ニュース

JAL、マニラ空港で東京~マニラ就航50周年セレモニー。訪日客が加速度的に増加中

「日本からの観光客をさらに増やしたい」と藤田副社長

2017年11月20日 実施

JALの東京~マニラ線が就航50周年を迎えた

 JAL(日本航空)は11月20日、成田~マニラ線の就航50周年を記念したセレモニーをマニラ空港(ニノイ・アキノ国際空港)で実施した。

 さかのぼれば1951年8月にフィリピン航空から賃借したダグラス DC-3型機で就航前の招待飛行を実施、1967年に東京~マニラ間の試験飛行、JALマニラ空港所の開設などを経て、同11月20日に東京~マニラ線(東京~大阪~台北~マニラ)を開設した。当時の機材はコンベア 880型機。1974年4月に東京~マニラ線を直行便化し、現在はSKY SUITE仕様のボーイング 767-300ER型機(SS6)で毎日2便(2往復)、週14往復を運航している。

 マニラ空港第1ターミナルの6番ゲートには、過去50年を振り返るフォトパネルや当時の資料、年表などを展示していた。

6番ゲート前では50周年を祝う展示を行なっていた
50年を振り返るフォトパネル
当時の資料写真やパンフレット、年表など

 セレモニーには日本からJAL 代表取締役 副社長の藤田直志氏が出席し、2014年にフィリピン(およびインドネシア、ベトナムの3カ国)向けの訪日ビザ発給が大幅に緩和されたことを挙げ、訪日フィリピン人が急速に増えていることを紹介した。実際、JNTO(日本政府観光局)の統計では2016年に日本を訪れた外国人のうち、フィリピン人は約34万8000人で伸び率は約30%、アジアでもトップ10に入る規模に成長している。

日本航空株式会社 代表取締役 副社長 藤田直志氏

 JALのマニラ線開設2カ月前に生まれた、と自己紹介した在フィリピン日本大使館 公使の加納雄大氏は、1977年に当時の内閣総理大臣 福田赳夫氏が提唱した東南アジア外交3原則「福田ドクトリン」を受けて人的交流が活発になったことや、2016年に日本とフィリピンが国交正常化60年を迎え、天皇陛下と皇后陛下がフィリピンを訪れたこと、直近では安倍総理大臣がドゥテルテ大統領と会談したことなどを紹介、「両国の関係は黄金期に入った。これまでの50年、そしてこれからの50年も戦略的パートナーであり続けるだろう」と話した。

在フィリピン日本大使館 公使 加納雄大氏

 マニラ航空公団総裁のEddie V. Monreal氏は50年前に東京~マニラ線が始まったことを改めて紹介すると、今後100年にわたる両国の友好関係と協力関係に安全・確実な運航でサポートしてほしいと述べ、「空港が成功を収めるには航空会社の成功が欠かせない」と強調した。

マニラ航空公団総裁 Eddie V. Monreal氏

 最後に、この日のJL746便の機長を務める菊島新一郎氏は「この歴史的フライトに任命されたことを興奮している」と話し、過去50年の力添えへの感謝、次の10年の支援を要請するとともに、「安全・快適なフライトを約束する」と締めくくった。

日本航空株式会社 機長 菊島新一郎氏
登壇者らによる記念撮影

 搭乗が始まると、藤田氏や現地スタッフが感謝の言葉をかけながら50周年の記念品(搭乗証明書、刻印入り箸と箸袋)を乗客一人一人に手渡した。定員199名のところ168人(搭乗率84.4%)が搭乗したJL746便は、定刻よりやや早めにプッシュバックを開始、横断幕を掲げたJALスタッフに見送られて青空へ飛び立っていった。

搭乗客に記念品をプレゼントする藤田副社長と現地スタッフ
搭乗客には搭乗証明書と刻印入りの箸、箸袋がプレゼントされた

 セレモニーのあと、藤田氏が囲み取材に応じた。この50年の両国の変化については、スピーチでも挙げたビザの緩和によって「フィリピンからの訪日客が加速度的に増えている」としたうえで、「フィリピン経済の上昇に伴って観光客も増えており、我々としては日本からも観光のお客さまを送客しなければならない。そこに注力していきたい」と述べた。

 LCC(格安航空会社)との共存については、「今は上手に住み分けられていると感じている。JALはジェットスター・ジャパンの株主だが、ビジネス志向・プレミアム志向の利用者と価格志向の利用者で上手く分かれている」という。また、バンコクやシンガポールなど、路線によっては日本からの観光客が席が取れないほど混雑していることがあるが、このマニラ線は「ちょうどバランスが取れており、一番望ましい形で推移している」とのこと。

 さらに2017年にJALが提携したベトジェットなどを例に挙げ、「LCCも一つ上のプレミアムなサービスを志向しつつあり、今後は混在していく。そのなかでJALはフルサービスキャリアとして、明確にプレミアムサービスで顧客基盤を獲得していく。一方で、ジェットスター・ジャパンに投資することで価格志向のお客さまも増やして、総合的な戦略が取れるようにする」と今後を見据えた展望を説明した。

出発を待つJL746便(ボーイング 767-300ER型機)
藤田副社長と現地スタッフが手を振ってJL746便を見送った

 なお、この日の2便目(JL742便)もゲート前でJAL マニラ空港所 所長の山崎晃司氏から乗客へ挨拶があり、記念品のプレゼントを行なった。さらに機内では、機内食に50周年記念を示すシールを貼ったスイーツが用意されていた。

50周年記念を示すシールを貼ったクッキー(エコノミークラス)
マニラのケータリング会社から贈られた記念のケーキ

【お詫びと訂正】初出時、マニラ~成田線の便名に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。