメガネ、サングラスなどもすべてケーブルで留められていく。こうやって大げさに装備を着けて行く段階がすでに楽しい。この時点ですでにアトラクションは始まっているのだ。

 ここで、いったん預けてチェックを受けていたカメラが返されたが、一眼レフのボディとレンズは結束バンドとケーブルで外れないように固定されており、またレンズフードもテープで留められていた。見事なまでに落下対策が徹底している。ギアをすべて装着し、カメラのストラップもカラビナでハーネスにつなぎ、インカムの作動を確認して、いよいよ出発。

 石造りの支柱までは、トラス橋の下にあるキャットウォークを水平に歩く。距離は約500mで、高さは50mほど。支柱を越え、アーチを少し登ったところで、撮影してもよいとのこと。なお、今回体験したのは BridgeClime Expressというコース。内側のアーチを登り、頂上部分で外側のアーチへ。その後また内側のアーチを下るという2時間ちょっとのコースだ。

ブリッジクライムは、この装備で行なう。まずは内側のアーチに取り付けられた通路を登っていく
オペラハウス、サーキュラー・キーが見下ろせる高さまで来た
風は強いが、頑丈な鉄骨の上なので不安になるような揺れは皆無
腰のハーネスから伸びたランヤードが常にケーブルを掴んでいる。いわゆる安全帯だ。スタートからゴールまで一切取り外すことはない
内側アーチの頂点は海抜約120m。下を走る自動車が小さくなっていく
旗が見える場所が最上部だ
いよいよ最上部、海抜134mへ
ガイドはカメラを持っていて、最上部付近でオペラハウスをバックに写真を撮ってくれる。その写真はツアー終了後に購入するかどうか決める
シドニー湾の北東側には住宅街が広がる
東の方向、オペラハウスが間近だ。シドニー湾をこちらの方向に進むと南太平洋につながっている
シドニー中心街はハーバーブリッジの南側。停泊している客船は OVATION OF THE SEAS
最上部で強風にあおられているのはNSW(ニュー・サウス・ウェールズ)の州旗だ
最上部の通路。イベントなどで利用するライトが設置されていた
ときおり遊覧飛行の飛行機がハーバーブリッジをかすめていく。日本にはないフロート付きのセスナ208“キャラバン”水上機だ
オペラハウスとその奥のミセス・マッコーリー・ポイントの位置関係がよく分かる
ここまで橋の東側のアーチを登ってきたが、細いキャットウォークを通って西側へ
なぜか足元もわざわざ木の板で作られている。ブリッジクライムのハイライトだ
復路は西側のアーチを下っていく。登りより下りのほうが高度感がある
往路とは違う光景が広がる。これは橋の北西方向
橋の南西、バランガルーやダーリン・ハーバーの方向。手前の倉庫街は改装され、現在はカフェなども入る観光スポットになっている
ダーリン・ハーバーの奥には、天気のよい日だとブルーマウンテンの山並みが見えるのだろうか
再び内側のアーチまで下りる。雨が降ってきたので、腰にぶら下げてきたレインウェアを着用

 撮影はここまで。このあとは再び内側のアーチに沿って石造りの支柱まで下り、トラス橋を水平に歩いて元のブリッジクライム・オフィスに。ここでギアを外し、スーツを脱いで私服に着替え、アンケートを記入して終了だ。

終了後は証明書が発行される。かぶってきたキャップも記念に持ち帰ろう
オフィスではグッズも販売している

 ブリッジクライムをやる際は、混雑を避けるためにも公式Webサイトからの予約がオススメだ。迷っている場合は、現地に直接行って、映像やその場の雰囲気を見てから決めてもいいだろう。

Bridge Climb Sydney

所在地: 3 Cumberland St, The Rocks NSW 2000
料金: 大人168オーストラリアドル(約1万4448円)~388オーストラリアドル(約3万3368円)、小人143オーストラリアドル(約1万2298円)~278オーストラリアドル(約2万3908円)
※料金はコースや平日/休日により異なる
Webサイト: Bridge Climb Sydney(英語)

