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JAL、東京~バンクーバー線就航50周年を記念して成田空港でセレモニー。現役CAのチアダンスチーム「JAL JETS」がパフォーマンス
2018年9月10日 22:57
- 2018年9月10日 実施
JAL(日本航空)は9月10日、1968年9月11日に東京~カナダ・バンクーバー線を開設して50周年を迎えることを記念して、成田空港 第2旅客ターミナル3階 SKYRIUM(スカイリウム)でセレモニーを実施した。
成田空港開港前の1968年9月11日に開設されたJALのバンクーバー路線は、JALとしても初めて日本とカナダを結ぶ路線となった。1978年の成田空港開港後は成田~バンクーバー線へと移管している。当時は羽田空港発着で週2便、DC-8-55型機を用いて就航した。初便に使われたのは登録記号「JA8016」の便で、当時は各機体にニックネームを付けており当該機は「SHIKOTSU(支笏)」号と名付けられていた。
1968年当時の羽田発便となるJL12便は、バンコク~香港~東京(羽田)~バンクーバー~サンフランシスコを運航する便で、東京からバンクーバーへの所要時間は8時間40分。復路のJL11便はサンフランシスコ~バンクーバー~東京(羽田)の路線で、バンクーバーから東京への所要時間は11時間25分。復路の所要時間がかなり長いのは偏西風の影響に加えて、途中、米アンカレッジで給油のためのテクニカル・ランディングをしていたためだ。
ちなみに現在、JALが運航する成田~バンクーバー線は毎日1便、ボーイング 787-8型機で運航。下記のような運航ダイヤとなっており、往路は約9時間、復路は10時間強で2都市間を結んでいる。実は1968年と所要時間は大きく変わっていない。
JALの成田~バンクーバー線(~2018年10月27日)
JL18便: 成田(18時20分)発~バンクーバー(11時15分)着、毎日運航
JL17便: バンクーバー(14時15分)発~成田(翌16時30分)着、毎日運航
JALの成田~バンクーバー線(2018年10月28日~2019年3月30日)
JL18便: 成田(18時40分)発~バンクーバー(10時35分)着、毎日運航
JL17便: バンクーバー(13時10分)発~成田(翌16時30分)着、毎日運航
成田空港 第2ターミナルのSKYRIUMで開かれた記念セレモニーでは、現役CA(客室乗務員)が構成するチアダンスチーム「JAL JETS」がパフォーマンスを披露。また、メンバー6名が、次のようにバンクーバーの思い出や見どころを紹介した。
古賀さん: バンクーバーといえば松茸。日本とは違って、白くて香りが強くてリーズナブル。9月中旬から食べられるので皆さんもぜひ。
神さん: ステイのときに、いつもメープルシロップ味のキャンディーを買って帰るのが楽しみ。
住谷さん: ティム・ホートンズというカナダ限定のドーナツを楽しみにフライトしている。
秋田さん: バンクーバーは高校の修学旅行で行った思い出の地。
竹田さん: 世界一住みたい街と言われるバンクーバー。気候が温暖で過ごしやすいので、ぜひ訪れてみて。
土木田さん: 入社前にノースバンクーバーに留学していた、いまでも大切な国の一つ。
セレモニーでは、東京~バンクーバー線に就航した1968年当時の4代目の制服を着用したCAも同席したほか、当時の写真や時刻表など、思い出の品々が展示された。
主催者を代表してあいさつしたJAL 常務執行役員 路線統括本部 国際路線事業本部長の大貫哲也氏はまず、1968年当時の週2便から、現在の週7便まで路線を成長させられたことを紹介。
バンクーバーについて「カナダの三大都市の一つで、西海岸の風光明媚な都市であり、高層ビルの様相と、森や緑に囲まれた美しい都市。日本を初めとして中国、韓国、アジア各地と人の往来が多い街のイメージ。今日まで50年、路線を続けられたことをうれしく思う。今日からまた51年、52年と路線の歴史を積み上げていきたい」と決意を述べた。
そんな大貫氏は何度もバンクーバーを訪れているとのことで、「大都市と、自然の景観のマッチしたところが大好き。あとは海産物などの食。楽しい時間を何度も過ごした」と思い出を語った。
この路線の特徴については、「日本とカナダとお客さまだけではなく、中国や韓国、アジア各地のお客さまが成田を経由し、まさに太平洋とアジアの結節点として成田を使っていただいたというネットワーク上の優位性も、この路線を育てていく大きな要因になったと捉えている」とコメント。「就航当時から成田経由でアジアと北米とを結ぶネットワークの特徴が顕著に出ていた路線」であるとし、過去から現在に至るまで、継続的にそのような利用者が多いという。
