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ANA、羽田空港で乗客/乗員向け自動運転バスの実用化に向けた実証実験。年内にも試験運用をスタート

2020年1月22日 公開

2020年1月22日~31日 実施

ANAが羽田空港で実用化に向けた自動運転バスの実証実験をスタート

 ANA(全日本空輸)は1月22日、羽田空港の制限区域内で、自動運転による大型バス運行の実証実験を開始した。1月31日まで行なう。

 インバウンド(訪日外国人旅客)の増加などによる航空需要や、空港間競争が高まるなか、生産年齢人口の減少などの課題を解決しつつ、高品質な旅客サービスを実現するために、国土交通省は先進技術を活用した航空イノベーションの推進を図っている。

 一方のANAも、労働集約型の働き方が中心のグラハン(グランドハンドリング、地上支援業務)の領域で、人と技術の役割分担などを見直す“シンプル&スマート”化の取り組みを進めている。

 空港制限区域内における自動運転バスの実証実験は、こうした背景のもとで行なわれているもの。ANAは過去にも自動運転バスの実証実験を行なっており、2018年2月に新整備場地区で自動運転技術を検証、2019年1月には羽田空港の制限区域内で、その環境の特殊性への対応、航空機や特殊車両の認識などを検証してきた。

 今回も羽田空港の制限区域内での実証実験となるが、バスをより大型化。乗客や乗務員を輸送する自動運転バスの実用化に向けての取り組みとなっている。

BYD「K9RA」を用いた自動運転バス。ANA所有のバスとなり、オリジナルデザインにラッピング

 今回の実証実験は、ビーワイディージャパン、先進モビリティ、SBドライブの協力で実施。

 実証実験ではANAがBYDの電気バスを新たに導入。これまでの実証実験では、自動運転システムを提供している先進モビリティが所有する小型バスを利用してきたが、今回はBYDの大型電気バスをANAが所有。これに先進モビリティの自動運転システムを導入する格好となっている。

 SBドライブの遠隔監視システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」により、遠隔で自動運転バスの位置や警告を管理。さらに今回は、ドアの開閉やハザードランプの点灯などを遠隔から“操作”する仕組みも盛り込んだ。

羽田空港内を走行する自動運転バス
自動運転中の車内の様子
実証実験での走行ルート

 実証実験では第2ターミナルの建屋に沿ったルートを往来。第2ターミナルは南側に国際線ターミナル部の増設工事を行なっており、ここが3月29日に供用を開始する予定になっている。

 ANAでは国内線でターミナル北側のエリアに到着した利用客と、南側の新たな国際線エリアとを結ぶルートで導入し、乗客の輸送を自動運転で実現することを想定している。

 具体的なプランは今回の実証実験後となるが、今後は、2020年内に羽田空港で、乗客または乗務員を輸送する自動運転バスの試験運用を開始することを目指している。

 なお、本実証実験の取り組み内容や技術的な詳細などについては別記事でお伝えする。