The Rocks ~シドニーの歴史地区で掘り出しもの探し~

週末にはマーケットが開催されるThe Rocks

 近代オーストラリアの歴史は、シドニーの歴史だ。なかでも、現在オペラハウスやハーバー・ブリッジがある周辺は、最初に総督府が建てられ、入植者が最初に住んだエリア。この古い街がロックス(The Rocks)だ。石畳の道路の周りには石造りの情緒ある建物が並び、歴史の面影が色濃く残っている。シドニー最古の住宅やパブなどもあるので、体力に自信があれば、オペラハウス、ハーバー・ブリッジ、バランガルーと、ここロックスをあわせて丸一日散策してみてもいいだろう。そこかしこに歴史的な建造物があるので、ガイドブックなどで下調べをしてから訪れると、いっそう興味深いものになる。

 また、ロックスでは毎週末にロックス・マーケットが開催されていて、週末になると街の表情は一変する。マーケットに出店しているのは地元アーティストや市民で、アート作品やアクセサリ-、雑貨や洋服、果物やドリンクなどさまざま。掘り出し物を求めてブラブラしながらギフト探しも楽しい。オーストラリア定番のお土産とはちょっと違う、あなただけのシドニーの記念が見つかるだろう。

週末はマーケットが並ぶロックスの街並み
プレイフェア通り(Playfair St.)も多くのオージーや観光客で賑わう
普段は自動車が行き交うジョージ通り(George St.)は、一部が通行止めになり歩行者天国に
先ほどハーバーブリッジから見下ろしていた客船が背後に停泊する。かつてはここにイギリスからの帆船が到着した
バスソルトやガラス細工など色とりどりの手作り雑貨は、見ているだけで楽しくなる
アーティストたちの手による個性的な作品たち。なかには世界に1つだけの作品も
果物や手作りのおもちゃ、手編みのニットの帽子なども売られている。もちろん、価格交渉も可能だ
シドニーの思い出にもなりそうな作品がたくさん。写真撮影の際はひと言声を掛けるとスムーズ
The Rocks Markets

所在地: Playfair Street, George Street, Jack Mundey Place
開催日時: 10時~17時(土・日曜日のみ)
Webサイト: The Rocks Markets(英語)

Captain Cook Cruises ~夜景と料理、オーストラリアワインを楽しむ船上のひととき~

ディナークルーズでは、シドニー湾の美しい景色が独り占めにできる

 シドニー港は“世界三大美港”の1つに数えられる。実はこの世界三大美港には「シドニー、ナポリ、香港」や「シドニー、サンフランシスコ、リオデジャネイロ」などいくつかの説があるのだが、どれをとってもシドニー港は外れることがない。事実上、世界一の美港と言ってしまっていいだろう。

 ダーリン・ハーバーやバランガルー、サーキュラー・キーからは、そんな風光明媚なシドニーの海をクルーズする観光船が複数出ている。そのなかで、老舗のクルーズ会社として実績、サービスともに評価が高いのが、キャプテン・クック・クルーズ(Captain Cook Cruises)だ。同社のシドニー湾クルーズには、ランチクルーズやディナークルーズ、ブレックファースト&ハイティークルーズ、ホエールウォッチングクルーズなどがあり、また食事の内容などによってさらに細分化されているので、スケジュールや予算に応じて多数の選択肢からコースが選べる。

 筆者のオススメは“Nightly Dinner Cruises”。そのなかにも、料理の内容や席によって3つのランクがあり、今回は中間の“Captain Dinner”だ。ライトアップされたオペラハウスやハーバーブリッジ、シドニー湾岸の夜景を楽しみながら料理やワインが楽しめる。週末は特に混雑するので、Webサイトからの事前予約が望ましいとのこと。今回は船上で日本の新婚カップルにもお会いしたが、話を聞いてみると特別な思い出ができて満足しているようだった。