また、2017年にはカナダ発の利用者が初めて日本発利用者を上まわったとのことで、「JALグループ全体として外国発のお客さまが日本発のお客さまを上まわることが起きているが、この路線もその領域にいった」と話した。
来賓を代表してあいさつした国土交通省 東京航空局 成田国際空港長の石井靖男氏は、「多くの方が台風や地震に巻き込まれ、いくつかの空港では甚大な被害を受け、運用を停止せざるを得なかった。犠牲になられた方にお見舞い申し上げるとともに、困難な状況から回復されることを強く願う。このような災害に直面すると航空輸送の大切さを認識させられる」と、自然災害によって関西国際空港や新千歳空港の機能停止が続いた現状についてコメント。
今回のバンクーバー路線50周年については、「JALのバンクーバー線は長きにわたり、日本とカナダの人、経済などの交流発展に寄与してきた。バンクーバーは日本から北米への大きな玄関口の一つ。バンクーバーに初めて日本人が上陸したのは1889年と言われており、現在、バンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州には2万5000人を超える日本人が滞在している」と、日本の航空路線におけるバンクーバーという都市の重要性について紹介。また、「今日、日本とバンクーバーの間には週27便が運航され、このうちの7便を成田からJALが運航している。ここ数年、日本のカナダの間の航空旅客数は増加しており、2017年は92万5000人が利用した」と、日本とカナダの交流人口についても触れた。
石井氏個人のバンクーバーでの思い出としては、「ウォーターフロントと山々に囲まれた美しい都市で、美味しい中華料理も有名。滞在中、バンクーバー湾の水面を走る水上飛行機をよく見に行った。ダウンタウンの空港の間にある、グランビル・アイランドもよく歩いたのを覚えている」と紹介した。
最後に来賓を代表して、在日カナダ大使館 公使のアルン・アレクサンダー氏が登壇。「現在、日本とカナダのとても強い関係を築いている。文化、経済、政治などの幅広い分野にわたる友好関係を支えているのは、両国の人々の結び付き。JALの東京~バンクーバー線は日本とカナダのつながりをより強くするうえで大きな役割を果たしている」と同路線を評価。
カナダ人の日本に対する印象として、「世界でも一流の文学、芸術、テクノロジ、料理を誇る国だと理解している。豊かな文学と素晴らしい自然を持つ日本は、カナダ人がもっとも訪れたい、またはもっとも仕事をしたい国の一つ」とし、日本とカナダの間のさまざまな交流についても紹介。併せて、「いま多くの若いカナダ人アスリートが2020年の東京オリンピック・パラリンピックに参加し、日本を訪れることを楽しみにしている」と話した。
そして、「日本とカナダの関係は、民主主義、自由、人権と法の尊重という両国共通の価値観を基礎としている。カナダと日本は、外交関係樹立90周年、両国を結ぶ直行便の就航50周年により、人と人のつながりが強くなっている。カナダ政府はこのような機運を活かして、日本との友好関係が今後さらに深まっていくよう願っている」と日加間のさらなる友好発展へ期待を寄せた。
9月10日のバンクーバー行きで搭乗証明書や記念品をプレゼント
併せて、同日の成田発~バンクーバー行きJL18便の出発ゲート前でもセレモニーを実施。大貫氏が「50年間、お客さま皆さまに支えていただき、日本のみならず、アジアの各地とバンクーバーを結んできた。ひとえにご支援いただいている皆さまの賜物。明日から51年目が始まる。一つ一つよいサービスを積み上げて、お客さまにこれからもご利用いただけるよう社員一同精進していく」と搭乗客に感謝の言葉を述べた。
ゲート前では4代目制服を着用したCAや、通常の制服に着替えたJAL JETSメンバーが記念撮影に応じるなど楽しげな雰囲気。搭乗客にUSBハブ機能付きのハンドスピナーや搭乗証明書、ブリティッシュ・コロンビア州の旅ブックやクリアファイル、NAA(成田国際空港)のボールペンやウェットティッシュがプレゼントされることが英語でアナウンスされると歓声があがる場面も。
搭乗口では、大貫氏やJAL成田空港支店長の中野直人氏が搭乗客に感謝を述べるとともに、JAL JETSメンバーらが記念品を配布。日が落ちるころから強まった雨のなか、200名(幼児2名含む)を乗せたJL18便がバンクーバーに向けて出発した。