ダーリン・ハーバーの船着場にあるキャプテン・クック・クルーズのチケットオフィスで発券する。目の前に同社所有の船が停まっている。今回搭乗するのは「MV Sydney 2000」だ
アサインされた乗船時間が近づくと、乗客が集まってくる。取材時は18時50分に乗船開始
船内は、ロアデッキ(下の階)とアッパーデッキ(上の階)がある。写真はアッパーデッキで、窓際と中央に席がある
乗船後すぐにワインのサーブがはじまる。ウェルカムワインには、オーストラリアのワイナリー Tyrrell's の“Moore’s Creek Sparkling Brut”をいただいた。身のこなしの優雅さに、思わず写真もたくさん撮る
出港して10分ほどでハーバーブリッジをくぐり、シドニー湾へ。湾内は穏やかで船はほとんど揺れない
船上からしか見られない光景が広がる
要塞、そして監獄としても使用されたフォート・デニスン(Fort Denison)。この海にはサメがいるので、脱獄を企てる囚人はいなかったとか
シドニー中心街。これから暗くなってくると夜景が楽しみだ
オープンデッキは広く、夜景ものんびりと楽しめる
“Captain Dinner”のコース料理より。エントリーは「Warm lamb salad, baby greens, pumpkin, kalamata olives, quinoa, feta cheese with dijon honey mustard dressing」
オーストラリアワイン、WOLF BLASSの“Gold Label ~Adelaide Hills~”。クリーミーな口当たりで、深いコクがある
Tyrrell's の“Lunatiq Heathcote Shiraz”ワインをほとんど飲まない筆者でもスパイシーさが分かる。深い赤も美しい
メインは「Australian southern highlands beef tenderloin fillet, sauteed mushrooms, served with seeded mustard jus」
船内ではライブ・ミュージックも楽しめる
デザートは「Coconut mousse, smooth coconut cream mousse on sponge base topped with toasted coconut Chocolate hazelnut cloud, with a silky-smooth centre」
再びオープンデッキへ。刻々と変化する調和された夜景が美しい
食事を終えた乗客もデッキで撮影を楽しんでいた
サーキュラー・キーの国際旅客ターミナルに到着。昼間にいた大型客船は出港しており、美しい景色も独り占め
Captain Cook Cruises

乗船場所: King St Wharf No.1(Darling Harbour)/Wharf No.6(Circular Quay)
乗船時間: 2時間30分~3時間30分(季節なおdにより異なる)
料金:
Gold Penfolds Dinner:大人195オーストラリアドル~239オーストラリアドル(約1万6770円~約2万554円)
Captains Dinner:大人109オーストラリアドル~155オーストラリアドル(約9376円~約1万3330円)
Starlight Dinner:大人99オーストラリアドル~125オーストラリアドル(約8514円~約1万750円)
※上記の記事で紹介しているのは「Captains Dinner」
※料金は目安。季節、曜日、祝日などによって異なる。窓際席確約などのオプションは料金別
Webサイト: Captain Cook Cruises(英語・一部日本語)

 ここまで、3日間にわたってシドニー市街地、ブルーマウンテン国立公園を観光、シドニー観光の魅力を探ってきた。シドニー市街地はコンパクトで、中心部に近い位置に宿泊すれば多くの観光スポットが徒歩圏内となる。また、自動車は日本と同じく右ハンドル、左側通行なので、運転に自信がある人はレンタカーを利用してもいいだろう。

 オーストラリアへの出発前には、正直にいうとシドニーのイメージはオペラハウスとハーバー・ブリッジしかなかったが、実際に街を歩くとヨーロッパと同じく街中のあちこちに歴史ある建造物があり、また郊外に足を延ばせばオーストラリア特有の植生や動物に触れることもできた。日本との時差はわずか1~2時間。時差ぼけがないかわりに、気候は日本と反対なので非常に遠くに来たと実感した。

 オーストラリアに行かれる際は、今回のプレスツアーと同じく、最低でも3日間はかけて回ってみてほしい。きっと3日目には、「次はオーストラリアのあそこに行きたい、ここにも行きたい」と、早くも次の旅行計画も考えるようになっているはずだ。

板倉秀典